2023年12月期 第3四半期決算 質疑応答要旨

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質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1貸倒引当金に関する詳細な金額はお答えできませんが、20億円よりは低い水準とお考えください。
    TUCは販売数量を大きく伸ばした一方、価格/ミックスはややマイナスとなりましたが、TUCの売上成長によって中国汎用全体に占めるTUCの比率が高まったことが、利益率改善の一因になっています。
    販管費については、第2四半期の営業利益率が実質ベースで9.4%、引当金を抜いても11%強だったことを踏まえ、さらなるコスト・コントロールに取り組んできました。しかし、収益性を全く無視して市場シェアの獲得だけを目指す考えはなく、収益性も併せて確保することを重視しており、その結果が今回の営業利益率に現れたと考えています。また、特級、1~2級都市に加えて、3~6級都市でのシェア拡大に伴う販売数量の増加が、オペレーティング・レバレッジ効果も生んでいます。加えて、3~6級都市においてプレミアム製品よりもエコノミー製品の方が売れやすい状況であっても、成長と収益を両立できていることも寄与しています。
    中国の経済環境については楽観視しておらず、第4四半期は、厳しい状況だった前年同期と同等レベルの市況を見込んでいますが、その中でもシェア向上と収益性の両立を目指していきます。
    販管費の抑制による来期以降への影響については、当社のブランド力であれば大きな影響はないと考えています。これまでと変わらず成長と収益の両立を目指していくため、必要なものには投資し、それ以外では抑制していきます。

  • A2第2四半期に値下げした一部のエコノミー製品については、第3四半期も価格を維持しています。値下げをしていないプレミアム製品も引き続き売れているため、TUC全体では原材料価格低下の恩恵を多少受けています。エコノミー製品において値下げによる需要喚起を行いつつも、原材料価格低下の恩恵も享受した結果、第3四半期のマージン上昇につながりました。
    しかし、季節性によって各四半期の需要には差があるため、前四半期比較ではなく、前年同期比較で見ていただく方が、より当社の事業実態に沿っていると考えています。

質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1詳細にはご説明できないものの、さまざまなシナリオを加味した総合的な判断のもとで100億円増額しましたが、このうち為替影響が20億円となります。為替影響は売上にも多少のプラス影響はあったものの、売上収益を修正しなかったのは、当初よりも少しマイナスだった地域も含まれていることを意味します。ただし、この凸凹の範囲は合計1兆4,500億円という大きな数字の中で吸収できるレベル感と捉えてください。
    その上で、想定との違いが地域によってあります。当社としては第2四半期において残り半年を見通す中で、さまざまなシナリオを想定していたため、大きなずれがあったというよりは、特に第3四半期は各地域で想定よりも最善を尽くしてくれたのが実態です。
    日本セグメントについては、船舶用や自動車用などでの生産回復に加え、顧客の理解も得ながら一定程度の製品値上げも実施できたことから、プラス要素としては売上だけでなく、特に利益水準の改善がありました。一方、汎用と工業用の数量は少し厳しいものの、製品値上げによってトータルの売上を維持しました。原材料費はある程度落ち着いているものの、円ベースでは予断を許さない部分も確かですが、それを含めてもプラス要因は複数あると考えています。
    トルコについては、ボラティリティが非常に高い市場であるため、ある程度のバッファーを想定していました。第3四半期も超インフレ会計の影響を受けたものの、営業利益では比較的落ち着いてきた印象です。ただし、為替や金利などの面で引き続き非常に不安定な状況であることは変わらず、今後の見通しはなかなか読み切れません。
    中国については、先ほども申し上げた通り、景況感は決して良くない中、第3四半期は売上を伸ばしつつマージンをしっかり確保することができました。第4四半期は需要が一番少ない期のため、前四半期比というよりは、前年同期比で凌駕していく見通しが少し見えてきたと考えています。
    その他の地域については、想定の範囲内になります。欧州は製品値上げを実施しながら、市場シェアも少し上昇しています。市場全体が数量的には厳しいものの、特にCromology社の中心であるフランスは底打ちの機運が出てきました。あまり大きくは見込んではいませんが、さまざまな意味で当社の想定よりも若干の上振れとなっています。
    第3四半期までの実績が出てきたところで、あまり保守的にならないように見直したとご理解ください。

