トップメッセージ

日本ペイントグループはイノベーションとPurposeを推進力にして、持続可能な未来を築きます。その実現のために、経営上のミッションである「株主価値最大化(MSV)」の礎を固め、事業を展開する国々の顧客、従業員、パートナー、地域社会に対する社会的責任を果たすことを目指します。
私たちは、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、多くの生命や生活に影響を与えていることを目の当たりにしました。そこで、私たちは、eコマース事業の拡大や持続可能な未来を築くための抗ウイルス製品の開発・販売など、お客さまや地域社会の要請に応えるのみならず、強力に支援するための迅速な行動を取りました。これは、ビジネスを通じて良いことをする、という私たちの信念を示すものであり、今回の危機的状況下においては地域社会や事業活動を向上させることができました。
当社グループは2021年度より、3カ年の新中期経営計画をスタートし「地域・事業戦略」と「サステナビリティ戦略」の2軸で事業を推進しています。サステナビリティ戦略では、SDGsやESGの視点が、企業の持続的な成長とMSVの達成において重要であると認識しています。気候変動や資源枯渇、急速な都市化、新型コロナウイルスをはじめとした感染症、自然災害など、社会の急激な変化や社会課題を視野に入れながら、サステナビリティを意識した経営を推進してきました。2023年度に向けては、2020年度に公表した「ESGステートメント」や「マテリアリティ」を踏まえた「ESGアジェンダ」に基づく具体的なアクションを前進させていく方針です。
昨年特定した6つのマテリアリティは、当社と社会の持続的な成長にとって最も大切な課題として認識を新たにしたものです。6つのマテリアリティとは、気候変動、資源と汚染、ダイバーシティ&インクルージョン、労働安全衛生、コミュニティとともに成長、社会課題を解決するイノベーション創出です。これらは当社グループが自然や社会と共存し、経済、社会、環境の3つの要素をバランスよく一体となった形で実施する上で欠かせないテーマです。
マテリアリティの中で最重要課題と位置付ける「気候変動」については、CO2排出量ネットゼロに向けてすでに具体的な課題抽出と対策の検討を開始しています。グループ全体で再生可能エネルギーの調達やカーボンプライシングの財務影響を把握するとともに、世界各地で省エネルギー設備の採用や再生可能エネルギーの自前調達に向けた投資も検討しており、CO2対策と収益力向上の両面から対応していきます。
また、ESGへの取り組みを通じた新たな事業機会の探索も進めています。特にBtoBビジネスでは「低CO2排出製品」に対する顧客の需要が高まっていることから、洋上風力発電設備用塗料や環境負荷が低い次世代型船底防汚塗料「FASTAR」などの拡販に注力していきます。また抗ウイルス・抗菌ブランド「PROTECTON ®」などの製品は、「正にそこにある社会課題」への対応を通じて収益にも寄与するものであり、引き続きPROTECTON ®ブランドの新製品を順次発表していく計画です。
ESGやコンプライアンスに対する社会からの要請レベルは日増しに高まっていると感じています。企業の社会的な責任を果たすためには、企業単独の取り組みではもはや十分ではありません。より深い消費者やコミュニティとのつながりを創ること、イノベーションによる変化やソリューションを加速させていくことにより、ステークホルダーの要請に基づいたサステナビリティの創出に取り組んでまいります。
そしてPurposeに込めた「サイエンス+イマジネーションの力で、わたしたちの世界を豊かに。」というアイデンティティが示すように、社会に価値をもたらす技術で成長と繁栄を導くという精神を、当社グループのあらゆるパートナー会社と全ての従業員の間で共有し、グループの目標実現につなげていきます。
代表執行役共同社長 若月雄一郎
代表執行役共同社長 ウィー・シューキム
2021年11月30日