労働安全衛生
重大な安全衛生リスクを効果的に管理し、従業員や事業、コミュニティを確実に保護することは、当社グループの重要な責務であり、優先的に取り組むべき課題です。特に、当社グループの工場では災害や死亡事故のリスクも想定できることから、マテリアリティの1つとして特定し、MSVの実現に重要な課題と捉えています。
MSV実現に向けた取り組み
各パートナー会社グループ(PCG)は2025年、安全な人と操業に向けた改善すべき優先事項に取り組み、著しい進捗を遂げました。こうした取り組みは、各PCGの環境・安全部門のシニアリーダーで構成するグローバル「環境&安全」チームによって引き続き支えられており、同チームはベンチマーキング、ベストプラクティスの共有、事象からの学びに重点を置いて活動しています。2025年には、プロセス安全協働グループが、各PCGにおけるプロセス安全リスク管理に関する現在の実務や基準の詳細な共有に注力し、共通の技術・操業プロセスの整合に向けたロードマップを策定しました。2026年には、プロセス安全基準および管理策適用に関するベストプラクティスについて、共通ガイドラインの策定を進めます。
グループ方針
当社グループが手掛ける事業には、従業員やサプライチェーン、コミュニティに影響を及ぼしかねない重大な安全衛生上のリスクが存在します。これらのリスクを適切に管理し、被害を防止するために、特に深刻度の高いリスクへ重点的に対応していきます。
改善点と実績(2025年)
NIPSEAグループでは、2025年にカザフスタンのAlinaにおいて、掘削に向けた造成工事中にブルドーザーが横転し、死亡事故が1件発生しました。調査は完了しており、再発防止策を講じています。
Tier 1およびTier 2のプロセス安全事故は5件発生しました。この新たな指標の報告は3年目となり、深刻度の高い事象に対する有効な管理策を導入するため、グループ全体で学びを深める機会となっています。
従業員および請負業者の記録災害度数率(20万労働時間当たり)は前年比22.5%減の0.41、休業災害度数率(同)は21.5%減の0.29となりました。安全実績の改善は、研修の強化、従業員エンゲージメント、安全マネジメントシステムの成熟化、事象の調査と学び、プロセス安全プログラム、エンジニアリング管理策の改善など、各PCGにおけるさまざまな取り組みを通じて重点的に進められています。
パートナー会社グループ(PCG)ごとの実績(2025年)
| PCG | プロセス安全事故 (Tier 1,2) |
死亡者数 | 記録災害度数率 (20万労働時間当たり) |
休業災害度数率 (20万労働時間当たり) |
実施項目 |
|---|---|---|---|---|---|
| NIPSEAグループ | 1 (-3) |
1 (+1) |
0.13 (-47.8%) |
0.11 (-32.2%) |
4月以降、月次の安全ダッシュボードを配信するとともに、HSE事象に関する社内報告では、SupplyおよびApplyに関わる下請業者の安全も対象に含めました。インドでは、火災および労働安全に関する事故件数の増加を受け、安全行動の徹底、監督体制の強化、エンジニアリング管理策の導入、ならびに積極的なリスクアセスメントを通じて、人為的ミスの低減に向けた重点的な取り組みを実施しました。 |
| DuluxGroup | 2 (+1) |
0 (0) |
1.6 (-10.6%) |
1.22 (+22.5%) |
プロセス安全の成熟度の向上に継続して取り組んでおり、定期的な危険性評価(PHS)やHAZOP(危険・操作性)スタディを実施するとともに、DGL(欧州)およびDGL(太平洋)の拠点と連携し、プロセス安全に関するコミュニティ・オブ・プラクティスを立ち上げました。 あわせて、学びと予防活動を強化するため、HOP(Human & Organisational Performance)の考え方の導入を進めています。 |
| 日本グループ | 1 (+1) |
0 (0) |
0.57 (-20.5%) |
0.06 (-11.8%) |
安全関連の研修動画の作成、新入社員向けのオリエンテーションおよび安全に関するフォローアップ研修、社内必須研修の実施に取り組んでいます。 |
| Dunn-Edwards | 0 (0) |
0 (0) |
1.38 (-73.3%) |
1.06 (-34.3%) |
車両事故の削減を重点課題として、コミュニケーションの強化、注意喚起、コーチング、研修を通じて対策を進めています。フォークリフトと歩行者の安全についても、毎週の定例ミーティングで継続的に確認しています。 また、洗浄排水処理プロセスについても、処理薬剤や計器類の選定、運転方法の見直しを含めて継続的に評価・改善を進めており、処理の安定性向上と、変動に伴う運用上・安全上のリスク低減を図っています。 |
| AOC | 1 (n/a) |
0 (n/a) |
0.39 (n/a) |
0.22 (n/a) |
安全意識の向上や学びの継続的な共有により、Tier 1およびTier 2の安全事故件数は28%減少しました。さらに、行動変容への理解を深めるためのSite Leadership研修の改善や、期待事項の明確化も進めました。 |
| 合計 | 5 (0) |
1 (+1) |
0.41 (-22.5%) |
0.29 (-21.5%) |
