研究開発
2025.12.18

塩害環境でも優れた防さび性能を発揮する「ダンジオーラ」

潮風や湿気にさらされ、早期に腐食が発生しやすい塩害環境でも、橋梁やプラント設備を長持ちさせる塗料技術です。

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海沿いに位置する工場・プラント設備や橋梁は長年にわたり潮風や湿気、塩水にさらされ続けるため、これらを長期間にわたって保護するには、耐塩害性に優れた防さび塗料が欠かせません。長寿命化の実現と維持管理コストを低減したいという顧客ニーズに応えるために開発したのが、優れた防さび性能と省工程を実現する塗料「ダンジオーラ」です。

高遮断のメカニズム

逆転の発想で塩害環境から鋼構造物を守る

製品名の「ダンジオーラ」は、“遮断(ダン)と塩(ジオ)”を組み合わせていて、塩害環境から橋梁やプラント設備を守るという意味を込めています。一般的に腐食の因子は塩分・酸素・水分とされています。金属の腐食を防ぐには、これらの腐食因子と金属表面を遮断する表面処理が必要で、その一つが塗装による環境遮断です。一方で、水蒸気の透過を完全に遮断することは現在の塗膜構造上では難しいため、経時で透過してきた水蒸気に特殊顔料が溶け出して、樹脂と疑似的に結びつき、緊密な塗膜となることで塩分と酸素の透過をさらに抑制させる。これが「ダンジオーラ」の高遮断メカニズムです。水分をむしろ有効活用するという逆転の発想を形にしました。

工期短縮やコスト削減に貢献

塗料が均一に塗れ広がるように調整する「素地調整」には、研磨材を使用したり、電動工具でさびを落としたりするなどの方法がありますが、橋梁や工場・プラント設備の塗り替えにおいては、火気厳禁なことや狭所での作業が必要になることから素地調整が難しく、さびが残ってしまう中で塗装することが求められるケースもあります。そこで、さび面に塗装した場合も迅速に安定構造に変化させる「さび転換機能」を有しつつ、「さび止め」の機能も発揮する塗料を開発しました。
また、従来の下塗り塗料は、夏場は乾きやすく常温乾燥できますが、冬場は乾きにくく、特に寒冷地での工期の長期化にもつながっていました。そこで、「ダンジオーラ」は季節に関係なく通年で使用でき、かつ重ね塗りのための乾燥時間も極力短くするなど、幅広い環境でお使いいただける設計を実現。低温硬化性に優れているため、−5℃の環境でも乾燥が進み、工期短縮やコスト削減にも貢献することができます。

塗り替え塗装の写真

国指定重要文化財の若戸大橋に採用

塩害環境で塗装する場合は、腐食因子を遮断するべく、4工程の塗り作業(下塗り2回、中塗り1回、上塗り1回)を実施しますが、「ダンジオーラE下塗」は高い遮断性を有しているため、下塗り1回で2回塗りと同等以上の性能を発揮します。そのため、従来120μm(1μm=1/1000mm)の膜厚を必要とした下塗りを半分にすることができ、薄膜化に成功しました。さらに、上塗りを厚膜化することで中塗り工程も削減。これによりトータルの膜厚が薄くなり、工程や工期の削減に加えて、塗料の使用量削減も実現し、環境負荷の低減にもつながります。2025年1月、「ダンジオーラ」は国指定重要文化財の若戸大橋(北九州市)の補修工事にも採用されました。これからも国に認められた技術としてその優位性を積極的に訴求していきます。

若戸大橋の写真

「ダンジオーラ」に関するお問い合わせ先

開発ストーリー

  • 重要文化財を腐食から保護し、次代に継承 ― 防さび塗料「ダンジオーラ」開発秘話

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