社会

当社グループは、当社が活動するあらゆる地域における持続可能な発展を支え、推進するために、経済・社会・環境という3つの要素を、バランスよく一体となった形で、事業活動を行うことを目指します。

コミュニティとともに成長

基本方針

全ての人々に豊かな彩、快適さおよび安心安全を提供することは、当社グループの創業以来の変わらぬ使命です。当社グループは、事業活動を通じて地域の持続可能な発展を支え、推進することに貢献していきます。「コミュニティとともに成長」はグローバルCSRの枠組み「ColoringLives」のもとで3つの柱(3E)を重点に活動を進めており、「Education(教育)」は将来のステークホルダー育成に向けて、「Empowerment(エンパワメント)」は社会的弱者の支援や職業訓練などを通じた産業の発展に向けて、「Engagemen(tエンゲージメント)」は 地域社会やステークホルダーとの協働に向けて、それぞれ取り組んでいます。
コミュニティへの投資により、地域社会や地域経済の活性化によるビジネスチャンス拡大、従業員の自社に対するコミットメント向上、地域コミュニティとの連携強化などが期待され、MSVへの貢献につなげていきます。一方で、MSVの前提である「ステークホルダーへの責務」を仮に軽視すれば、地域社会からの信頼を失い、優秀な人材や優良な取引相手、投資家が当社グループを敬遠するリスクを認識しています。

3つの柱(重点領域)

当社グループのビジネスや塗料産業にポジティブな影響を与える社会貢献活動を戦略的に展開するため、以下の3つの重点領域を定めました。

  • 「Education(教育)」将来のステークホルダー育成を目的とした活動
  • Empowerment(エンパワメント)」社会的弱者の支援や職業訓練、才能ある若者の発掘などを通じた産業の発展を目的とした活動

  • Engagement(エンゲージメント)」地域社会やステークホルダーとの協働を目的とした活動

社会貢献活動の柱と活動例

内容 活動例
Education
(教育)
将来の顧客や従業員などになり得る子どもや学生を対象とした活動
  • 大学との産学連携 (日本グループ:東京大学との産学連携)
  • AYDA Awards (NIPSEAグループ:将来の顧客である建築・インテリアデザイン志望の学生を対象とした国際競技会を毎年実施)
  • Smiling Mind (DuluxGroup:小学校にマインドフルな空間を造る)
  • Off the wall Graffiti (Dunn-Edwards:都市部のアーティストを対象としたイベントや放課後を含む学校でのアート教育プログラム)
Empowerment
(エンパワメント)
社会的弱者の活動支援や職業訓練、才能ある個人の発掘を行う活動
  • ニッペファン・ファーム (日本グループ:障がい者の雇用支援)
  • Rural Revitalization for Chengde County (NIPSEAグループ:村の外壁を塗り直す)
  • Pet Refuge NZ (DuluxGroup:DV から逃れてきた人たちのペットのための避難所の建設に協力)
  • Tradeswoman (Dunn-Edwards:建設業・関連産業に従事する女性を増やすためのプログラム)
Engagement
(エンゲージメント)
地域やステークホルダーとの協働、NGOとの連携、災害支援などを行う活動
  • Color Way of Life - ART+ (NIPSEAグループ:学生の芸術や色彩、ペインティング文化への関心を高める)
  • Department of Conservation Trail Huts (DuluxGroup:歴史的建造物と地域資産の保護)
  • Martin Auto Museum (Dunn-Edwards:10 代向けの新しい機械学校をペイントするための寄付)

リスクと機会

リスクとしては、当社グループがコミュニティの発展や投資を軽視することにより、地域社会からの信頼を失い、それによって優秀な人材や優良な取引相手、株主が当社グループを敬遠することなどがあげられます。一方、機会としては、コミュニティへの投資により、地域社会や地域経済の活性化によるビジネスチャンス拡大、従業員の自社に対するコミットメント向上、地域コミュニティとの連携強化などが期待されます。

