2023年12月期 第4四半期決算 質疑応答要旨

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質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1NIPSEA中国の第4四半期は閑散期に当たるため、他の四半期と比較して売上は低い傾向にある一方、営業利益率も固定費が一定のため低くなる傾向があります。販管費を抑制した第3四半期に対して、第4四半期は2024年に向けた投資も行っており、特にCCMの設置や広告宣伝に費用を投入しました。それらを踏まえても、第3四半期、第4四半期だけでなく、通期を通じて非常に健闘したと評価しています。
    2024年については、経済環境があまり芳しくない状況においても、引き続きTUCを中心とした成長戦略から変更はなく、3~6級都市だけでなく、特級・1~2級都市でもシェア拡大を目指していきます。TUCでは、小規模な企業をはじめとして撤退する競合他社が複数出てきています。一部の小規模な競合他社については、当社ブランドのOEM先となっている企業もあり、非常に効率的に成長できている今の戦略に自信を深めています。
    TUBについては、新築住宅向けへの依存から脱し、学校や公共施設などの非住宅系へ売上分散が進むことでマージン確保にもつながっており、併せてオペレーティング・レバレッジ効果も出てくると見込んでいます。
    その上で、2024年は、2023年に発生した補助金等85億円の剥落がありますが、2023年並みのマージンを十分に確保できると見通しています。特に第1四半期に当たる3月は需要月のため、3月の動向が2024年ガイダンスの妥当性を検証する1つの材料になると考えています。

  • A2TUCの売上成長は、販売数量がプラス貢献する一方で、エコノミー製品の売上が多い3~6級都市での売上成長が特級・1~2級都市を上回っていることから、価格/ミックスはやや悪化しているものの、それらを加味しても2024年の売上目標達成に向けた手応えはあります。しかし、中国は非常にダイナミックに変化する市場であるため、状況が変わる可能性はあります。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1説明資料P5に記載の通り、短信ベースの営業利益は+9%の増益を見込んでいますが、一過性損益(約+85億円)や引当金(約-60億円)を除けば+11%の増益となる見込みです。+11%増益をベースとすれば、新規連結影響は約+3.5~4%の貢献となります。

  • A2+11%の増益のうち、既存事業が約+7.5~8%、新規連結影響が約+3.5~4%となり、既存事業でも十分に高い成長が見込めると考えています。

  • A3TUCについては、2022年時点の当社シェアが24%で1位なのに対して、2位、3位の競合他社のシェアは1桁台後半と推測しており、当社は競合他社を大きく引き離している認識です。また、上位3社を合計してもシェアは約40%であり、残りのシェア60%分については、当社が開拓途上である3~6級都市が中心となります。当社が3~6級都市でシェアを拡大することで、市場から撤退する小規模な競合他社も出てきており、当社は撤退した競合他社のシェアも刈り取ることで、投資効率も含めた実績を着実に積み上げています。
    当社の強いブランド力などを生かすことで十分に成長を果たせると考えており、厳しい経済環境の中で健全な警戒心を持ちながら、併せてマージンも確保するべく努めていきます。

  • A4NPI社とBNPA社はクロージング前のため詳細は差し控えますが、2023年8月に実施した「「インド事業」のウットラムグループからの買い戻しについて」の説明会でご説明した通り、NPI社は南部カルナータカ州、タミルナドゥ州の2州において積極的なプロモーションを実施した結果、シェア2位のプレゼンスと収益性を確保できており、その流れは以降も変わっていません。
    2023年後半のインド市況はあまり良くなかったものの、引き続き売上成長と収益の確保を両立することを念頭に置きながら、市場を上回る成長を目指していいきます。2023年も市場を上回る成長を達成したことから、南部2州に集中した戦略が実を結びつつあると考えています。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1もちろん第4四半期の水準が継続すれば良いですが、第4四半期は想定以上の健闘をしており、事業環境として通年で追い風が吹いているわけではありません。当社としては、少なくとも前期並みは達成可能との見立ての上で予想を出しています。
    一過性要因の有無に関しては、移転価格に関する付け替えなどの一部要因も上振れに若干作用したものの、それが大きな要因というわけではありません。自動車用では数量が大きく伸び、オペレーティング・レバレッジが効いたほか、船舶用も非常に強い需要が2022年以降で続いており、値上げを実施しています。
    このように、日本グループ全体で見ると営業利益率12.5%が平準とは必ずしも想定していないものの、10%弱を十分に確保できる素地はできつつあり、社内では10%弱を前提としながら、常にそれ以上を目指していきます。

