社会

当社グループは、当社が活動するあらゆる地域における持続可能な発展を支え、推進するために、経済・社会・環境という3つの要素を、バランスよく一体となった形で、事業活動を行うことを目指します。

人材マネジメント

基本方針

日本ペイントグループの持続的な成長のためには、優秀な人材を確保し、働きやすい・働きがいのある企業風土・環境により、各々が個性や能力を存分に発揮することが不可欠です。全ての人々に豊かな彩、快適さおよび安心を提供するために、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、一人ひとりが満足感をもって能力を発揮し、成長ができるよう、健康と安全に配慮した職場環境づくりに努めています。

世界各国の法令を踏まえ、人種、信条、性別、年齢、性的指向、障がい、国籍などによる差別・ハラスメントは行いません。
また本人の意に反した強制的な労働、児童に対して、教育を受けることを妨げる労働、健康な発達を妨げる労働、有害で危険な労働、児童労働を一切排除します。さらに各国の法令にしたがって、労働時間および賃金が公正であることを保証します。加えて、これらの労働条件・労働環境等に関して、労使間の円滑な協議を図るため、従業員の集会や結社の自由を保障し、団結権および団体交渉権その他の団体行動をする権利を尊重します。

経営戦略の実現と事業の推進、そしてその根底にある株主価値最大化(MSV)に資することを目的とした人材戦略を構築・推進しています。事業を取り巻く環境は急速かつ急激に変化しており、中でもグローバル化・デジタル化・人材の多様化および流動化は顕著なものです。市場や事業戦略の変化を捉え、機会に変えていくには、機動的に人的資源を配置すること、すなわち、「適切な職務」に「適切な人材」を「適切なタイミング」で配置することが重要と考え、各種制度や施策を構築しています。

労働基準の浸透の徹底

日本グループでは適切な労働慣行の推進に向けた各種制度を整備しています。賃金や労働時間等の労働基準に関する考え方・取り組みは、グループ各社で公開し、国内・海外で働く全ての従業員が理解できるようにしています。また労働組合との労働協約を締結しています。建設的な労使の対話を行うために、労働組合の代表者と経営層との労使協議や委員会を開催し、賃金・一時金や労働安全衛生の協議に加え、諸制度の改善や、経営環境に関する定期的な意見交換を行っています。
ほかにも報酬・労働時間と休日、労働安全衛生・福利厚生、服務規律等の労働条件に関して、入社時オリエンテーションで必ず説明しており、イントラネットでも常に参照可能として、労働基準の浸透に努めています。日本国内の労働基準は、イントラネットに日本語と英語で公開し、浸透を図っています。万一違反があった際には従業員が内部通報制度を利用して通報できる環境を整備しており、毎年通報件数を開示しています。
内部通報制度についてはこちらをご覧ください。

労働時間管理

日本グループでは36協定等法令等の遵守はもちろんのこと、従業員の勤務状況・労働時間を経営層・人事・現場でモニタリングすることで、適正な労働時間管理を推進しています。過度な労働を軽減・防止し社員の心身の健康を守り、能力を存分に発揮できる状態にすることを目的として、年に一回以上は全社員を対象に労務管理e-learningや労務管理説明会を行っています。

適正な賃金

世界各国の労働法令等を遵守し、賃金においても、安定的な生活支援のために最低賃金を上回る賃金を支払うことを基本的な方針としています。日本ペイントホールディングスの2020年度の平均年間給与は832万円です。正社員と非正規社員という雇用形態の違いにより発生している、不合理な待遇差を解消するという「同一労働同一賃金」の考え方をコンプライアンステキストブックに盛り込み、不合理な待遇差が生じないようにしています。

推進体制

当社は、パートナー会社各社の事業内容・所在国・ビジネスフェーズに応じて、自立的に人材戦略を策定し、人材マネジメントの強化に取り組んでいます。一方、ESGやダイバーシティ&インクルージョン、次世代経営人材育成等はグループで推進すべきテーマとして、経営層を中心に議論する場を定期的に設けています。
2020年にESGステートメントを制定、マテリアリティの一つにダイバーシティ&インクルージョンを特定し、人材マネジメントの取り組みを進めています。具体的な取り組みとしては、取締役 代表執行役共同社長直下に設置したグローバルチームにて、各社人事施策について方針や取り組みを議論し、共同社長に対するレポーティングを行います。

持続的成長のための人的資本

日本ペイントグループの持続的な成長のためには、優秀な人材を確保するだけでなく、働きやすく、働きがいのある企業風土・環境の整備により、各々が個性や能力を存分に発揮することが不可欠です。日本ペイントグループは、人的資本への投資として、パートナー会社ごとの課題に応じて自律的に構築した研修体制の充実を図り、人材の質を高めています。研修体制を拡充することは、新卒・中途採用における競争優位性の向上や退職率の低下といった効果も期待され、人材ポートフォリオを高度化する上でも重要な取り組みです。