推進体制と成果

グローバル推進体制

2020年度に発足したグローバルの会議体を中心として情報共有や協議を行うことで、グループ内の連携を深めています。この会議体を中核としたグローバルイニシアチブを「NIPPON PAINT Group Global Outreach Program」と名付けました。アジア各国、欧州、豪州、ニュージーランド、米国、日本の計20ヵ国でこのイニシアチブに基づいた活動を進めており、その進捗をグローバルに共有し、グループ全体で取り組みのレベルアップを図っています。
当社グループが社会貢献活動に投入したリソース、活動の成果、影響についてまとめた表が下表になります。2021年度は708万米ドル以上を費やして204件以上の活動を展開し、29万人以上の方々に貢献できたことが明らかとなりました。このうち日本グループでは、計2億6,900万円以上を充て、NPOなどへの拠出を含めた寄付金は約522万円となりました。

社会貢献活動への投資と成果・影響

2021年度 集計項目 数値
グローバル 国・地域
20
プロジェクト数
204件超
投入リソース 活動に費やしたお金 708万米ドル超
活動に費やした時間 61,000時間超
活動に参加した社員・ボランティア 2,100人超
活動に使用された塗料 64万リットル超
成果・影響 影響を与えた方々 29万人超


会社間の連携

日本ペイントホールディングス、パートナー会社単位でも連携を図る取り組みが進んでいます。例えば、アジアで事業を展開するパートナー会社NIPSEA各社ではアジア各国のパートナー会社を結ぶ会議体があり、さまざまなグローバルプロジェクトを推し進めています。2020年9月、NIPSEAグループ内で国境横断的に開催している若手ペインター育成プロジェクト「Asia Young Designer Awards」と、インドの貧困地域の女性を対象とした職業訓練活動「n'Shakti」が、優れた社会貢献活動分野を表彰する国際アワード「Asia Responsible Enterprise Awards 2020」を獲得しました。
また日本グループでは2021年度、日本国内のパートナー企業の担当マネージャー、実務担当者を集めた会議体を発足させました。情報共有などを通じて優れた取り組みを他の事業所に横展開するなど、グループ横断の社会貢献活動に鋭意取り組んでいます。

具体的な取り組み

世界的疫病などに関する取り組み・対応(Engagement)

2020年度は、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、同ウイルスだけでなく結核、マラリア等の感染症がもたらす事業リスクについて再考する機会となりました。それを受けて、当社グループは感染症への対応として2020年度、「従業員とその家族を新型コロナウイルス感染症から守る」「世界中の事業を守るために資金繰りを確保する」「事業継続計画(BCP)を固める」の3つの方針を掲げて対応に当たりました。医療機関への1,200万円分の物資支援(日本)、ペインターへの金銭的支援(バングラデシュ、インドなど)、抗ウイルス塗料の寄付(中国、タイなど)、顧客などへのマスクの寄付(各地)など、当社グループのビジネスやノウハウを生かした活動を展開しました。

また、気管支炎、マラリア、HIV / AIDS等の感染症が国民が発症する病気の7割を占めるというガーナにある、アフリカ有数の感染症研究機関「ガーナ大学医学部附属野口記念医学研究所(NMIMR)」にマスクやフェイスガードを寄贈し、感染症研究のサポートを行っています。

社会的弱者のエンパワメント(Empowerment)

当社グループでは社会貢献活動の基本コンセプト「3E」で「Empowerment エンパワメント」を掲げ、社会的に恵まれない人の支援に力を入れています。インドでは貧困地域の女性に塗装工としての職業訓練を行う「n’Shakti」プログラムを展開し、女性の自立支援を行っています。これまで10代~30代の450名以上に延べ2万時間以上の訓練を実施し、修了者らは塗装サービスを提供する会社を立ち上げたり、建設産業に新たな雇用先を得たり、多くの業界で活躍しています。日本ではさいたま市の契約農園で地域の障がい者・シルバー人材の雇用を進めています。2019年からスタートし、ハウス内の自社エリアを「ニッペファン・ファーム」と名付け、現在は障がい者5名、シルバー人材2名を雇用しています。収穫した野菜は、東京事業所のある品川区内にて、地域の子どもが利用する「子ども食堂」に寄付しています。

