2022年12月期 第3四半期決算説明会 質疑応答要旨

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質問者:JPモルガン証券株式会社 佐野智太郎氏

  • A1第3四半期のDIYは引き続き決して楽な環境ではない中、製品値上げなどがそれなりに浸透し、何とか前年同期比で増収を達成しました。補助金については、巻末の参照データで調整項目として開示している通り、約35億円となりました。中国の営業利益は190億円、利益率は14.6%であり、そこから補助金35億円の差し引いても11%強の利益率のため、第1四半期、第2四半期と比較すれば、引当金の影響を除いた状態では、改善傾向が見られます。背景としては、原材料価格の低下と製品値上げの浸透の双方が効いたと考えています。

    つまり、補助金を除いても相応に好調であったと言える一方で、需要期である9月後半から10月にかけて、北京においては全国人民代表大会の影響があったほか、上海だけでなく、日本やグローバルで報道されない杭州などの地域を含めた広範囲でロックダウンが実施されました。

    その結果、売上自体はそれ程弱くならない一方で、物流面で非常に混乱を来たしており、商品が届けられない事態が発生しています。そのため、売上が計上できない事態が10月以降に頻発しており、10月業績は当初見込みに対し大幅に減収となりました。これはあくまで速報値ベースではあるものの、比較的厳しい業績となっており、11月もこうした状況が好転しているわけではありません。12月は元より需要が非常に弱い時期であり、取り戻せるように努力はするものの、11月半ばの現時点において想定より厳しい状況です。説明資料P8はこうした最新の状況も反映した数値を記載しており、少々弱気に見込まざるを得ません。一方で、コストコントールをしっかり進めることで、利益水準の改善を目指して対応していきます。

    つまり、市況の影響というよりも、ロックダウンに伴う混乱が大きく影響しており、全体の流れとしては緩和傾向にあると見通すものの、地方や地区レベルにまで浸透するにはもう少し時間がかかると見込んでおり、第4四半期については厳しく見立てています。

  • A2需要についても、中国の景況感を踏まえると決して強いわけではありません。ただし、現時点での現地の感覚としては、商品の注文はそれなりにあるものの、何より運送できないことの影響がかなり大きいと聞いていますが、物流混乱がなければ需要が強いと申し上げるには、少々厳しいと考えています。それほど、ゼロコロナ政策が徐々に影響していると考えており、あまり楽観視はできないと見込んでいます。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1貸倒引当金については、第3四半期は大きな金額を計上せず、基本的には第4四半期に8月にご説明した20億円を引き当てるか判断します。今期の引当金は8月に示した営業利益予想1,050億円を前提として150億円と算出しており、現時点では下期に20億円を計上しない、もしくは計上額が倍増するなどの可能性は見込んでいません。

    また、以前からのご説明の通り、当社は基本的に若干の財務的なトラブルを抱えるお客様とのビジネスを継続する上では、キャッシュ・オン・デリバリーを前提として、取引を継続しながら追加リスクを取ることは回避するようにしています。こうした意味で現時点の見通しは変えていない中で、第3四半期に20億円を計上していないことをご理解ください。

    物流については、当社は中国全土に50ヵ所以上の工場があり、地域によって状況にばらつきがあります。これまでは、上海や北京などの首都圏で影響がありましたが、足元では比較的地方にも影響が広がりつつあり、地方での物流も若干混乱しているのが実態です。当社としては、旧正月が明ける2~3月頃には需要の回復を期待しており、特に需要月である3月が重要であるため、回復して欲しいと考えています。ただし、今後の見通しが難しいと感じるほど、第4四半期の混乱ぶりは大きいというのが当社の感覚です。

    こうした状況は、来年2月の決算発表時、もしくはそれ以前に何か情報があればお伝えする考えですが、現時点では物流解消の目途については言及しにくい状況にあることをご理解ください。

  • A2仮にゼロコロナ政策が緩和され、ワクチンがさらに浸透すれば、物流問題はそれほど大きな問題ではなくなる可能性もありますが、中国全土で諸条件が整うまでにどの程度の期間を要するかについては、やや悲観的な見方もあり得ると考えています。

    ただし、需要そのものが著しく落ち込んでいるわけではありません。一方で、需要が力強いのかと言われれば、現在の景況感を踏まえると若干ネガティブな状況でもあることも確かです。中国は複雑な様相を呈しているとしか、現時点で申し上げることができません。

質問者:ゴールドマンサックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1中国競合他社の数値背景については不明ですが、当社の第4四半期の見通しでは物流の混乱などが大きく影響し、8月想定よりも減速傾向があると感じています。中国の現状に鑑み、競合他社も同様の影響を受けている部分はあると推察しますが、さらなる詳細については近日開催予定のスモールミーティングにてウィー・シューキムよりお答えいたします。

  • A2受注が落ち込んでいる状況ではないものの、当初想定していた成長率よりも弱含んでいる現状は見受けられます。ロックダウンに伴う物流の混乱によって、商品納入の遅延による売上計上のずれ込みはありますが、競合他社と比べて受注差はない認識です。こうした状況は第4四半期を通じて注視していく必要があると考えています。

質問者:CLSA 証券株式会社 張一帆氏

  • A1インドネシアは説明資料P21に記載の通り、第3四半期の売上収益は実質ベースで+37.7%、営業利益は+65.2%と非常に好調でした。これは第3四半期後半に実施した製品値上げ前の駆け込み需要によるものです。しかし、インフレなどの影響による景況感や製品値上げ後の需要感などの10月の状況を踏まえ、第4四半期は当初想定よりも厳しいと見通しています。