  • A2日本の汎用は、販売数量の減少を製品値上げで補うことでほぼ相殺してきた2023年に対して、2024年は値上げ環境が一巡する中で、販売数量を巡る市場環境も多少回復すると予想しています。当社としては、さまざまな営業施策を通じて、+5~10%の増収は十分に達成可能と見込んでいます。
    市況全体は2023年比で改善する見込みであることに加えて、シェア向上を通じて相乗効果を生むことが当社の狙いとお考えください。

質問者:Millennium Capital Management Asia Limited 藤田知未氏

  • A1従前ご説明の通り、NIPSEA中国のTUCにおいては、基本的に第4四半期でキャッシュを全額回収します。これは毎年定例で実施しているため、キャッシュの回収が第4四半期に計上されるのは、例年同様です。
    TUBについても、2022年下期頃から一部の取引先に対してキャッシュ・オン・デリバリー(代金引換取引)を実施しているため、回収面での問題は現状あまり想定していません。
    このように、回収環境としては良化傾向にあると考えていますが、主には季節性が要因です。

  • A2TUCについては、事実上の現金取引を実施しています。TUBでは、ディベロッパー向けで比較的長い回収期間があった債権については、直近2年間で引き当てるべきものは引き当てています。ディベロッパーの中には引き続き重要な顧客が存在する一方で、回収の安全性を厳格に見た上で、塗り替え向けや外装用など収益源を多様化させています。
    したがって、2024年に大きな引当金を計上することは基本的に想定しておらず、その割合も極めて限定的になってきている認識です。

  • A3数字に関するコメントは控えますが、当社はバランスシートの健全性に自信を持っています。ご指摘の通り、創出したキャッシュを基本的にはM&Aに充当しながら、EPSを積み上げていくことが「株主価値最大化(MSV)」に資すると考えています。
    当社としてはM&Aを目的化していないものの、低リスクでバリュエーションが適正であるM&Aを志向する中で買収機会は常に検討しており、キャッシュの使い道としてM&Aは十分に想定しています。
    キャッシュが積み上がることはもちろんプラスですが、負債を返済することも目的としていません。手元資金を積み上げていく意味でも、無駄なキャッシュは使わないことにも併せて取り組んでいるというマネジメントとご理解ください。

質問者:コーティングメディア 近藤亮吉氏

  • A1自動車用の国内シェアはNo.2と推定しており、基本的には当社を含む2社でシェアの大部分を占めています。汎用のシェアはNo.1ですが、競合する1社も当社と近い位置にあると推定しています。工業用はコイルコーティングにおいて非常に高いシェアを持っている一方で、建機、農機、粉体塗料などではシェアはまちまちであるものの、全体として見れば工業用でもトップメーカーであることは間違いありません。そうした状況は足元で大きな変化はなく、むしろ若干上昇している状態です。

  • A2収益性の高い分野で着実にシェアを向上させるという意味において、当社は積極的かつ貪欲に各分野で力を入れています。顧客に対する価値提供を前提として、良い製品をしっかりと顧客へ届けるためにも、当社は技術力をさらに深化させていきたいと考えています。

  • A3自動車生産の回復が著しかった2023年に対して、2024年の市況カラーは緑色(-5%~+5%)と前期並みで示していますが、生産台数は少しマイナス方向と見込んでいることが主因です。

質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A12024年の市況カラーは全地域で緑色となっているものの、-5%~+5%を緑色で示しており、地域によって見通しに差はあります。これに対して、NIPSEA中国では+5~10%の増収を、DuluxGroupでは+10%前後の増収をそれぞれ見込んでおり、基本的にはシェア拡大となります。
    当社事業のうち、強固なブランドが確立している豪州や中国などの地域では、こうした市況だからこそ、さらなるシェア拡大を見込むことができるチャンスと考えています。日本でも若干の市場成長を見込む中でシェア拡大を目指しているなど、全ての地域でシェア拡大は必須として取り組んでいます。

