労働安全衛生
化学物質の取り扱い、機械設備の操作、製造に関わる作業などによる災害や健康被害は依然として化学メーカーとしては大きなリスクと考えています。従業員をはじめ事業に関わる全ての人々の安全を確保しリスク最小化のための投資や教育などに取り組みます。

基本方針
当社グループは、マテリアリティの1つとして「労働安全衛生」を掲げています。各パートナー会社は、職場の安全や従業員一人ひとりの健康維持・増進が企業経営の基盤であるとして、労働安全衛生の取り組みを推進しています。
2021年、ESG委員会(当時)傘下のグローバルワーキングチーム(現:グローバルチーム)にて、労働安全衛生に関する方針を設定しました。
NIPSEAグループでは、健康・安全・環境(HSE)について、1安全衛生対策の重要性をめぐる従業員の意識を高めること、2主要なHSEパフォーマンス指標(KPI)の目的と目標を設定すること、3HSEパフォーマンスの定期的なレビューを実施すること、4HSEの実施、維持、改善のための予算を配分すること、5苦情処理制度を利用できるようにすること、を推進しています。例えば、1については、トップマネジメントやHSE委員会、部門長、従業員に対し、さまざまなコミュニケーションツールを活用して意識向上を促し、化学物質やPPEの安全性、機械の使い方、救命・救急法などについて、社内外の専門家による講習会や説明会を開催し、HSEに関する注意事項の周知を図っています。
Dunn-Edwardsでは安全確保のため、職場の評価、データ・観察結果の分析、是正措置の実施、是正措置の評価の側面からの対応を検討しています。2022年度は車両安全、施設の安全、吊り上げの安全3分野に注力し、例えば持ち上げに関連する負傷の頻度や重大性のため、吊り上げによる負傷を減らすための努力に重点を置いています。具体的には、トレーニング、機械的補助装置、エクササイズなどの取り組みを行っています。
DuluxGroupのトレードセンターでは、接客する従業員が毎日ペンキ缶を持ち上げたり運んだりする際のリスクを減らすため、空気圧で作動するフックリフトを設置するなどの多くの投資を行ってきました。さらに、2021年にカーティン大学と共同でウェアラブルテクノロジーを活用した日常業務における手作業のストレス分析、高リスク作業の特定などを実施しました。この情報を活用し、特定の作業のリスク低減や身体にかかる負担の可視化が可能となりました。
労働安全衛生に関する方針
私たちは顧客・従業員・取引先・社会全体の健康と安全、幸福に配慮します。
推進体制
当社グループは2020年にESGステートメントを制定し、マテリアリティの一つに労働安全衛生を特定して以来、労働災害発生の未然防止、従業員が安心して働ける環境づくりに向けた取り組みを進めています。2022年には、グループ共通のGlobal Code of Conductを制定し、従業員やステークホルダーの安全への配慮を明記しました。
具体的な取り組みとしては、取締役 代表執行役共同社長直下に設置したグローバルチームにて、ESG課題の一つとして労働安全衛生施策について方針や取り組みを議論し、共同社長に対するレポーティングを行います。
日本においては、日本ペイントグループ(国内)各社が参画するRC委員会やグループ安全環境会議および製品安全会議を通じて安全衛生活動の改善や問題解決に取り組んでいます(構内業務請負会社を含む)。そのなかで、グループ内で発生した事故災害の情報や異業種における事故事例を共有し、その対策についても横展開を行い、再発防止を図っています。
各社、各地区においては、RC委員会や安全衛生委員会などを実施し、そこで決定した事項の展開だけでなく、各地区の安全環境問題を明確にするとともに、従業員全員が参加し問題の改善にあたっています。各地区において、リスクアセスメントを積極的に実施し災害の未然防止に取り組んでいます。
日本ペイントグループ 労働安全衛生推進体制(当社グループのRC推進活動体制を基盤とする)
労働安全衛生マネジメントシステムの詳細についての詳細はこちらをご覧ください。
リスク評価
各社、各地区においては、RC委員会や安全衛生委員会などを実施し、そこで決定した事項の展開だけでなく、各地区の安全環境問題を明確にするとともに、従業員全員が参加し問題の改善にあたっています。各地区において、リスクアセスメントを積極的に実施し災害の未然防止に取り組んでいます。
当社では労働安全衛生に関するリスクアセスメントの実施と評価結果に基づくリスク低減措置の計画実施およびリスク受容措置の確実な順守を目標の一つとして掲げており、国内グループはSA(セイフティーアセスメント)、RA(リスクアセスメント)活動を以下のタイミングで実施するよう、展開しています。
- 設備、原材料、作業方法などを新規に採用し、または変更するなどリスクに変化が生じたとき実施
- 機械設備などの経年劣化、労働者の入れ替わりなどを踏まえ、定期的に実施
- 既存の設備、作業については計画的に実施
重大災害ゼロ件の目標達成に向け、安全衛生活動の根幹であるリスクアセスメント活動においては、近年、増加傾向であった「転倒」「動作の反動、無理な動作」による災害について重点見直し対象として推進しました。また、グループ内で発生した災害については国内グループへ展開し、現場のルールや安全対策を見直し、管理強化を図りました。
また、合併や買収の対象企業や、新規取引先に対して、労働安全衛生を含んださまざまな項目におけるリスクアセスメントとDD(デューディリジェンス)を実施しています。
化学物質の管理についての詳細はこちらをご覧ください。
目標および実績
当社グループはレスポンシブル・ケア活動の一環として、「労働安全衛生・保安防災」について目標を設定し、その達成に向けて取り組んでいます。
2021年度の目標及び実績は「環境・安全マネジメント」ページをご参照ください。
従業員・請負業者の休業災害度数(グローバル)
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休業災害度数(20 万時間当たり)
※集計範囲:グローバルデータは、NIPSEAグループ、DuluxGroup、日本グループ、Dunn-Edwardsの合算。
具体的な取り組み
グローバル安全衛生活動 海外グループ会社への安全統制支援
当社グループは海外関係会社における安全環境活動に対して、積極的な支援を継続的に実施しています。2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、現地へ訪問しての支援ができませんでしたが、NIPSEA Safety & Sustainability Councilや拠点別でのウェブ会議を通じて、各国の活動、リーダーの力量の向上に取り組みました。2020年度より、火災・爆発など操業停止に関わる重大リスクとその是正を主たる目的とした評価リストをリニューアルし、海外関係会社へ展開しながら、重大災害の未然防止に努めています。
安全衛生教育
当社グループは、労働安全衛生教育を各社・各拠点にて定期的に開催し、労働災害の未然防止と意識啓発に努めています。そのうち2021年度の国内グループ共通での安全研修は以下の通りです。
- 新入社員研修:89名
- 新入社員フォローアップ研修:78名
- ISO内部監査員養成講習:113名