2021年12月期 第2四半期決算説明会 質疑応答要旨

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質問者:ゴールドマンサックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1当社のDIYは、競合他社よりも比較的大規模なため、母数の違いから成長率の比較は必ずしも適切ではないと考えています。また、説明資料P15のヒートマップの通り、塗料市場が頭打ちの認識はなく、DIYであれば第2四半期は非常に活況でした。そうした中で、当社はさらにシェアを上げることができたと推定しています。
    また、説明資料P18の通り、NIPSEA中国の収益性は、建築用だけでなく工業用も含めてですが、利益率が9ポイント程度低下しました。これは、原材料費率の上昇とほぼリンクしているとお考えください。当社としては今後、値上げや販管費等のコスト抑制を実施しつつ、シェア上昇を貪欲に目指していきます。従来の見通しは少し保守的だったかもしれませんが、説明資料P31の通り、通期でDIY・Projectともに+30%前後成長する見通しです。必ずしも楽に達成できるものではなく、相応の厳しい環境を認識しています。少なくともこれだけ難しい環境の第2四半期においても着実に成長したことから、むしろ原材料価格がピークアウトし、値上げ効果が現れる第4四半期からは利益率は改善すると見込んでいます。基本的には正しく値上げし、競争環境を見ながら必要なコストは抑制していくことに尽きると認識しています。

  • A2まず、今期の第1四半期と第2四半期を比較すると、第2四半期は原材料価格の影響が出ています。原材料価格の影響は、5月の段階である程度顕在化していましたが、第2四半期としては想定以上の影響でした。値上げなど当然対応策を打っていますが、効果の顕在化タイミングについて期ズレが生じるのは止むを得ないと考えています。下期も値上げは検討していますが、各地域での市場シェアや競合他社の動向、取引先との契約などにより、値上げの時期や可否は変わりますので、地域・事業毎に判断していきます。

  • A3第2四半期と第3四半期は、ある程度厳しい状況と認識していますが、通期では、期初計画に対して増益となることは織り込んでいます。ただし、説明資料P39の通り、通期の利益率は前年対比では下がると予想しています。

質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1コロナ影響や原材料価格の高騰に加え、一過性のPPA約15億円計上したことが影響しています。第1四半期は、前年の低価格在庫などにより原材料費はそれほど高い水準とはならなかったため、利益率にプラスに貢献した一方、第2-3四半期は原材料価格の高騰の影響をある程度受けています。また、コロナ影響が6月より悪化し、ロックダウンが東南アジア全体で実施される中、その影響は第2四半期においても一定程度ありました。
    ただし、実需が大きく崩れているわけではなく、今後ロックダウンの一部は解消されると見通しており、今期業績は前期を上回ると想定しています。しかし、前期はロックダウンの影響が大きく受けた年であり、前期比較の際には考慮する必要があります。
    またコロナ影響に伴って下期を悲観しているわけではなく、十分に取り返せると想定しており、説明資料P36の予測値に織り込んでいます。

  • A2シェアが高い地域は値上げが可能です。シェアがあまり高くない地域は、タイミングを見計らうのが実態だと思います。

質問者:JPモルガン証券株式会社 佐野智太郎氏

  • A11点目の買い戻し権(コールオプション)については、クロージングを予定する2021年8月の1年後から5年間有効です。さらに、同権利は自動継続条項がありますが、5年間のうちに権利を行使する必要は必ずしもありません。対象企業をあまりに長くウットラムグループに委ねるのではなく、短期的・集中的に1-2年でしっかり投資を行い、回復の目処が立ったところで買い戻しを行う予定です。ただし、買い戻しにおいては、「株主価値の最大化(MSV)」の考えのもと、少数株主へ十分な説明ができるかが重要なポイントになるため、総合的に勘案して判断していきます。
    委託の対価については、第三者との取引として扱い、当社は一定の対価をウットラムグループより受領する予定ですが、業績に大きな影響を与える規模ではありません。

  • A2対象企業はいずれも非常に難しい市場にあり、例えば当社の欧州自動車用事業は、欧州市場ではまだ決して大規模ではない中で再建を進めており、回復の達成目途については当然さまざまな前提を置いていますが、買戻しのタイミングを現時点で申し上げるのは適切ではないと判断しています。ただし、買い戻し権が有効となる1年後の即時買い戻しについては、おそらくないと思いますし、5-6年後まで待つこともないでしょう。期間内の実施を想定していますが、適切な時期に公正価格で買い戻したいと考えています。

