2024年12月期 第1四半期決算 質疑応答要旨

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質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1TUCは消費財に近い製品やサービスを扱っているため、TUCの業績は新築住宅や中古住宅の市況に大きく左右されません。TUCの市場シェアは現在25%であることから、当社の成長余地はまだ75%分ある計算になります。不動産市況によって75%分の需要が急減する可能性は考えにくいことから、当社はシェア拡大を通じた成長を目指しています。
    当社がシェア拡大を続けられる理由は、強力なブランド力にあると認識しています。TUCはブランドビジネスであり、従来のブランド強化策が奏功した結果と考えています。3~6級都市での売上は、特級・1~2級都市と比較してもまだまだ少ない状況であり、市場の大きい3~6級都市でのシェア拡大余地は今後も大いにあります。3~6級都市では、当社のブランド力を生かしつつも、パッケージなどを変更した廉価版製品を販売することで、ブランドを毀損することなくシェア獲得を実現しています。そのような状況下、3~6級都市の競合他社の一部は、市場から撤退するか、当社のOEM先として提携するかの動きになっています。競合他社をOEM先として委託する「アセット・ライト戦略」によって成長とマージン維持の両立を実現することができており、これは現地の中国チームの強さによるものです。
    3~6級都市の成長率は高いものの、TUCの中核市場である特級・1~2級都市でも十分に成長していることから、3~6級都市で廉価版製品の販売が大きく伸びたり、一部製品で値下げをしたとしても、TUC全体ではしっかりと結果を出すことができています。
    現場では消費者のユーザー・エクスペリエンス向上のための細かな改善やDXの活用、電話一本で塗料の注文から塗装工の手配までを一貫して引き受ける刷新サービスなど、さまざまな工夫を日々行っており、そのような積み上げがブランド力をさらに高め、強みとなっています。

  • A2概ねそのようなイメージですが、市況カラーの黄緑色は-5%~+5%成長を示しており、ゼロ成長では必ずしもありません。実際に第1四半期のTUC市場は+0~5%の範囲内で成長したと推定しているのに対し、TUC事業の数量は相応に成長し、価格/ミックスがやや悪化したことから、シェアの拡大はできていると考えています。

質問者:SMBC日興証券株式会社 新谷泰大氏

  • A1引当金については、前年同期比でも大幅に減少しており、特に開示するほどの額ではありません。TUBはキャッシュの回収を重視して事業を進めており、将来的に引当金が増加する見込みはゼロではないものの、当社としては引き続き慎重な姿勢を維持していきます。
    その上で、TUBは依然として新築市場への依存が大きく、新築市場の低迷が当社の業績に影響しています。市況カラーはダークブルーであり、約-10~15%減の市況の落ち込みに対して、当社は-15%減収であるため、市場シェアを大きく落としているとは考えていません。顧客の多様化は進めていますが、第1四半期は春節などの季節性要因もあり、年間の中では動きの鈍い時期に当たるため、第1四半期のみで長期トレンドを判断することは難しいと考えます。
    建築用事業の構成比については従来、TUC7割、TUB2割、その他1割程度とご説明してきましたが、TUCが好調な一方、TUBは慎重に対応してきた結果、現在はTUC7.5割、TUB1.5割、その他1割程度のイメージへと変化しています。TUB自体を積極的に減らすつもりもありませんが、マージンを確保する前提で事業を展開していることから、今後それほど大きく伸ばす方針でもありません。TUBの期初ガイダンス+0~5%増収については、現時点も変更はありません。
    第1四半期の結果だけを見て過度に悲観的になる必要はなく、何度もご説明している通り、当社の現在の強みはTUCであり、TUCへの注力を続ける一方、TUBについては、マージンをしっかり確保しながら伸ばせるところは伸ばしていく方針です。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1詳細な回答は差し控えますが、インドネシアとDGL(太平洋)、DGL(欧州)が少し物足りない状況です。
    DuluxGroupは欧州だけでなく、豪州でも市況が厳しく、小規模な事業買収によりプラス成長を確保しましたが、全体的には収益性も含めやや物足りないのは、パトリック・フーリハンCEO自身が一番よく理解しており、年間では計画を達成するべく進捗を確認しながら取り組んでいます。欧州は特にフランスの市況が2年連続で落ち込んでおり、第1四半期も‐5%程度縮小しました。その中で当社は健闘しているものの、数値目標に対してはやはり物足りない状況であるため、費用対策や利益対策を進めています。DuluxGroupはこれまで豪州で着実に結果を出してきた実績があるため、DuluxGroupに対する信頼性は変わっていません。
    インドネシアについては、大統領選挙と休日が前倒しになった影響があり、特に3月の業績は鈍化しましたが、第2四半期で取り戻していく計画です。第1四半期は現地の競合他社がプラス成長を確保していますが、これまでも当社は価格競争に陥ることなく競合対比で成長を続けてきたことから、引き続き中長期を見据えた戦略を進めていきます。足元の対策については、ウィー自身が率先して対応しながら、現地のマネジメントとともに取り組んでいます。
    その他の地域は基本的に好調です。

