モーダルシフトとは
モーダルシフトは、日本物流団体連合会が2003年から始めた取り組みで、貨物輸送手段を自動車から鉄道や船舶へシフトすることで、二酸化炭素排出量削減やエネルギー効率の向上およびドライバー不足問題の解消に貢献する活動です。
荷主であるNPAC※愛知高浜工場(業務)は日本通運株式会社様と協働し、愛知高浜工場の製品輸送ルートの一部を鉄道輸送へ切り替えを実施しています。この功績が認められ、「第1回モーダルシフト優良事業者賞」奨励賞および「第26回物流環境大賞」奨励賞を受賞しました。
※日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社

導入に伴う環境負荷低減への効果
日本グループでは、温室効果ガス(スコープ1, 2)の2050年ネットゼロという目標を掲げており、全社的に取り組んでいます。2020年末より物流部門として貢献できることはないか検討を重ね、2024年よりスコープ3カテゴリー4「輸送、配送(上流)」に焦点を当てたモーダルシフトによる削減に取り組みました。
貨物輸送における輸送量当たりの二酸化炭素排出量は、営業用貨物車(トラック)207g-CO2/t・kmに対して、鉄道19 g-CO2/t・kmと約10倍も排出量が異なります。
当社は2024年1月に福岡県への輸送にモーダルシフトを導入し、トラック輸送から鉄道輸送へ切り替えたことで、二酸化炭素排出量を71.8%削減することに成功しました。また、2025年1月には広島県と山口県への輸送にも導入し、結果として、広島県で70.6%、山口県で68.8%と大幅な二酸化炭素排出量の削減に成功しました。

■営業用貨物車(g-CO2/t・km)
■船舶(g-CO2/t・km)
■鉄道(g-CO2/t・km)
※参照元:国土交通省

■実施前(t)
■実施後(t)
■年間CO2排出量削減率
トラックから鉄道輸送への切り替えまでの道のり
モーダルシフトの導入には、トラブルや自然災害時のBCP(事業継続計画)対策と、納期厳守という自動車業界特有の要請を両立させる必要がありました。2020年から約3年間にわたり、プロジェクトチーム一丸となり、多くの物流業者との交渉を続けた結果、日本通運株式会社様の全国規模での流通網を活かした「鉄道が止まればトラックで運ぶ」と言う柔軟な提案の元、日本通運株式会社様との協力体制が実現しました。
最終的には大容量の塗料を鉄道で運搬することを目指し、まずは2021年からコンテナ輸送(小容量)で鉄道輸送のトライアルを行い、鉄道輸送の信頼・実績・ノウハウを蓄積するところからスタートしました。また、鉄道に積んでいる当社専用のISOタンクコンテナをトラックで輸送できるように、当社に合わせた専用のトラック(ISOタンクコンテナ専用化)を作成いただくなど、BCP対策を含め、3年かけて運搬可能な体制を整えました。


導入実績と今後の取り組み
実績構築が整った2024年1月にまずは福岡県への納品で鉄道輸送導入に成功し、続いて2025年1月に広島県、山口県への導入にも成功しました。広島県や山口県は福岡県に比べて輸送量が約3倍と多く、品目や納品先も増加したため、積み込みや到着時間の細かな調整が必要でした。また、当社内や輸送業者だけでなく、納品先のお客様を含めた協議と承認が不可欠であり、当社内の生産部・営業部・技術部含む生販技一体となり連携し、CO2削減やドライバーの負担軽減、鉄道輸送の一時保管機能での納期猶予やISOタンクコンテナ使用による品質保証などのメリットとこれまでの実績を丁寧に説明し、導入を実現しました。
今回初めて本格的な大容量での鉄道輸送導入の実績を構築でき、今後もモーダルシフトの拡大を検討しています。将来的には他事業会社にも取り組みを展開し、日本グループとして持続可能な社会の実現に貢献することを目指していきたいです。

