労働安全衛生
重大な安全衛生リスクを効果的に管理し、従業員や事業、コミュニティを確実に保護することは、当社グループの重要な責務であり、優先的に取り組むべき課題です。特に、当社グループの工場では災害や死亡事故のリスクも想定できることから、マテリアリティの1つとして特定し、MSVの実現に重要な課題と捉えています。
MSV実現に向けた取り組み
「環境&安全」チームの支援のもと、各PCGは2022年、深刻なリスクと日常的なリスクなどの労働安全衛生を確保するため、それぞれが策定した改善計画の実施に取り組みました。
「環境&安全」チームは各PCGの環境・安全部門のシニアリーダーで構成され、労働安全衛生に関する重大なリスクの監視状況を強化するための共通指標の策定、他社比較、ベストプラクティスの共有に取り組んでいます。全てのPCGに共通指標を導入するには時間を要するものの、プロセスの安全性を損なう恐れのある出来事(可燃性溶剤の漏えいなど)や事故につながる可能性の高い出来事(死亡リスクを伴う重大なニアミスなど)を含む深刻な被害のリスク管理に対する理解向上と監視状況の改善に重点的に取り組んでいます。2023年は、深刻な被害のリスク管理に関する効率改善を活動の中心としています。
グループ方針
当社グループが手掛ける事業には、従業員やサプライチェーン、コミュニティに影響を及ぼしかねない重大な安全衛生上のリスクが存在します。これらのリスクを適切に管理し、被害を防止するために、特に深刻度の高いリスクへ重点的に対応していきます。
改善点と実績
当社グループの死亡事故は、2021年にNIPSEAグループで2件(報告された3件のうち1件は業務外の通勤途中の事故)発生したのに対し、2022年は0件でした。 従業員と請負業者の記録災害度数率(20万労働時間当たり)は、前年比1%減の0.90件となった一方で、休業災害度数率(20万労働時間当たり)は同31%増の0.50件となりました。主な変化要因は、DuluxGroupによるCromologyとJUBの買収であり、他のPCGは前年比で改善または微増しています。 各PCGにおける2022年実績と前年からの変化、主な要因については下表の通りです。
パートナー会社グループ(PCG)ごとの実績
PCG | 死亡者数 | 記録災害度数率 (20万労働時間当たり) |
休業災害度数率 (20万労働時間当たり) |
2022年の改善要因と優先事項 |
---|---|---|---|---|
NIPSEAグループ |
0 (-2) |
0.42 (-4%) |
0.22 (+5%) |
|
DuluxGroup(太平洋) |
0 (0) |
1.50 (+3%) |
0.80 (0%) |
|
DuluxGroup(欧州)※ | 0 | 2.25 | 1.70 |
|
日本グループ |
0 (0) |
0.39 (-33%) |
0.08 (-50%) |
|
Dunn-Edwards |
0 (0) |
4.60 (-40%) |
2.01 (-20%) |
|
推進体制
当社グループは2020年にESGステートメントを制定し、マテリアリティの一つに労働安全衛生を特定して以来、労働災害発生の未然防止、従業員が安心して働ける環境づくりに向けた取り組みを進めています。2022年には、グループ共通のGlobal Code of Conductを制定し、従業員やステークホルダーの安全への配慮を明記しました。
具体的な取り組みとしては、取締役 代表執行役共同社長直下に設置したグローバルチームにて、ESG課題の一つとして労働安全衛生施策について方針や取り組みを議論し、共同社長に対するレポーティングを行います。
日本においては、日本ペイントグループ(国内)各社が参画するRC委員会やグループ安全環境会議および製品安全会議を通じて安全衛生活動の改善や問題解決に取り組んでいます(構内業務請負会社を含む)。そのなかで、グループ内で発生した事故災害の情報や異業種における事故事例を共有し、その対策についても横展開を行い、再発防止を図っています。
各社、各地区においては、RC委員会や安全衛生委員会などを実施し、そこで決定した事項の展開だけでなく、各地区の安全環境問題を明確にするとともに、従業員全員が参加し問題の改善にあたっています。各地区において、リスクアセスメントを積極的に実施し災害の未然防止に取り組んでいます。
日本ペイントグループ 労働安全衛生推進体制(当社グループのRC推進活動体制を基盤とする)
労働安全衛生マネジメントシステムの詳細についての詳細はこちらをご覧ください。
リスク評価
各社、各地区においては、RC委員会や安全衛生委員会などを実施し、そこで決定した事項の展開だけでなく、各地区の安全環境問題を明確にするとともに、従業員全員が参加し問題の改善にあたっています。各地区において、リスクアセスメントを積極的に実施し災害の未然防止に取り組んでいます。
当社では労働安全衛生に関するリスクアセスメントの実施と評価結果に基づくリスク低減措置の計画実施およびリスク受容措置の確実な順守を目標の一つとして掲げており、国内グループはSA(セイフティーアセスメント)、RA(リスクアセスメント)活動を以下のタイミングで実施するよう、展開しています。
- 設備、原材料、作業方法などを新規に採用し、または変更するなどリスクに変化が生じたとき実施
- 機械設備などの経年劣化、労働者の入れ替わりなどを踏まえ、定期的に実施
- 既存の設備、作業については計画的に実施
重大災害ゼロ件の目標達成に向け、安全衛生活動の根幹であるリスクアセスメント活動においては、近年、増加傾向であった「転倒」「動作の反動、無理な動作」による災害について重点見直し対象として推進しました。また、グループ内で発生した災害については国内グループへ展開し、現場のルールや安全対策を見直し、管理強化を図りました。
また、合併や買収の対象企業や、新規取引先に対して、労働安全衛生を含んださまざまな項目におけるリスクアセスメントとDD(デューディリジェンス)を実施しています。
化学物質の管理についての詳細はこちらをご覧ください。
目標および実績
当社グループはレスポンシブル・ケア活動の一環として、「労働安全衛生・保安防災」について目標を設定し、その達成に向けて取り組んでいます。
2021年度の目標及び実績は「環境・安全マネジメント」ページをご参照ください。
具体的な取り組み
グローバル安全衛生活動 海外グループ会社への安全統制支援
当社グループは海外関係会社における安全環境活動に対して、積極的な支援を継続的に実施しています。2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、現地へ訪問しての支援ができませんでしたが、NIPSEA Safety & Sustainability Councilや拠点別でのウェブ会議を通じて、各国の活動、リーダーの力量の向上に取り組みました。2020年度より、火災・爆発など操業停止に関わる重大リスクとその是正を主たる目的とした評価リストをリニューアルし、海外関係会社へ展開しながら、重大災害の未然防止に努めています。
安全衛生教育
当社グループは、労働安全衛生教育を各社・各拠点にて定期的に開催し、労働災害の未然防止と意識啓発に努めています。そのうち2022年度の国内グループ共通での安全研修は以下の通りです。
- 交通安全講習会:1,347名
- 転入者教育:26名