中期経営計画進捗説明会 質疑応答要旨

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質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1市場シェアは、既に高いシェアを持つ特級や1~2級都市でも引き続き伸びていますが、2021年や2022年はシェア向上の余地が大きい3~6級都市で大きく伸びており、2023年も同様と見込んでいます。

    2023年第1四半期の速報値については、あくまでご参考として例外的に開示しているため、詳細は5月15日の第1四半期決算発表時にご説明いたします。

  • A2詳細は開示していませんが、特級や1~2級都市では既に高い市場シェアを確保しており、シェア低下もしていません。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A11点目については、株主価値最大化(MSV)のためにM&Aを進めており、引き続きM&A推進の検討を続ける点に変更はありません。

    2点目のNPT社の買収完了時期についても、当初想定の2023年上期中から現時点で変更ありません。

    3点目のM&Aのターゲットについては、特定の領域を定めることはせず、あくまでMSVに資するか否かが判断軸となります。そのため、MSVに資すると判断した買収が結果的に塗料周辺領域となることもありますが、領域を事前に特定して買収を検討しているわけではありません。

  • A2円金利は引き続き相対的に高くはないため、非常に優位性があると考えています。また、負債調達が優先ではあるものの、資本調達の選択肢も常に視野に入れています。ただし、どのような資金調達手法であっても、確実にEPS(1株当たり当期利益)にプラスとなる案件であることが条件となります。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A12009年にスタートした「サバイバルチャレンジ」は、削減余地が大きかった固定費を減らした結果、収益性が非常に高くなりましたが、将来を見据えた投資も抑制した結果、持続的な成長に影響が出たことは反省点です。

    2022年に日本グループで導入した行動指針「J-LFG」は、無駄を排し、筋肉質に成長をしていくための考え方であり、2023年2月に竣工した岡山工場をはじめ、投資すべき領域には投資をし、その上で効率性を追求する、あるいは無駄を省くことを重視しています。「J-LFG」が浸透していく中で改めて無駄なものが見えてきており、ウィー・シューキムとともに効率性を追求しています。例えば、組織のサイロをなくし、兼務者を増やし、全体を俯瞰できる人材を増やすことで、実は無駄だったこと、非効率だったことが見えてきており、地道な改善を重ねることによる着実な効果が表れています。また、収益性改善に向けた8つのタスクフォースを立ち上げており、2015年の分社化により組織がサイロ化して非効率的に陥った課題に対する改善に力を入れて取り組んでいます。

    希望退職制度「ネクストキャリアプラン」は日本グループ全体で実施しており、自動車用を含む全事業で収益性の改善に寄与しています。2022年は自動車用や工業用で、顧客サイドでのサプライチェーン問題による生産台数の伸び悩みなどの影響を受けた結果、当社売上も伸び悩み、固定費をカバーしきれなかった部分がありました。一方で、製品値上げについては日本でも適正なレベルで実施できています。しかし、一つの手法で営業利益率を10%まで急激に回復できるわけではないため、一つ一つの積み重ねによって、営業利益率2桁台に戻すのは当然として、将来的には2017~2018年の収益レベルを目指していきます。

  • A2M&Aは機会があれば常に検討はしますが、日本の収益性を改善するためだけに実施することはありません。外からは見えにくいものの、削減できることはまだ多く残っており、それらを着実に実施することで、徐々に収益性を改善していきます。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1説明資料P35記載の速報値は現地通貨ベースでの非監査数字であり、参考値として可能な範囲で記載しています。その上で、現時点では需要は緩やかに回復傾向にあると考えています。第2四半期の見通しも現時点では良好であり、2023年2月に発表した通期ガイダンスを十分に達成できる見込みです。一方で、2020年第2四半期に生じたような、コロナ影響後の爆発的な需要の反動増は見込んでいません。

  • A2説明資料P35に記載の数値は速報値としてお示ししており、詳細は5月15日の第1四半期決算発表時にご回答いたします。なお、現地の中国からは、TUBは回復傾向がより緩やかであり、TUCの回復がTUBを補う構図であると聞いています。

  • A32022年第4四半期のTUBは-22%の減収だったのに対して、2023年第1四半期の速報値は+4%増収となっており、通期ガイダンスの+0~5%成長に向けて着実な進捗を見込んでいます。

質問者:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社 藤田知未氏

  • A1DuluxGroup社は2010年の上場からの9年間で9件だったM&A件数を、当社グループ傘下入り後わずか3年で23件に増やし、売上収益や営業利益では当社グループの約1/4を担う企業へと成長しています。DuluxGroup社は、上場における短期的な株価動向を気にする必要がなくなり、当社グループのより強大なプラットフォームのファイナンス力を活用し、潜在能力を最大限に発揮させることができた事例です。

    一方で、NIPSEAグループのPT Nipsea社(インドネシア)は、元々NIPSEAグループの一員であり、従来から収益性が高い企業です。そのため、当社グループ傘下入り後の大きな変化こそ少ないものの、さらなる成長に向けた積極的な施策を実施しています。