    一方で、シンガポールやタイ、マレーシアは第3四半期に引き続き、第4四半期も成長が継続する見通しです。価格転嫁の浸透度合いによって利益成長に地域差はありますが、需要は堅調との認識です。

    Nipsea中国以外のセグメントについては、トルコのBetek Boya社も含まれているため、超インフレ会計の適用によって売上収益は強く、営業利益はやや弱い数字になるなどの影響が生じています。

  • A2インドネシアの第3四半期は非常に好調であったため、第4四半期は反動減をある程度想定済みですが、10月に入って景況感の悪化が見受けられたため、説明資料P8記載の見通しは両者を含めた想定となります。

質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1売上比率の高い中国を含むアジアにおいては、原材料価格は若干の下降傾向にあります。需給関係により、酸化チタンなどの価格が一時期よりも改善方向にあります。

    日本では円安の影響なども受けて、原材料メーカーとの交渉を進めていますが、想定よりも価格は低下していません。ナフサなどの一部の原材料価格は落ち着いていますが、高止まりしている原材料や、来年にかけて価格が上昇する見込みの原材料もあります。

    DuluxGroup社やDunn-Edwards社については、他の地域よりも原材料費率はやや低めであり、基本的には製品値上げでカバーできると想定しています。しかし、例えば米国の酸化チタンは従来比較的安い価格で長期間調達できていましたが、来年以降は調達価格が若干上昇する可能性があります。

    したがって、残念ながら、全地域で原材料価格が下落することで収益改善を見込む、とは言い難い状況です。

  • A2第3四半期の売上総利益率は前四半期比で改善傾向にあり、第4四半期についても、販売数量などの不確定要素はありつつも、製品値上げの浸透や原材料価格の低下の影響を受けて、さらなる改善を見込んでいます。

  • A3原材料調達に支障を来たすことによる機会損失は発生していません。当社としては製品を欠品させることがないよう、原材料の在庫積み増しをやや積極的に行っています。

質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏

  • A1まず、金利上昇による直接的な影響を受ける借入については、借入のほぼ全額が円ベースであり、大半を長期化しているため、現状での影響は僅少です。今後新たにM&Aを実施する場合、円安の状況下で円ベースでの借入を行うと借入金額が大きくなる可能性はありますが、日本銀行が現在の政策を継続する限り、金利水準が急激に上昇する想定はしていません。仮に金利が上昇した場合でも、現在の借入は固定金利のため影響は受けません。

    のれんについては、四半期ごとに減損リスクを注視していますが、現時点ではリスクが顕在化している状況ではありません。

    あえて申し上げれば、金利の高いトルコはリスクがないとは言い難いですが、その他の地域は認識すべきリスクはありません。ただし、M&Aにおいては割引率や永久成長率なども常に考慮する必要があるため、当社の経営モデルにおいては内包されたリスクになるものの、そのリスクが顕在化しない買収を心掛けています。

    バランスシート上でのリスクはなく、多くの場合は為替勘定調整で吸収されます。円安に振れている状況のため、当社の海外資産は円ベースで価値が上昇しており、大きなリスクはないと考えています。

    キャッシュ・フローについては、基本的に全地域がキャッシュを生み出しているため、DuluxGroup社がCromology社の買収に向けて増資を行うようなケースを除けば、本社が追加で資金提供する必要性は低いです。各パートナー会社が自らキャッシュを稼ぎ出し、自ら運用するスタイルが当社の特長であるため、今の為替や金利環境が大きなリスクを内包しているとは考えていません。

  • A2M&Aの実施有無は総合的な判断であり、例えば金利の影響によって買収候補先のバリュエーションが下がれば、それは当社にとってはプラス要素となります。したがって、当社のバランスシートの範囲内で、あるいは資本を使ってM&Aを行うケースなど、相対的な価値や絶対的な価値を総合的に判断しているため、現時点でM&A戦略の方向性を変更する必要はないと考えています。

    ただし、さまざまな不確定要素が入り混じる情勢の中、想定通りのキャッシュを生み出せるかどうかについてはリスクの一部としてありますが、最終的には総合判断となります。

質問者:CLSA 証券株式会社 張一帆氏

  • A1月次の業績についてのコメントは差し控えさせていただきます。現時点では月ベースでの個別の業績数値は一切コメントしない方針です。

  • A2業績見通しをご説明する中で、売上収益は下振れる可能性があるものの営業利益は維持したいと申し上げたのは、原材料価格の低下という要素に加えて固定費の縮減も重要です。当社のミッションである「株主価値最大化(MSV)」の実現に向けて、利益を出すためにコストコントロールもしっかり実施したいと考えています。

質問者:ゴールドマンサックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1製品値上げの効果は実施した期だけに寄与するのではなく、翌四半期にも貢献することがあります。したがって、第3四半期の利益率改善にも第2四半期の製品値上げの影響が含まれていますが、原材料費率の低下の方が利益率の改善に大きく寄与しています。

    その上で、同一条件のもとでは、第3四半期の利益率は35億円の補助金を除くと11.8%程度となる一方、第2四半期は貸倒引当金130億円を足し戻したベースで9.2%程度となります。当社としては、長期的にはドミナントなポジションを構築することを通じて、利益率15%程度を目指すべきと考えています。

    ただし、第3四半期の中国の状況としては、不動産市場やコロナ政策に伴う厳しさに加えて、原材料価格の変動などもある中で、利益率としては非常に健闘したというのが私の評価です。一方で、第4四半期はさらなる不確定要素が見込まれるため、競合や市場などの状況について精緻に分析したいと考えています。

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