製品・事業
研究開発
2025.06.30

自動車の製造工程におけるカーボンニュートラル実現に貢献する金型内塗装技術

自動車の樹脂部品を成形する際に金型内に塗料を注入し、樹脂成形と表面塗装を一工程で行う技術です。

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SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向け、自動車業界においても環境負荷の低減が求められています。日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(以下、NPAC)と主に自動車の外装部品などを手掛ける内浜化成株式会社が共同で開発した型内塗装は、自動車の樹脂部品を成形する際に金型内に塗料を注入し、樹脂成形と表面塗装を一工程で行う技術です。従来は部品を成形した後に塗装と乾燥を行っていましたが、この技術を用いることで製造工程を短縮し、省エネルギー化やCO2排出量の削減に貢献します。
型内塗装試作品

工程を短縮し、設備スペースの削減も実現


型内塗装は金型内に塗料を注入し、成形品の表面に塗膜を形成する塗装方法です。従来のスプレー塗装では塗着効率は約70%でしたが、型内塗装は金型内に直接、塗料を注入することで、塗着効率100%を実現しました。また、これまでは大規模な乾燥炉が必要でしたが、型内塗装では金型の中で塗装が完結するため、設備スペースが不要になります。従来は約1時間を要していた乾燥工程も、塗料の硬化時間を速めることで1分以内に短縮。CO2排出量の削減に大きく寄与します。

曝露試験

環境に配慮した無溶剤タイプの塗料を採用


型内塗装用に開発した塗料は、VOC(揮発性有機化合物)をほとんど含まない無溶剤型で、CO2の排出量を約60%削減することが見込まれています。これまで培ってきた自動車用塗料のノウハウを駆使することで、一般的なスプレー塗装と同等以上の性能を実現し、過酷な屋外環境下でも長期間にわたり、美観と性能を維持することができます。

さらに、高い表面平滑性を実現しつつ、金型内に彫り込んだ模様を精密に転写するため、従来は再現できなかった幾何学模様やエンボス風加工などのデザインを施すことも可能です。構造発色による虹色意匠も付与することができ、自動車のデザインに新たな可能性をもたらします。

車の走行シーン

環境配慮と美しい外観の両面から提案


また、国内で唯一、大型の熱可塑性樹脂部品に対応しているのも本技術の特徴の一つです。熱可塑性樹脂は加熱すると溶融し、冷却すると硬化する特性を持っています。金属よりも軽量でありながら耐久性や強度を維持することができ、燃費向上の観点からも自動車の外装部品に幅広く採用されています。

近年、自動車業界では車体を軽量化する動きが進んでいます。こうした流れを追い風に、環境配慮と美しい外観という両面から、型内塗装ならではの価値を提案していきます。


金型内塗装技術に関するお問合せ先

・日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 お問合せはこちら

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