ダイバーシティ&インクルージョン
D&Iステートメント
日本ペイントグループでは、ともに働く人々を経営上の唯一ミッションである株主価値最大化(MSV)の実現に欠かせないものとしています。
私たちは多様性※を尊重し、インクルージョンの重要性を認識しています。だからこそ私たちは、“違い”が歓迎され評価される文化を醸成し、すべての従業員が潜在能力を最大限に発揮できるよう、必要なリソースへアクセスができ、人として尊重されている、と感じるような環境を育むことを決意しています。
日本ペイントグループでは、人が重要な役割を担っており、多様な人材の活躍と貢献がMSV実現の原動力となると確信しています。
推進体制
日本ペイントホールディングスはマテリアリティの一つにダイバーシティ&インクルージョンを特定し取り組みを進めています。具体的な取り組みとしては、取締役 代表執行役共同社長直下に設置したグローバルチーム(「人とコミュニティ」チーム)にて、各パートナー会社の人事施策などについて方針や取り組みを議論し、共同社長に対するレポーティングを行い、共同社長は取締役会に随時報告することで、取締役会はこのチームが担当するマテリアリティに関する活動を監督しています。
「人とコミュニティ」チームでは各パートナー会社の好事例の共有や重点課題を特定し、パートナー会社ごとにロードマップを策定し、自律的に取り組みを進めています。
多様な人的資本の育成
多様な人的資本の育成は、「アセット・アセンブラー」モデルにおける最も重要な基盤の1つです。
MSVの実現には、高いスキルと意欲を持った多様な人材が不可欠であり、多様なバックグラウンドを持つ人材の登用に加え、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」に関する教育と意識の向上を推進しています。職場における人種、性別、宗教などの多様性に関連する差別やハラスメント、暴力の排除に加えて、誰もが歓迎・尊重されていると感じられる快適な職場環境の構築に取り組んでいます。
各パートナー会社は、それぞれが事業を展開する国・地域に適した取り組みを通じて、人的資本を強化しています。
2022年1月に制定した「グローバル行動規範」は、多様性と人権尊重に向けた当社グループの取り組みを明確に示したものです。これに加え、世界各地のパートナー会社では、多様性の維持・拡大を目指した人材マネジメントを行っています。「コーポレート・ガバナンス方針」においても、当社グループが多様性を重視することを明記しています。
DuluxGroup
DuluxGroupは、多様な視点や経験がイノベーションを後押しし、業績を向上させると確信しています。各リーダーは、全従業員が職場を自分の居場所と感じ、個人の能力を最大限に発揮できるような環境を整えることに重点を置いています。 男女平等の実現に向けては、採用戦略、社内の人材管理、人材育成を通じて組織内の全ての職種、特に幹部職における女性比率を高めてきました。上層部200人の女性比率は、過去10年間で2倍以上になりました。 キャリア形成の機会やフレックスタイム制度などの魅力ある施策・制度を積極的に推進することで、優秀な女性人材を起用・維持するだけでなく、業界からジェンダーに対する固定観念を取り除くことを目指しています。
Dunn-Edwards
Dunn-Edwardsは、北米市場の多様性を反映した組織を構築してきたことに誇りを持っており、全ての従業員が会社に受け入れられ、評価されていると感じ、機会や指導、サポートを平等に利用できる包括的で多様な環境を整備しています。 こうした考えに基づいてDE&I委員会を設置した2020年以降に実施した全ての活動や取り組みは、DE&Iに向けた取り組みと現状に関する従業員の感想などの調査をもとに作り上げてきました。 Dunn-Edwardsは、キャリア形成やキャリアアップに必要なリソースの拡充、全従業員を対象としたDE&I研修の実施、透明性の向上を目的とした新たなイントラネットとコミュニケーション戦略の立ち上げに取り組んできました。今後もデータを活用した取り組みを通じて、心地よく協力的な職場環境を整備していきます。
NIPSEAグループ
NIPSEAグループは、性別、世代、国籍、専門性の異なる人材を受け入れる、多様で包括的な人材育成に誇りを持って取り組んでいます。事業を展開する地域で実績を上げるためには、多様性のあるチームを築くことが重要と認識しています。「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」活動の一環として、「人とコミュニティ」の取り組みに関する専門委員会を設置しました。同委員会は、D&Iに関する方針やプログラムに沿った取り組みを実施する上で重要な役割を果たしています。 NIPSEAグループは、幹部職と若手リーダー職の双方で女性比率35%を目指しています。 この目標を達成するために、組織全体で女性の人材を惹き付け、定着させ、育成するための支援的な職場環境を整備しています。また、D&I委員会は、ダイバーシティとインクルージョンの取り組みを引き続き推進しています。さらに、グループレベルの女性メンタリングプログラムを成功させ、メンタリング受講者の活躍を促し、地域での女性メンタリングプログラム設立を支援しました。
日本グループ
