社外取締役スモールミーティング 説明会要旨

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1. 表紙

皆様こんにちは。筆頭独立社外取締役の中村です。
本日はお忙しい中、ご参加いただき、誠にありがとうございます。

冒頭、20分程度皆様から事前にお送りいただいた質問にいくつかお答えするべく、私からお話したいと思います。後半の40分は皆様から直接ご質問をお受けしますので、よろしくお願いいたします。

2. 社外取締役プロフィール

私の経歴を当ページで簡単にご紹介していますが、もう少し背景を含めてご説明いたします。

私は昭和52年(1977年)に学校を卒業後、5年ほど三菱銀行に勤めています。偶然ではありますが、前会長兼代表執行役社長CEOの田中正明氏と私は三菱銀行の同期入社です。私は5年で銀行を退職し、学校に2年ほど戻った後、リーマン・ブラザーズに足かけ20年、モルガン・スタンレーに5年、約30年にわたってグローバルでのインベストメント・バンキング業務、とりわけ合併・買収のアドバイザリーと資本市場からの資金調達を手掛けてきました。

その後、三菱UFJファイナンシャル・グループ(MUFG)が誕生し、2005年にMUFGの首脳からより証券業務に注力をするべく、投資銀行業務の立ち上げに関する相談がありました。2010年までの約5年間、MUFGの銀証協同担当役員、三菱UFJ証券で投資銀行業務の責任者を務め、その仕上げは、2008年のMUFGによるモルガン・スタンレーへの出資、およびモルガン・スタンレー東京と三菱UFJ証券の合弁事業化でした。そして、2012年に独立して、現在に至っています。

日本ペイントグループとの関わりですが、統合報告書のガバナンスページにも当グループのガバナンスの変遷を2014年まで遡って記載していますが、2017年春にウットラム・グループの代表者であるゴー・ハップジン氏に会う機会が始まりです。ちょうど、2014年に当社グループがアジア合弁事業を連結子会社化し、ウットラムが39.6%の大株主となってから3年が経過していました。その間、当社グループのガバナンスは、社外取締役の招聘や買収防衛策の廃止などさまざまな取り組みをしていましたが、大株主であるウットラムとどのような関係を構築し、グローバルに事業を展開していくかが焦点でした。

ゴー氏は、ある方から「面白い人物がいる」とのことで私を紹介されたようですが、会ってすぐに株主価値最大化(MSV)という考え方について意見を交わしたことを記憶しています。その考え方自体は、私自身が投資銀行業務を長年手掛けてきた中で基本としていた考えそのものでもあり、「なるほど、同じような考え方をする人物がいるものだ」と感じました。

また、私自身が30年間のM&A経験、とりわけ後半の10年間において、日本企業や日本のビジネスがグローバルに展開していく上で、海外の企業やビジネスとどのように合体することができるか、さまざまな提案をし、その結果としていくつかの案件を成功に導いてきました。そうした経験を踏まえ、当社グループが高い技術力を背景にグローバルにビジネスを展開する上で、どのようなお手伝いが出来るかなどと考えながら、ゴー氏とのランチから帰った記憶があります。

その後も何度か、ゴー氏が来日されるタイミングで意見交換の場があり、塗料ビジネスについての知見も少しずつ備わると同時に、ゴー氏もしくは日本ペイントグループが目指すグローバルなリーディング・ペイント&コーティング・カンパニーになるのも決して夢ではない、と確信するようになりました。私がお手伝いする余地も、M&Aに関係してあるのではないかとの思いを持ちました。

以上が2017年秋くらいまでの話になります。2017年10月終わりから11月にかけて、当社グループが海外塗料メーカーの買収を検討した数週間において、当社グループのガバナンス上の問題をゴー氏はより強く感じたとの印象を私は持っています。その結果、2018年3月の株主総会に向けて大きく取締役メンバーを変更するプロセスに入るのですが、2018年の正月明け、私は初めて他の社外取締役候補者4人と一堂に会しました。そこでの議論の中心は、今も全く同じですが、「MSVをしっかり解っているか」でした。今日解ったとしても、明日のMSVにはまた環境が変化することから、常に柔軟に考えなければならないことをお互いに共有するとともに、ゴー氏に対しては、「我々はそれぞれ自身の築いてきた経歴があり、当社グループがMSVの実現を目指すに当たり、独立社外取締役としてお手伝いすることを今検討しているが、一番重要なことは、我々が今まで築いてきたレピュテーション全てを賭けて臨むことだ」と伝えました。したがって、「当社グループの経営陣およびゴー氏にとって、我々がある意味違う考え方を持っている、もしくは違う意見を持つことは大いにありうる。それを望むのであれば、我々は独立社外取締役になる、MSVを応援しましょう」と伝えました。こうした議論を2時間を超えてと交わした後、私も含む新たに社外取締役候補となる5人、そしてゴー氏がそれぞれ納得しました。その後、当社グループの当時の経営陣との面談を経て、2018年3月の株主総会にて、社内取締役が4人、ゴー氏、独立社外取締役5人による計10人の取締役によるガバナンス体制を組みました。