  • A2特にマレーシアは好調であり、インドネシアも堅調です。シンガポールも悪くはありません。ベトナムは少し芳しくないものの、全体に占める比率は小さいため、影響はあまりありません。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1説明資料のナフサ価格は円ベースであるため、円安の影響を受けています。グローバルで見た場合の原材料価格は実態として緩和傾向にあり、第4四半期の原材料費率は地域ごとに多少の違いはあるものの、基本的に横ばいを想定しています。中国の需要環境が弱い中で酸化チタンの市況もそれなりに落ち着いており、当社は調達力を生かしながら最適価格で原材料をグローバルで入手することができます。市場シェアとのバランスを見つつ、一部の国・地域では製品値上げも実施ながらマージンを拡大させていきたい考えです。

  • A2製品価格に関しては、グローバルでは常にせめぎ合いがあります。汎用では決して頻度は高くないものの、どちらかと言えば競合他社との関係でどう対応するかが問題です。他方、特に工業用では、国内と海外で顧客との関係性に違いはあるものの、製品値下げの要求がないとは言えません。原材料価格が下落一辺倒ではない中で、当社事業への理解を促した上で、必要に応じて適切な水準まで製品値上げを実施しています。率直に申し上げて、製品値上げは簡単ではなく、大変な努力によるものであり、当社グループの販売網の強さだと認識しています。

質問者:CLSA 証券株式会社 張一帆氏

  • A1説明資料P26にあるNIPSEA中国のセグメント合計の見通しは+5-10%と、第2四半期から変更はありません。ただし、TUCは従来の+20-25%から今回は20%前後へ、TUBは±0%前後から-15%前後へとそれぞれ変更しており、中国の景況感が後退傾向にある中で、消費財としての塗料も影響を受けています。
    TUCの成長はこれまで、第1四半期が+19%、第2四半期が+15%、第3四半期が+10%と、前年同期比では成長しているものの、前四半期比では鈍化傾向があります。一方で、市場が鈍化する中でも第3四半期に+10%と大きく成長できており、当社のビジネスモデルが衰退しているとは考えていません。中国全体の景況感に影響を受ける傾向はあるため、その点は引き続き注視していきます。
    こうした景況感の中で、結果的にTUBと比べて基本的に収益性の高いTUCの比率が上昇しており、オペレーティング・レバレッジ効果と相俟って利益貢献につながっており、製品ミックスとしては改善傾向にあります。オペレーティング・レバレッジが効くことで、競争優位性や営業効率の向上などを見込んでいます。
    中国の新築着工件数と当社のTUC・TUBの動向が必ずしも連動しない点については、統合報告書2023で解説している通りです。また、中国の特級・1~2級都市での需要の中心が塗り替えに切り替わる転換期に当たっており、当社の汎用の7割をTUCが占めている中でも、塗り替え需要には成長性があると考えています。TUBにおいても今後は塗り替え需要が高まると見込んでおり、既存市場でも成長余地があると見通しています。
    2024年の見通しに関しては、来年2月の第4四半期決算に改めて報告します。

  • A2当社は配当性向30%を目途に維持する方針としており、今回はEPS上昇に伴い14円へ増額しました。資本配分に対する基本的な考え方は、株主の皆様へのトータル・リターンを向上するべく、既に発表済みのインドやカザフスタンなどのM&Aを引き続き推進するとともに、配当性向30%を目安に配当していく方針です。
    当社の経営ミッションは「株主価値最大化(MSV)」であり、EPSとPER両方の最大化を追求しています。そのため、配当性向30%を維持する方針に基づき、EPSが成長すれば配当も増額していく想定です。