*日本ペイントHDの連結子会社の呼称

DuluxGroupの取り組み

DuluxGroupは、新任リーダーからシニアリーダーまでを対象として、グローバルリーダーとして活動するために必要なスキルを身に付け、継続的な学習を促進し、キャリアパスに沿って能力を高めることを目的とした包括的な学習プログラムを提供しています。従業員には「自分の成長は自分で決める」ことを奨励し、スキルや専門知識を向上させるために必要な学習には率先してアクセスするよう促しています。カリキュラムが適切かつ効果的でDuluxGroupの成長目標に沿ったものであるように、継続的にカリキュラムを見直し、改善しています。現在、ハーバード大学との提携による「複雑性の中でのリーダーシップ」、「ビジネスにおける洞察力」などのプログラム、セールス、マーケティングのカリキュラムを提供しています。

NIPSEAグループの取り組み

NIPSEAグループでは、地域・国・会社を横断した学習フレームワークを採用しており、各職務レベルで必要な経験・スキルやコンピテンシーを備えた従業員の育成に注力しています。例えば、さまざまな職務分野向けに、技術スキルからリーダーシップスキルに至るまでの一連のトレーニングや教育プログラムを提供しています。プログラムは、毎年実施される研修結果・効果性のレビューと各国・各社の要望に基づいて強化・改善を図っています。2021年度は、従業員1人当たり15.0時間、合計387,243時間の従業員トレーニングを実施しました。

日本グループの取り組み

日本グループでは、全従業員を対象に個々の期待役割・キャリアステージに応じた階層別研修(内定者教育・新入社員導入研修・フォローアップ研修・新任幹部職研修・年次研修など)を実施しています。日本グループ共通のトレーニング時間は、2021年度に延べ32,000時間となりました。中途社員に向けたオンボーディング教育の強化、幹部職のビジネスリテラシー強化を目的としたビジネスカレッジの開講など、研修受講生や研修日程を拡充・充実させたことがトレーニング時間の増加につながりました。

多様な人材の登用と経営人材の育成

採用活動

新卒採用では二つの観点を特に重要視し、人材獲得に取り組んでいます。一つは仕事への熱意と責任感を有し、当事者意識を持って取り組む力、もう一つは社会課題解決に向けて積極果敢にチャレンジする力です。
広報活動では、オンラインでの説明会やイベントを拡充することで、国内外問わず優秀な人材に対するアプローチを行っています。また多様なインターンシッププログラムを開催しており、専門性の異なる学生同士が協働し、お互いの強みを生かしあう驚きとワクワクを体感する場を提供しています。今後のプログラムでは、女性の活躍や生産技術・情報システム・ESGなど、当社をさまざまな観点から知っていただく場を提供することで当社の認知を高め、多様な人材の獲得に向けて活動していきます。
中途採用では経営・事業ニーズに基づく豊富な実務経験や専門知識、多様なスキルを有する人材の確保に向け積極的に活動を推進しています。

経営人材の育成

日本ペイントグループでは、「世界観、歴史観、人間観を備え不透明な社会環境・事業環境の中でもリーダーシップを発揮できる経営者」を「自立型経営人材」と定義しております。グローバルな成長を加速させるべく、経営人材とその後継者の人材プールの充実に継続的に取り組んでいます。
また、グローバルリーダー育成においては、2020年度より語学研修制度(英語、中国語)、MBA(経営学修士号)派遣制度、PhD(博士号)派遣制度の運用を開始しました。グローバルリーダーに必要となる能力開発・志を強化し、グローバルで活躍できる人材の創出に向けて中長期的に取り組んでいきます。

オンラインの積極的活用

採用活動や階層別研修などの各種研修に留まらず、入社式などの式典や各種会議、日頃のコミュニケーションもオンライン活用の機会を増やしています。具体的には、オンラインによるグループ活動の活性化や一部拠点集合型の会議・各種プロジェクト活動への展開も行っています。社内のIT環境をグループ内で統一し、新たなツールを活用した協働、連携等、テクノロジーを活用した働き方・育成の変革に取り組んでいます。

キャリアマネジメント

日本グループでは、事業推進の中核を担う幹部職を対象に、従来の役割等級制度を改定し、「職務等級制度(ジョブ型人事制度)」を導入しました。各職務の期待値や遂行要件を明確化するとともに、市場競争力のある報酬を実現するために、客観指標を用いた報酬ベンチマークの運用を開始しています。あわせて、さらなるビジネスリテラシーの強化を目指して、人材開発体系を設定しました。人材採用の面では、従来の新卒定期採用に加え、戦略的に中途即戦力採用も展開し、適材の獲得と適所への配置を進めています。
また、「個」と「多様性」を重視した任用を実現するには、キャリアオーナーシップを有する人材を育成し、キャリアビジョン・本人の志向性を認識する仕組みが基盤として必要であり、その実現に向けた「キャリアドライブ施策」を新たに開始しました。
そして、これら施策により収集した多様な人材情報を、一元的かつ定量的に把握し、多様な切り口で可視化・分析することで、事業に必要な人的資源を的確に活用するための「タレントマネジメント」の構築を進めています。