これらの改善は、ベストプラクティスの共有や事故からの学びの共有を通じて推進されています。また、各PCGに共通するプロセス安全の運用基準を定め、整合を図るため、プロセス安全協働グループを設置しました。この取り組みは2026年以降も継続します。 |
推進体制
当社グループはマテリアリティの一つとして労働安全衛生を特定して以来、労働災害発生の未然防止、従業員が安心して働ける環境づくりに向けた取り組みを進めています。2022年には、グループ共通のGlobal Code of Conductを制定し、従業員やステークホルダーの安全への配慮を明記しました。
具体的な取り組みとしては、取締役 代表執行役共同社長直下に設置したサステナビリティチームにて、ESG課題の一つとして労働安全衛生施策について方針や取り組みを議論し、共同社長に対するレポーティングを行います。
日本においては、日本ペイントグループ(国内)各社が参画するRC委員会やグループ安全環境会議および製品安全会議を通じて安全衛生活動の改善や問題解決に取り組んでいます(構内業務請負会社を含む)。そのなかで、グループ内で発生した事故災害の情報や異業種における事故事例を共有し、その対策についても横展開を行い、再発防止を図っています。
各社、各地区においては、RC委員会や安全衛生委員会などを実施し、そこで決定した事項の展開だけでなく、各地区の安全環境問題を明確にするとともに、従業員全員が参加し問題の改善にあたっています。各地区において、リスクアセスメントを積極的に実施し災害の未然防止に取り組んでいます。
日本ペイントグループ 労働安全衛生推進体制(当社グループのRC推進活動体制を基盤とする)
労働安全衛生マネジメントシステムの詳細はこちらをご覧ください。
リスク評価
各社、各地区においては、RC委員会や安全衛生委員会などを実施し、そこで決定した事項の展開だけでなく、各地区の安全環境問題を明確にするとともに従業員全員が参加し問題の改善にあたっています。各地区において、リスクアセスメントを積極的に実施し災害の未然防止に取り組んでいます。
当社では労働安全衛生に関するリスクアセスメントの実施と評価結果に基づくリスク低減措置の計画実施およびリスク受容措置の確実な順守を目標の一つとして掲げており、日本グループはSA(セイフティーアセスメント)、RA(リスクアセスメント)活動を以下のタイミングで実施するよう、展開しています。
- 設備、原材料、作業方法などを新規に採用し、または変更するなどリスクに変化が生じたとき実施
- 機械設備などの経年劣化、労働者の入れ替わりなどを踏まえ、定期的に実施
- 既存の設備、作業については計画的に実施
重大災害ゼロ件の目標達成に向け、安全衛生活動の根幹であるリスクアセスメント活動においては、近年、増加傾向であった「転倒」「動作の反動、無理な動作」による災害について重点見直し対象として推進しました。また、グループ内で発生した災害については国内グループへ展開し、現場のルールや安全対策を見直し、管理強化を図りました。例えば、NIPSEAグループで発生した事故を巡っては、2024年に以下の対策を実施しました。
- NPI-AR(インド)中央配送センターでの火災事故(2023年11月)
- 事故発生拠点の全ての中央配送センター(CDC)と事業部の倉庫にCCTVを設置
- NIPSEAグループの安全ガイドライン順守を確認するため、全ての事業部が外部倉庫の検査を実施
- 外部倉庫の高リスク在庫について財務部門によるSAPを用いたレビュー
- サプライチェーンチームと安全チームによるCDC・倉庫の共同検査を実施し、現地での在庫管理状況を評価
- 外部倉庫や施設を賃借する前に、徹底したデューデリジェンスを実施
- 事業部責任者が四半期ごとに外部倉庫の状態を写真で確認。火災危険リスクを最小に抑えるべく、可燃性物質の厳格な保管管理プロトコルを施行
- PT Nipsea(インドネシア)製造拠点での爆発事故(2023年12月)
- 事故の根本原因に対処するべく、タンクの適切な設置や安全対策を改善
- 関連従業員への再研修を実施し、製造施設全体で定期的な再研修のスケジュールを確立
また、合併や買収の対象企業や、新規取引先に対して、労働安全衛生を含んださまざまな項目におけるリスクアセスメントとデューディリジェンスを実施しています。
化学物質のリスクアセスメントについての詳細はこちらをご覧ください。
目標および実績
当社グループはレスポンシブル・ケア活動の一環として、「労働安全衛生・保安防災」について目標を設定し、その達成に向けて取り組んでいます。
目標及び実績は「環境・安全マネジメント」ページをご参照ください。
具体的な取り組み
グローバル安全衛生活動 海外グループ会社への安全統制支援
当社グループは海外グループ会社における安全・環境活動に対して、積極的な支援を継続的に実施しています。グローバル「環境&安全」チームおよびプロセス安全協働グループを通じて、各PCGの環境・安全部門のシニアリーダーが、安全実績のベンチマーキング、ベストプラクティスの共有、事象からの学び、プロセス安全リスク管理に関する協働を進めています。2026年には、共通のプロセス安全基準および管理策適用に関するベストプラクティスの策定を継続します。
安全衛生教育
当社グループは、労働安全衛生教育を各社・各拠点にて定期的に開催し、労働災害の未然防止と意識啓発に努めています。
日本グループ取り組み:安全衛生教育の参加人数160名