  • A32024年のガイダンスはまだ発表していませんが、2023年業績予想の売上成長10%も基本的にはM&Aを含んでいません。つまり、既存事業の成長のみを考えても、オペレーティング・レバレッジ効果も相俟って、売上成長以上の利益成長が可能と見込んでいます。この既存事業の成長に加えてM&Aが加算されるため、2024年以降についても、今回上方修正した2023年のEPS予想48.97円よりは高い数字を当然の目標として目指していきます。
    現段階で売上が大きく剝落しそうな要因はありません。当社は中国も含めた既存事業のトップラインを伸ばした上で、ボトムラインをさらに伸ばしながら、さらにM&Aの積み上げを図ることで成長する基本戦略に変更はありません。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1中国の市況が厳しい状況であることはあまり変わっていません。前回の第2四半期時点では、残り半年の見通しについて現地の意欲やTUCの成長拡大への考え方もあったものの、当社の業績や市場に対して一種の警戒感を抱いていたことは事実です。それに対して、第3四半期は厳しい環境の中でも売上を伸ばし、マージン改善も図ることができた好決算であり、私個人としてポジティブサプライズの印象はありました。
    ただし、NIPSEA中国に関する当社の戦略は一貫しており、シェアを向上させてボトムの利益を伸ばすことが当社のKPIであることは、常々申し上げてきた通りです。変化の激しい中国市場において、3年前であればProjectで成長を図り、現在ではTUCで売上を伸ばしていく方針であり、さらにTUCでは3~6級都市での成長機会はまだまだある認識です。当社よりも厳しい経営環境に直面している中小企業もある中で、当社はしっかりとシェアを伸ばし、マージンに留意しながら売上・利益も拡大する考えです。
    中国の引当金については、第2四半期は開示を差し控えていたため、引当金を除いた営業利益率は11%強だったものの、中国全体の営業利益率が実質ベースで9.4%にとどまり、市場に対して不安感を若干もたらした可能性があると認識しています。第3四半期は実績としての結果が開示の充実と相俟ってトーンに現れたのだと理解しています。

  • A2開示におけるセグメンテーションが現地の競合他社と当社のTUCでは異なるため、同一条件での比較は難しいと考えています。現地の感覚としては、引き続き非常に強い競合他社であると認識しており、打ち勝つ、打ち負かされる競争に焦点を置くよりは、しっかりシェアを伸ばすことを重要視しています。ただし、ベースの売上規模は当社のTUC(旧DIY)の方が圧倒的に大きいため、その意味で数字の見え方に若干の違いはある認識です。
    なお、プレミアム市場における当社の主な競合相手は、引き続き別の競合他社であり、エコノミー市場における競争、あるいは3~6級都市での競争とは様相が異なります。こうした状況を総合的に勘案しつつ、あくまで当社推計であるとの前提ですが、説明資料P6のヒートマップの通り、フラットな市況でシェア向上を図れているのが実態です。

  • A3当社の主戦場は数年前までは特級・1~2級都市でしたが、TUC市場全体を改めて見直す中で、これまで焦点をあまり当てていなかった3~6級都市についても成長機会を見出し、営業部隊をしっかり投入しながら十分にシェア拡大を見込めると考え、足元でもしっかり実績に結び付いています。
    ただし、詳細の開示は差し控えますが、引き続きTUC全体に占める3~6級都市の割合は2割程度のため、特級・1級~2級都市の方がメインとなります。

  • A4社内でも同じ議論をしていましたが、2022年第4四半期の汎用は減収でした。当社の歴史の中でも現地通貨ベースでマイナスに陥ることはなかなかないため、その意味での反動増と販売店の駆け込み需要を期待しています。
    若干チャレンジングな目標であることは事実ですが、これらを加味した合計+100億円が営業利益予想に含まれています。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1金融費用が増加した要因はトルコの超インフレ会計によるもので、必ずしも恒常的なものではありません(※金融費用61億円のうち、正味貨幣持高に係る損失を36億円計上)。

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