    また、欧州や米州では量販店と個人店の両市場が多く、いわゆるDIY市場が存在している一方、アジアや中国などは販売店モデルが一般的であり、モデルが異なります。当社としては、地域性を十分検討しながら長期的な成長とシナジーが期待できるM&Aを目指しています。

    例えば、DuluxGroup社は量販店と個人店の両方の市場シェアを向上できる知見を持っており、買収先のCromology社は費用の抑制により収益性を改善し、次の施策を模索していた時期でした。そこで、DuluxGroup社の知見と欧州での基盤、当社グループのプラットフォームを活用することで、さらなる成長が見込めると考え、Cromology社の買収を進めました。

    JUB社の買収もDuluxGroup社が主導して実施しましたが、元々はBetek Boya社からETICS(断熱材)の事業展開を含めた話がありました。トルコ国内市場での成長ポテンシャルが非常に高いことを踏まえ、経営判断としてBetek Boya社のリソースはトルコ国内へ投入してもらいつつ、グループとしてJUB社とBetek Boya社でETICS事業でのシナジーを追求することになりました。

    優秀で信頼できる多くのパートナー会社のおかげで、当社のプラットフォームを生かしながら、グループにとって最適な形を常に追求することにより、長期的な成長の実現を推し進めています。

    最後に米州ですが、金利上昇やインフレによる市場影響は、当社よりも競合他社の方が受けやすい傾向があります。しかし、高金利による経営難に直面する企業だから買収を積極的に検討していく訳ではありません。

    なお、Betek Boya社の買収ケースは、彼らが事業拡大のための資金を高金利の借り入れに頼っていたものの、金利負担の解消により経営が非常に順調に回復するストーリーを明確に描くことができたため、例外的に買収しています。

    地域によって市場の特色はさまざまであり、一つの成功事例が全てのM&Aに適合するものではないため、案件ごとに検討・判断しています。

  • A2中国などにおけるM&Aの可能性は否定しません。業態や地域にとらわれず、MSVに貢献可能な、特にEPS貢献が初年度から見込まれ、適切なリスク・リターンが得られる点を重視するため、企業価値評価を大切にしています。中国に限らず、あらゆる諸条件を全て細かく精査した上で判断し、塗料・周辺領域という成長市場に特化した優良な会社・人材・ブランドを積み上げていきます。

質問者:日刊工業新聞社 田井茂氏

  • A1前提として、東大との連携は抗ウイルスに限定した話ではありません。例えば、「彩りを与える」または「守る」などの塗料が従来持つ機能に、CO2削減のような社会課題を解決する付加価値を付け加えるなど、塗料の可能性をともに追求しています。したがって、基礎的なことも含めて東大のリソースを当社に共有してもらい、さまざまなことに取り組む志のもとで連携しています。

    その上で、抗ウイルス製品については、開示可能なレベルの売上には至っていないのが実態です。光触媒などの高い技術を駆使し、抗ウイルス効果も非常に高いものの、例えば、スプレー製品の事例では、飲食店などのサービス業はお客様を安心させる意味でも毎日机を拭いている姿を見せる必要があります。当社の抗ウイルス製品は1ヵ月の持続効果があるとアピールしても、効果は目に見えないため、当社の技術や機能の高さとマーケティングを組み合わせる難しさを実感しています。

    なお、介護施設や病院などからは、毎日の作業で大変だったものが1ヵ月に1回の頻度で済むのは非常に素晴らしい、という高い評価をもらっています。

  • A2個別事案については、回答を控えさせていただきます。
    ただし、当社にとって技術は命綱であり、自前だけでは難しい分野もあるのが実情です。日本グループのCTOはNIPSEAグループのCTOと兼務しており、より広い視野に立ちながら、東京大学を含む世界の研究機関とMSVの実現に資する、当社の強みをさらに伸ばせるような連携を模索していくのは、十分にあり得ると考えています。

質問者:コーティングメディア 近藤亮吉氏

  • A1当社は、日本から世界の環境・安全の動向を完全に把握することは簡単ではないと考えており、グループ内でサステナビリティのシステムや考え方が最も進んでいるDuluxGroup社においてサステナビリティ責任者を務める、ブラッド・ホーデンを「環境&安全」チームのリーダーに選出しました。彼はDuluxGroup社での担当分野も受け持ちながら、「環境&安全」のグローバルでの取りまとめや、今何が最も重要なのかに焦点を当ててグローバルチームをけん引しています。そうした中で、情報収集などの目的が非常に明確となり、各地域の納得感を得られるようになったのが一つの事例です。

    社会からの要請は地域によって異なります。例えば、世界が2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指す中、中国は2060年までとしています。顧客からの要請として、グループ連結で2050年までに達成できないのなら日本ペイント製品は購入しないと迫られるのであれば、やはりグローバル一律での対応が必要となりますが、そうでなければ本社主導で一つの型に当てはめるのではなく、各アセットが自律的に各地域・市場の要請に応じて対応し、それらを連結ベースで可視化していくことが重要です。