質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏

  • A1「グループ内PE」という言葉が適切かどうかは別として、当社は上場会社として赤字事業について将来黒字化する目処が立っているのか、どのように再建を支援するべきかなど、継続の是非を常に考えています。先ほど塗料業界の設備投資額がそこまでかからないと仰いましたが、実際は、塗料業界で後発プレイヤーであると、収益を上げる点で困難を感じる部分があります。
    そうした中、今回の連結子会社の譲渡金額は180億円強の案件である一方で、アジア合弁事業1兆円、インドネシア事業2,000億円と比較すれば、本件取引による影響は小さいと考えています。ウットラムグループは58.7%の株主として、当社の株主価値の最大化にとって一番良いことをしたいと考えてくれています。これは時価総額3兆2,000億円企業の58.7%の株主が持つ意向の1つであり、41.3%を占める少数株主の意向とも基本的に一致しているとお考えください。
    そうしたことを含めて、当社独自で取り組むケースや第三者に売却するケースなどを様々に検討する中で、ウットラムグループが各種リスクを背負い、当社の選択肢を残す判断を下してくれたため、それに乗らない手はないと判断しました。繰り返しになりますが、「そうは言っても大丈夫なのか?」という懸念に関しては特別委員会を組成することで、少なくとも少数株主に対しては十分に説明ができる、十分に合理性があることを審議した上で、本日の決断に至っているとご理解ください。

  • A2絶対に実施しないとは申し上げませんが、基本的には当社グループに不採算事業はそれ程なく、残念ながら当該2社は2019年12月期に減損損失を計上したことも含めて、正直これまであまり経営状況は芳しくありませんでした。ご指摘のように、例えばインド事業だけを先に譲渡し、後で欧州事業を譲渡すれば、五月雨の対応となり、後に何が出てくるか分からない懸念を皆さんに持たれることを考慮して、当該3社をまとめて譲渡する決断に至りました。
    基本的には3つの不採算事業、当社が直接再建を行うにはリスクを感じる事業をまとめて切り出したということです。今後は絶対に致しませんとは申し上げませんが、基本的には一過性の対応であり、今後もウットラムグループを「グループ内PEファンド」として積極的に活用しようとは、現時点で一切想定していないとご理解ください。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1地域によって状況は異なります。NIPSEA中国はコロナ影響がない中で、第2四半期あたりが底で、第3四半期から先ほど申し上げた値上げなどの施策がより浸透すると見通しています。Projectは長期契約がそれなりにあるため、契約完了まではどうしても以前の価格が適用される一方、原材料価格は上昇してきたため、業績影響のタイミングにずれが発生しているものの、徐々に解消すると考えています。
    他方、NIPSEA中国以外のアジアでは、先ほど申し上げたコロナ影響で、固定費の負担が上がる可能性はあると見込んでいます。
    豪州については、市場シェアが50%と非常に高いため、価格の適応力も結構あると考えています。豪州は前年の3月頃からDIY市場が活況を呈しました。そうした前年との比較で、DIYは若干高いベースを元にすることから、売上収益は前年対比ではそれほど伸びないように見えますが、通期では値上げ効果と合わせて利益の改善が見込まれます。
    このように、一言では全てを網羅しきれませんが、イメージはこのような状況です。第3四半期について楽観はしていませんが、NIPSEA中国の原材料の影響は第2四半期より改善すると見通しており、第4四半期にはさらに改善していく傾向と予想しています。

  • A2そうです。当社としてはDIYの方が値上げしやすく、それが収益に直に反映されます。一方、ProjectはB2Bの顧客や競合他社との関係性が絡んでくるため、単純な値上げは通用せず、慎重に対応せざるを得ないため、DIYとProjectでは色合いが異なります。ただし、そうした中で、当社の地域的主力商品であるDIYが売上の半分以上を占めており、Projectよりも高い伸びを示していることが第2四半期の際立った特徴でした。収益成長を達成してきた中国チームについて、非常に高い信頼感を私は持っています。