2018年はM&A諮問委員会を立ち上げ、私もそのメンバーとしてM&A案件を大いに議論すると同時に、指名・報酬諮問委員会を指名諮問委員会と報酬諮問委員会に分離し、社外取締役を中心に議論することになりました。両委員長とも社外取締役でしたが、私は報酬諮問委員会のメンバーを兼務し、報酬体系を大きく変更しました。一番大きなポイントは、株式報酬を社内の経営陣にも社外取締役にも導入したことです。これはとりもなおさず、MSVを一緒に達成していくためには株式による報酬が極めて意味があるとの考え方が根本にあります。

2018年半ばから2019年には、豪州のDuluxGroup社、トルコのBetek Boya社の買収案件をM&A諮問委員会で検討・議論しました。また2018年後半には、前社長の田中氏が産業革新投資機構(JIC)のトップの座から離れることになりましたが、ここで田中氏を当社グループの経営陣に招聘するのはどうかとの議論を重ね、2019年3月の株主総会において田中氏は取締役に就任、会長という立場で経営陣の中に入ってもらうことになりました。したがって、旧経営陣が4人、田中会長、ゴー氏、独立社外取締役が5人の計11人の体制で一層MSVを推進し、ガバナンスの整備に拍車を掛けていきました。

DuluxGroup社とBetek Boya社の買収は2019年の春から夏にかけて発表しましたが、それとほぼ同時期に翌2020年からの経営体制について、当時の田堂社長CEOと田中会長との間でさまざまな議論がなされ、2020年1月からは田中氏が代表執行役社長兼CEOという立場で経営を引き継ぐことになりました。同時に、2020年3月からの指名委員会等設置会社への移行に向け、田中氏のリーダーシップのもとで一気にガバナンス体制の変更を進めていきました。

2020年3月からは新CEOである田中氏と、元経理・財務担当役員の南氏、ゴー氏、社外取締役は米国でベンチャー・キャピタリストとして実績のある金子氏が退任されて、監査委員会の委員長になられた三橋氏、高島屋の役員を歴任された肥塚氏の2人に参画いただき、9人中6人が独立社外取締役の体制となりました。

この体制でさらに前へ進めたのは、アジア合弁事業の100%化とインドネシア事業の買収でした。2020年夏に発表しましたが、これによりウットラムの持分比率は39.6%から58.7%に引き上がることになりました。

2020年は同時に、田中氏により、2021年度からの新中期経営計画の策定、自動車用塗料事業のグローバル一体化新組織(NPAC)の発足などが進められました。本年2021年3月に新中期経営計画を発表し、4月に1対5の株式分割も行いました。2021年3月の株主総会では前年の取締役体制の継続をご承認いただきましたが、4月末には田中氏から辞意表明があり、現在は南氏、ゴー氏、独立社外取締役6人の計8人の取締役会です。

ただし、2021年4月末からは若月氏・Wee氏の共同社長体制となり、2人は取締役ではありませんが、取締役会に執行役として参加しています。同時に、これまで取締役会議長は取締役会長が就任していましたが、筆頭独立社外取締役である私が議長を務めることとしました。

戦略的な経営判断は常に求められており、2021年夏までに発表された取引としては、欧州とインド事業のウットラムへの売却(ジョイントベンチャー化)です。これらのビジネス自体は引き続き当社グループで経営し、将来的に買い戻す内容です。また、センター・オブ・エクセレンス(CoE)の考え方のもと、ホールディングスが従来担ってきた国内事業への支援機能と、上場・持株会社機能を分離し、ホールディングスの役割を本来のビジネス・ポートフォリオ・マネジメントにより特化する取り組みを進めています。

以上が現在までに至る経緯です。当社の取締役会が常に最も重要視している役割は、統合報告書でもご紹介していますが、局面局面で最適な経営トップを選択することです。それゆえ、最初は田堂体制、次は田中体制、今は若月氏とWee氏の共同社長体制へ移り変わってきています。私が当社の社外取締役を務めてから3年半が経過する間、業務執行の体制がこのように変化して来ているのは、それが最もMSVに貢献すると取締役会が判断していることによります。

私からの説明は以上です。これまでの説明の中で分からない点や、事前にいただいたご質問にこれまでの説明では十分答えきれていない点がありましたら、質疑応答で出来るだけお答えしたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

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