    また、2022年に新たに結成した「調達」チームを巡っても、既存の4チームから「調達分野はどのチームが担当すべきなのか見えにくい」という意見が先に出てきました。やはり日本から全てのサプライヤーを統制することは現実的ではない中、少なくともサプライヤー行動規範などを策定しながら、倫理的な調達を実施できているか可視化する必要があります。そうした中、グループで調達量が最も多いNIPSEAグループからリーダーを選出することで、現場感覚を持ちながら倫理的かつ安価な調達をしっかり両立させるように段階的に取り組んでいます。

    当社としては、東京や大阪から世界に対してさまざまな指示を出して、グループを上手く機能させることは難しいと感じており、ボトムアップ型のアプローチこそ非常に良く機能すると考えています。

  • A2当説明資料で各チームの進捗を記載していますが、口頭でのご説明からは割愛しました。今後も四半期に一度の割合で共同社長に報告される各チームからの進捗を踏まえて、社会からの要請や顧客要求などを継続的に精査し、統合報告書などを通じて開示していきます。

質問者:CLSA 証券株式会社 張一帆氏

  • A1原材料価格は常に変動するものですが、現在は前年からの上昇局面からは少し落ち着いたと分析しています。仮に再び上昇傾向がある場合は、多少多めに在庫を積み増す対策があります。本格的に上昇する場合、当社製品に対する需要の価格感応度は比較的低いため、価格転嫁の余地はあると見込んでいます。

    製品そのものよりも、経済全体としてのGDP成長が問題です。経済成長が大きく落ち込む、あるいはスタグフレーション下でインフレが継続する場合、当社事業はマイナス影響を受けます。ただし、需要変動への耐性は結構高いため、原材料価格の多少の上昇でその需要が減殺されるものではないと見ています。
    例えば、リフォームなどにおける塗料自体の価格は決して高くなく、むしろ工賃の方が高いという声があります。DIFM(業者による施工が必要な事業)の場合、施工業者の工賃が上昇するかも知れません。経済が安定して原材料価格がさらに上がらないと良いのですが、価格転嫁の余地がゼロではないというのが、現時点での当社の考えです。

  • A2当社の前提は、直近の原材料価格と概ね同様です。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1詳しい分析は5月15日の第1四半期決算発表時にご説明しますが、大きく想定が外れた地域はありません。速報ベースですが、アジアを中心として全体的に収益性は改善傾向にあります。

    トルコはやや芳しくない印象であり、地震発生に伴い、当社従業員や設備にこそ影響はなかったものの、消費者心理には影響を与えており、GDPの鈍化が懸念されています。

    豪州についても、従来は概ね想定の範囲内にとどまるのですが、現時点では、投入コストの高い原材料が残っており、マージン改善には少し物足りない部分もあります。しかし、通年では想定通りまで戻すことができると話しており、非常に信頼性のあるDuluxGroup社に対して心配はしていません。

    米州のDunn-Edwards社は西海岸に位置しており、天候の影響を受けています。降水日数は前年対比で増加しており、西海岸の一部では停電が発生するなど、足元の住宅市場も踏まえると若干厳しいと考えています。日本の天候もあまり良いとは言えず、建設業者も影響を受けていると推察します。

    このように、四半期ごとでの変化は生じているものの、通年では取り戻せる見込みです。

  • A2豪州、欧州、米州などの地域が現時点では期初見通しより弱い一方、アジアは強い進捗です。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1Nipsea中国における利益率の改善は、速報値として「2%以上」と開示しましたが、2ポイントを超えてどの程度までの改善を見込むかという点に対するコメントは差し控えます。価格競争が厳しいという見方が一部にあるようですが、TUCは価格を維持できている認識です。競争が厳しい市場であり、慎重な見通しに基づいているとご理解ください。

  • A2中国を含めた全世界の市場データは、当社推計として開示しています。中国TUCについては、3~6級都市でのデータ精度を上げていること、集計対象の製品群を拡大していることなど、以前開示していたデータに比べて分母の捉え方が大きくなっています。

    2022年の市場シェアは24%と、前年からの伸び率が小幅にとどまったのは、当社が優位性を持つ大都市においてロックダウンの影響で需要が停滞した一方、近年注力している3~6級都市は相対的にコロナ影響が小さかったことが要因です。3~6級都市でしっかり売上を伸ばすことで、確実にシェアを上げていきます。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1日本の拠点について、現時点で大規模な再編計画はありません。過去に発表したプロジェクトや2021年3月の中計発表時にお示しした内容は、検討事項や将来構想としてご説明したものであり、必ずしも取締役会で正式決定したものではありません。老朽化した設備や工場を更新することを優先し、必要な分野には引き続き投資する方針であり、岡山工場や品川事業所の研究棟など、適切な場所に適切な投資を実施しています。BCP(事業継続計画)対策上も、千葉、栃木、愛知、岡山、大阪などと地理的分散をしっかり図り、地域ごとに相応の機能を有することが重要と考えています。

質問者:コーティングメディア 近藤亮吉氏

  • A1塗料周辺事業については、例えばSelleysブランドを日本でも展開可能か検討しています。日本のDIY市場は欧米に比べて大きくない中で、対象とする市場、必要となる投資、リターン、販売店のニーズなどを見極めようとしています。

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