労働慣行

ハラスメントデスクの開設

2020年、日本グループはハラスメント防止方針を策定し、ハラスメントに特化した社内相談窓口である“ハラスメントデスク”を開設しました。コンプライアンス違反が疑われる事案を発見した際に通報可能な「NPHDグループホットライン」とは別にこのような窓口を設けたのは、ハラスメントかどうか判断に迷うような案件であっても気軽に相談できる場を従業員へ提供するためです。ハラスメントの未然防止およびハラスメントフリーな職場環境の醸成のため、申し出た社員および関係当事者へのプライバシーの保護に十分留意しながら、フィードバックなどを適切に実施しています。
2020年度は、ハラスメントデスクに対して、10件の相談があり、それぞれ適切・迅速に対処しました。また、社員への研修や全社員対象のアンケート、ストレスチェックの結果分析等さまざまなツールを活用し、労働問題に関するリスク評価と問題の未然防止に努めています。

日本ペイントホールディングスハラスメント防止方針

1.ハラスメントは人権に関わる問題であり、相手の尊厳や人格を傷つける行為です。ハラスメント行為を行うことも、見過ごすことも断じて許しません。
2.ハラスメントが発生した場合は、迅速で的確な解決を目指します。相談者や、事実関係の確認の協力者のプライバシーは遵守することと、決して不利益な取扱いは行いません。
3.個性と多様性を互いに尊重し合い、誰もが安心してチームワークを発揮できる健全な職場環境を追求し続けます。

コンプライアンステキストブック

日本グループは従業員および役員のコンプライアンス意識の向上のため、2017年に「⽇本ペイントホールディングス コンプライアンスガイドブック」(電⼦版)を作成しました。2021年にはダイバーシティ&インクルージョンやITシステム・ツールの適切な利用などの内容を新たに追加し「コンプライアンステキストブック」と名称を変え改訂版の周知を行いました。このテキストブックには適切な労働時間管理や公平な人事評価の運用などの項目を設け、社員が業務を⾏う上で特に注意すべき法令やルールを紹介し、塗料メーカー社員が遭遇しやすい事例について、ケース解説等を行っています。また、グループ従業員等を対象とした毎月1回の「コンプライアンス・メールマガジン」の発信、法務・コンプライアンス情報を提供する社内サイトの開設により、労働問題やコンプライアンスへの意識を高める継続的活動を行っています。

従業員エンゲージメントの向上

従業員エンゲージメントの向上は、優秀な人材が持続的に最大パフォーマンスを発揮することにつながります。また、「アセット・アセンブラー」モデルのもと、新たに当社グループに加わったパートナー会社の従業員満足度を定期的にフォロー・確認しています(「DuluxGroupの従業員満足度」参照)。 Dunn-Edwardsは、従業員満足度調査の代替として退職者インタビューを活用しています。退職者インタビューから得られたデータを検討した結果、入社後の2年間が会社とのつながりを作る上で最も重要な期間であることや、報酬・退職金制度(401(k)・管理職のリーダーシップなどが重要な要素であることが分かりました。Dunn-Edwardsはこうした分野で魅力的かつ競争力のある仕組みを提供できるよう、報酬と退職金制度の方針を定め、全階層でキャリアアップのためのトレーニングを開発し、発展させています。 日本では、男性の積極的な育児参加を支援するために、男性の育児休暇取得を後押ししています。加えて、在宅勤務制度や時間単位の有給休暇取得制度、時短勤務など、育児・介護などの従業員のライフイベントに合わせた柔軟な勤務制度を整えています。在宅勤務制度は、働く時間や場所の制約をハードルとすることなく、100%の力を発揮する環境を整備し、「働きたい」社員の意欲を会社が尊重・サポートすることを目的として導入し、新型コロナウイルス対策も兼ねて対象者や実施頻度について制限を設けずに運用しています。2022年2月に実施した在宅勤務制度に関するアンケートでは、海外との会議で時間調整が容易になり、効率的な業務が可能となっていることや、ウェブ会議システムを活用することで円滑に情報共有や意思決定ができる、などの前向きな意見が寄せられました。

ケーススタディ
DuluxGroupの従業員満足度

2021年のエンゲージメント・スコアは80%に達し、日本ペイントグループ参画前の2017年に実施された調査結果(72%)よりも8ポイント高く、業界やパフォーマンス基準を大きく上回る結果となりました。
エンゲージメント・スコアが高い要因として、従業員の97%が家族や友人にDuluxGroup製品を勧めているなど、自社ブランドに対する情熱が挙げられます。また、従業員は自身の仕事が事業戦略の優先課題にどのように貢献しているかを理解しているほか、各地域のリーダーがチームと協力しながら高い成果を上げる権限を与えられていることも、高いエンゲージメント・スコアを維持する上で重要な要素となっています。DuluxGroupは、リーダーシップの育成に多額の投資を行うことで、これを可能にしています。

社会 - 人材マネジメントに対する取り組み

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