  • A2原材料費率は2023年に下落しましたが、2024年も大きく下落するとは見込んでいません。原材料費率が多少下落する地域では、そうした場面こそチャンスになるため、プロモーションなどに回したり、一部地域では製品値下げに回す可能性もあります。
    特に変化が大きい中国市場では、プレミアム製品は価格をなるべく維持しつつ、エコノミー製品の一部では値下げもあり得ると考えています。今後3~6級都市でシェア拡大が進めば、製品ミックスの結果としてエコノミー製品の割合が増えていきますが、原材料費率は多少下落すると想定していますので、その分をプロモーションなどに回すことで、利益率を維持していく方針です。
    地域によって状況は異なるため、一般化して回答することはできませんが、総じて現状の利益率は維持していきたい考えです。

  • A3例えば50%の市場シェアを持つ豪州では、製品値下げというよりは、製品値上げを推し進めています。プレミアムブランドゆえに、値上げによって金額ベースのシェアを上げていきます。
    一方で、マレーシアやインドネシアではエコノミー製品に対するニーズも強いことから、プレミアムブランドを確立していく一方で、エコノミー製品を通じたシェア拡大にもしっかり対応していきます。
    このように、地域によって状況は異なりますが、利益率の向上に向けた取り組みが各社で異なっているだけです。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1M&Aについてはあまり多くを語ることができない前提の中で、当社が2019年以降に進めてきたM&Aは結果として建築用や周辺事業が中心となっており、基本的にはバリエーションとEPSへの貢献を重視してきました。工業用でも、安定した収益をもたらし、バリエーションも妥当であれば、買収する可能性はあります。
    MSVに資するM&Aに向けては、事業の安定性や顧客基盤などを総合的に評価した上で、リスクとリターンのバランスが非常に優れていて、優秀な企業を妥当な価格で買収することでEPSを積み上げていく方針です。企業規模や事業領域などに制限を設けず、オープンマインドで常に検討しています。

  • A2負債調達が優先ではあるものの、資本調達の可能性を排除しているわけではありません。資本調達であっても、EPSへ確実にプラス貢献し、バランスシートがより健全になるのであれば、可能性があることに変わりはありません。
    一方で、必要がない資本調達を実施することはありません。金利水準も含めて負債の調達環境は良好であることから、やはり負債調達が優先になります。

  • A3のれんが発生した時点で、常に減損リスクは存在しています。金利が上昇する中で業績は伸びないというスタグフレーションのような事態になれば、減損リスクは増大する可能性があるため、減損テストは常に行っています。
    ただし、2023年12月期において、監査は完全には済んでいませんが、減損が必要な状況や案件があるという認識はありません。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1TUCとTUBにおける2024年の売上成長率については、TUCは+15%前後、TUBは+0~5%、NIPSEA中国全体の営業利益率は2023年の12.5%とほぼ変わらないイメージです。
    2023年第4四半期のTUCは+8%の増収ですが、もう少し高い伸びを見込んでいたため想定よりは少し低い水準です。一方で、TUBは収益源の多様化を進める中でディベロッパー向けの住宅以外の公共建築物の塗り替えが増えた結果、-1%の減収にとどまり、もう少しマイナスが大きいと予測していた中で健闘したと評価しています。第4四半期は価格/ミックスが若干悪化したため、利益率としては少し悪化したものの、第3四半期と第4四半期の合計で見ていただけたらと考えます。
    第3四半期は引当前でも非常に良い数字だった分、広告宣伝やプロモーションを若干絞ったのに対して、第3四半期と第4四半期を合わせると前年対比でも実質的には増益となる中、第4四半期はCCMの設置推進や広告宣伝費などの投資を増やしました。その結果として、2024年においては引き続きTUCを中心とした成長戦略を変えることなく、結果を示すことができると考えています。
    実際に第4四半期は総合的に見ると、当社が提示した目標を上回っています。売上は若干到達しなかったものの、利益が重要であることから、四半期だけで大きくトレンドが変わったとは考えていないとご理解ください。

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