  • A3その通りです。Betek Boya社は原材料の大部分を輸入に依存しており、現地通貨ベースではどうしても利益率が低下しています。ただし、常に懸念を持ちつつも、この第2四半期でも非常に好調を維持しています。現地では非常に意気軒昂としており、コロナ影響もありながらも結果を出していることを、非常に心強く感じています。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1NIPSEA中国は、通期で前期比+30%前後であり、DIYもProjectも同様に+30%前後の予想のため、下期で減収となる想定はしていません。

  • A2はい、季節性もありますが、特にNIPSEA中国では前年第1四半期はコロナ影響が深刻であったことも関係しています。DIY、Projectともに下期も伸びると、当社は想定しています。

  • A3インドネシアの第3四半期は、マレーシアやシンガポールと比べると若干慎重に予想しています。参考値ながらも、第2四半期では+50%を超える成長をしており、全体的な勢いは非常に強いため、基本的には好調に推移すると考えています。

  • A4はい、既に製品値上げを実施しています。原材料価格は上昇しているため、DIYは1度きりの値上げではなく、必要に応じて継続的に実施する考えです。Projectも値上げを一切行っていないわけではなく、特に新規受注に関しては現在の原材料状況を反映しています。こちらに関しては、個々の状況や競争環境を見ながら対応していきます。ただし、やはりDIYの方が当社シェアは圧倒的であることからも値上げがしやすく、また収益性も高いことから、DIYが大きく伸びていることは、中国セグメント全体でもポジティブと考えています。

  • A5第2四半期並みと考えています。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1まず原材料の調達について、綱渡り状態は一時期ありましたが、大きな機会損失はありません。また、原材料によっては代替品の使用なども改めて検討しているため、当社としては大きな問題ではありませんでした。
    ただし、為替に関しては、Betek Boya社のように原材料の大半を輸入に依存している場合、どうしても利益率が低下してしまいます。
    価格転嫁については、2021年末に向けてある程度転嫁できると見込んでいますが、当社は各地域の特性に応じて進めているため、単純に「価格転嫁できます」と申し上げるのはやや無責任かと考えています。やはり地域によって色合いは異なり、例えばNIPSEA中国のProjectでは、単純に価格転嫁できますと申し上げるのは必ずしも実態を表していないと考えます。また、シェアの高い地域では製品値上げによる価格転嫁は十分に可能と考えますが、地域によって対応は異なるという点は改めてご認識ください。

  • A2基本的に、特に大きな損失はありませんでした。潤沢に原材料調達ができたわけではなく、機会損失は局所的にはゼロではありませんが、あまりなかったと考えています。

  • A3今後の中国の需要についてはさまざまな見通しがある中で、当社としては、市場全体に大きな減速感があるわけではなく、基本的な需要はそれなりに底堅いと予想しています。そのため、コロナ影響による需要増加からの反動による需要減にはならないと考えています。そして、塗り替えをはじめとしたさまざまな新しい需要をしっかりと取り込むことで、好調な市場を上回るシェア拡大を目指し、今期は+30%前後増収できると予想しています。来期以降も同様でありたいですが、やはり状況を注視して対応するしかありません。しかし、塗料業界は、来期もさらに約+30%成長することを前提に、1,000億円の設備投資をしなければならないような特性ではありませんので、需要動向を見ながら、適切な設備投資の管理を行うことができます。そうした意味でも、大きなリスクを抱える、あるいは抱えなければいけない見通しを立てる必要はないと考えています。全体的には、注意深くなり過ぎず、比較的楽観的には見ていきたいと考えています。

  • A4第3四半期についても、説明資料P26のヒートマップの通り、好調であることを示す赤色の程度まで、市況は伸びないだろうと予想しています。一定程度の好調は継続し、通期でも相応に好調だと考えていますが、好調の度合いでは、第4四半期は第3四半期ほどではなく、場合によっては好調度合いが下がる可能性もあると見立てています。そのような状況でも、当社はしっかりとシェアを拡大できると考えており、その結果、今回の業績予想修正を行っています。売上収益1兆円となれば、原材料費率が1ポイント改善するだけで100億円の利益が出る規模です。足元は利益の圧迫要因になっていますが、当社の成長力をベースに、原材料供給の安定化や、製品値上げなどの実施により、いずれ原材料価格が平準化されることにより、特に来期以降は伸びしろが非常に大きいと考えていますので、ぜひ当社のビジネスモデルや成長力などをご理解ください。

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