日本グループは、女性幹部職比率を2025年までに10%へ引き上げる目標を掲げており、次世代女性リーダー候補の育成やキャリアビジョン策定の支援、幹部職への昇進に関する従業員の意識改革などを進めています。特に注力する取り組みとしては、2022年7月に発足した「D&I Committee Japan」の活動の一環として進めている次世代女性リーダー候補の育成です。この取り組みを通じて、女性従業員にあらゆる支援と育成機会を提供し、より主体的にキャリア目標を設定することを奨励しています。2023年度には、次世代リーダー候補として約50名の女性を選出し、キャリア開発のためのプログラムを提供しました。この過程で、次世代リーダー候補は経営陣に対して非常に有効な提案を行い、その一部は実施されています。 従業員は年に1回実施する自身のキャリア目標の発表と上司との個別面談を通じて、目標の達成に継続的に取り組んでいます。この取り組みにより、女性を含む全ての従業員が自分でキャリアを築く重要性を認識するようになり、意識改革を推し進める効果をもたらしています。年1回発表される幹部職人事で女性が優遇されるわけではありません。ただ、優秀な人材として女性が見過ごされないよう、経営も上司も注意深く人選し、適任者を昇格させています。
ロードマップ
2024年4月4日発表
Step1 2023年 |
Step2 2024年 |
Step3 2025年 |
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各PCGにおいてD&I研修を開始
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日本グループのD&I取り組み事例
日本グループの男女別賃金差異
日本グループ全体について、賃金は従事する役割や職務の大きさに基づき決定しており、従事する役割や職務が同一の場合、当然のことながら賃金の基準に性別による差はありません。
男女の賃金差異を生じさせている主な要因は、幹部職に占める女性従業員の割合が低いことと分析しています。幹部職に占める女性の比率を2025年までに10%へ引き上げる数値目標のもと、女性従業員やその上司に対する育成などの施策を進めており、今後、女性幹部職比率の向上に伴い男女の賃金差異は縮小すると考えています。
男女別賃金差異(2022年)
全従業員 | 正規従業員 | 非正規従業員 | |
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日本ペイント・オートモーティブコーティングス(NPAC) | 66.9 | 75.8 | 67.3 |
日本ペイント・インダストリアルコーティングス(NPIU) | 77.8 | 79.8 | 81.4 |
日本ペイント(NPTU) | 73.6 | 77.2 | 76.3 |
日本ペイントコーポレートソリューションズ(NPCS) | 77.4 | 79.6 | 77.8 |
(参考)NPACにおける賃金差異分析
NPACは他のパートナー会社に比べて非正規従業員の人数が多く、非正規従業員における差異が67.3%となっていることが大きく影響しています。非正規従業員における男女の差異は、労務構成差(定年再雇用者の比率:男性64%、女性2.9%)によるものと分析しています。
ワークライフバランス施策
日本グループでは、在宅勤務制度や時間単位の有給休暇取得制度、時短勤務など、育児や介護など社員のライフイベントに合わせた柔軟な勤務制度を整え、制度説明会などの実施を通じて取得を推奨しています。
制度 | 対象者 | 概要 |
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フレックスタイム制度 | 全員 | コアタイム午前11時から午後2時の勤務を原則に、勤務開始時間・終了時間を選択可能 |
短時間勤務制度 | 未就学の子を持つ社員、 要介護状態の家族を介護する者 |
1日につき2時間を限度とし、出退勤時間を30分単位で短縮可能 |
子の看護休暇 | 中学校1年に達するまでの子を持つ社員 | 子1人の場合 年間7日 2人以上の場合 年間10日 1時間単位、1日単位で取得可能 |
介護休暇 | 要介護状態の家族を介護する社員 | 対象者1人の場合 年間7日 2人以上の場合 年間14日 1時間単位、1日単位で取得可能 |
生理休暇 | 女性社員 | 生理日の就業が著しく困難なとき。毎潮2日以内 |
単位別の有給休暇制度 | 全員 | 半日単位、時間単位で取得可能 |
ワンウィークホリデー | 入社2年目以上全員 | 毎年連続5日間の年次有給休暇の取得 |
在宅勤務制度 | 育児・介護中の者 海外関連業務に従事する者 |
月4回を限度に在宅勤務可能 コロナ禍においては、全従業員に対して、限度回数を設けず適用 |
保育手当 | 満3歳未満の⼦を保育する社員 | 保育施設利用時の保育料の補助あり |
育児休業制度 | 満3歳未満の⼦を保育する社員 | 最長3年間 |
介護休業制度 | 要介護状態の家族を介護する者 | 年間6カ月を限度に介護事由での休業を認定 |
在宅勤務制度の整備状況
男性育児休暇取得の奨励
男性従業員の育児参加は、男性従業員の希望に応えるだけでなく、女性に偏りがちな育児の負荷を軽減し、夫婦ともに持続的なキャリアを築いていく上でも重要です。日本グループは、男性の積極的な育児参加を支援するために、男性の育児休暇取得を後押ししています。特に社内メディアにおける男性育休体験談や経営からのメッセージ等、男性が育児休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んでいます。
実際に取得した男性社員(写真右端)からは、「ミルクを上げる、おむつを替える、寝かしつける、これだけのことも、最初は思い通りにできなく、反省・失敗の連続でした。私の子育ては、今まで奥さんに頼り切っていたところがあったと痛感しました。子どもの成長に寄り添うことが自分にとっての財産になると改めて感じ、働き方を見直す良いきっかけとなりました」とコメントをいただきました。