地域社会のニーズに応える活動展開(Education, Empowerment, Engagement)

より効果的な社会貢献活動を行うには地域社会のニーズを把握することは不可欠です。日本ペイントが地域課題の解決をサポートするプロジェクト「HAPPY PAINT PROJECT」では約7割の活動が地域社会からの要望で始まっています。地域の要望を同プロジェクトに採択する基準として、プロジェクトの「新規性」「社会性」「地域性」などを定めており、ビジネスにもインパクトのある展開を目指しています。

日本グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大との戦いの最前線にいる医療機関に物資を届ける活動において、物資の手配の際に医療機関に対してニーズ調査を実施しています。医療支援サービスのハピネス・アイ様(京都市)のご協力を得て刻々と変わる医療ニーズに対応しています。寄付先からは感謝状や礼状がたくさん寄せられました。

社会貢献活動に対する従業員参加の推進(Education,Engagement)

当社グループでは社会貢献活動への社員参加を応援しています。
自治体等からの要請の場合は特別休暇を付与し、本人の希望により青年海外協力隊参加を理由とした休職の実績があります。

社員ボランティアが展開する活動は多くあります。
子ども化学実験ショー(「夢・化学-21」委員会主催)です。関東と関西で年に2回開催され、当社は毎回約60名のボランティアを社員から募り、電着塗装を体験するブースを出展してきました。自動車ボディの塗装に使われる技術で仕上げた自作の定規は子どもたちから人気があります。※新型コロナウイルスの感染拡大により2020年度と2021年度は休止しています。

また、事業所周辺の清掃ボランティア活動は多くの事業拠点で定例行事化しています。日本ペイントホールディングス東京事業所(東京都品川区)、日本ペイント・オートモーティブコーティングス(NPAC)豊田事業所(愛知県豊田市)では毎月実施しています。また、NPACの枚方本社(大阪府枚方市)や愛知高浜工場(愛知県高浜市)では防災活動や防犯活動を展開しています。愛知武豊工場(愛知県武豊町)では、地域のマラソン大会「武豊町ゆめたろうスマイルマラソン」にランナーとしてだけでなく、運営ボランティアとして社員が参加しています。2020年度はランナー7名、運営ボランティア14名が参加し、大会を盛り上げました。

プロの技術やノウハウを生かしたボランティア活動(プロボノ)としては、プロの女子卓球チーム「日本ペイントマレッツ」の選手らが小学校などで体験授業を実施しています。また、東京事業所やNPAC愛知高浜工場などでは塗装ボランティアを長年続けており、古くなった小学校の遊具などを色鮮やかに蘇らせてきました。

またDuluxGroupでは、社員が自ら企画しボランティア活動を行う文化があります。2020年に実施した社会貢献活動の約9割(プロジェクト数ベース)が社員提案のプロジェクトでした。

さらに、当社グループは、社員一人ひとりが社会貢献活動の主役となる草の根レベルの取り組みを大切にしています。
献血活動や、ベルマーク、プルタブ、本の回収など、以前から続けられている活動に加えて、2020年は、家庭で余っている食料を回収して寄付する「フードドライブ活動」を開始しました。2021年には祝い花をリサイクルする活動、会社に置き菓子BOXを設置して福祉施設で作られたお菓子を社内販売する活動など、新規活動が次々と始まっています。取締役 代表執行役共同社長直下に設置したグローバルチームにて、このような活動を他の事業拠点、他のパートナー会社に展開する旗振りを行います。

さらに後押しするため、社会貢献活動に熱心に取り組む社員を表彰する制度の構築に取り組んでいます。第1弾として2020年、社長賞授与がスタートし、第1号として人命救助を行ったNPACの社員を表彰しました。また、2021年には、ESG経営におけるマテリアリティ(重要課題)の推進に尽力している社員を表彰する企画をイントラネットで立ち上げました。マテリアリティをデザインしたステッカーを贈呈し、各自の業務が社会貢献活動を含めたESG経営の推進につながっていることの意識付けを狙っています。

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