  • A2利益率は悪くはないものの、決して満足はしていません。社内では常に高い目標を設定しており、ガイダンスは必達目標として、それを上回る成果を目指していますが、原材料価格の動向をはじめ、不透明な世界情勢の中で過度な楽観視は避けるべきと考えています。第1四半期はやや好調だったものの、第2四半期以降も引き続き努力し続けます。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1輸入に頼っている日本では、円安に推移すれば製品値上げあるいは費用対策などを進めていきます。他の国・地域では原材料価格が一部下がった場合、競合他社が製品値下げを仕掛けてくるケースがあります。ブランドが確立されていれば価格を維持しやすい一方、例えば中国は経済環境が厳しいため、価格の維持にこだわり過ぎてしまうと、競合他社に負けてしまいかねません。
    油系やチタン系など原材料の種類によって色合いが異なるため、一般化するのは難しいものの、今後当社の連結ベースにおいて原材料費率が大きく悪化、あるいは良化する前提は置いていません。地域や原材料によって価格にばらつきがあるため、今回の第1四半期では売上総利益率が前四半期比で+0.2pt改善、前年同期比では+1.5pt改善しています。売上総利益率は継続して上昇する前提も低下する見立てもしていないのが現状の全体観です。

  • A2懸念は常にしているものの、現状では懸念すべき兆候は出てきていません。多少のばらつきは常にあることを前提としつつ、適切な価格転嫁をこれまでも実施してきました。当社の強さとして、一部の国でインフレの加速や、引当金を計上するなど個別のケースはあるものの、それらを除けば、一定のマージンを安定的に継続できる自信があります。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1TUCとTUBの今後については、2024年通期の売上収益予想でTUCは+15%前後、TUBは+0~5%としており、今後改善や悪化する可能性はあるものの、大きな変化はないと考えています。少なくとも第1四半期は想定内の結果でした。
    TUCは消費財を扱っており、予測しにくい要素はいくつかあるものの、市場需要がしっかりある中で製品は売れており、当社の市場シェアは25%に上ります。他の要因によって上下する可能性はあるものの、今後もシェア拡大を目指す戦略を進めていきます。
    TUBの売上収益予想は+0~5%と厳しく見通しているものの、顧客の多様化を進めることでその影響を補っています。マージンが確保できない取引はせず、貸倒れのリスクを避けながら慎重に進めているため、予想が上下する可能性はありますが、結果として+0~5%の範囲内にとどまると見込んでいます。
    競合他社が引当金を計上している一方、当社は計上していないといった傾向の差は出てきているようですが、競合の動向はあまり気にしていません。当社はこれまでに監査法人と協議の上、十分な水準の引当金を計上しています。特に2022年には大手不動産ディベロッパー向けに多額の引当金を計上しており、2023年も回収に懸念があるディベロッパーには、法的措置を取ることによる引当金を積んでいます。引当金は適切に計上しており、過少計上や、マージンとの兼ね合いで調整することはしていません。
    ビジネスにおいても、引当金を積んだ上で、リスクの高い取引先においては代金引換取引を実施しています。当社が安全と見なしている政府系ディベロッパーなどとの取引は継続しており、リスクはゼロではありませんが、必要十分な引当金は計上している認識です。
    2022年にTUBの市場シェアの伸びが鈍化したのは、取引先を選択した結果でもあるため、引当金が今後の大きな懸念材料になることはないと考えています。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1「アセット・ライト戦略」については、2023年12月の共同社長スモールミーティングにおいてウィーがご説明した通りです。その効果が急に現れているわけではなく、着実に効果が現れており、特に3~6級都市においては、競合他社が減っている実感はあります。一方、特級~2級都市については、海外メーカーのプレミアムブランドや現地ブランドと競争関係にありますが、ブランド力の差が大きく影響しています。現状当社ブランドが強力なナショナルブランドとして存在感を発揮しており、その強みを実際に活用できているのは、これまでの厳しい経済環境の中で実証してきた通りです。
    売上の伸びに関しては、季節性要因などがあるため四半期比ではなく、前年同期との比較で見ていただきたい考えです。全体的な傾向として、2023年もTUCは期初ガイダンスの+10~15%増収に対して結果は+13%増収で着地しており、この結果は決して悪い数字ではなく、長期視点ではそれほど問題ではないと考えています。
    経済センチメントを楽観するべきではないものの、そこかしこにボトム・アウトの兆しは見受けられると当社は考えています。特に上海などの大都市では比較的そのような兆しが見えつつあると感じています。現場の見立てとしても、どんどん悪化が進んでいるというよりは、そろそろボトム・アウトするのではないかという光明が見えつつあります。そのような中で、競合他社に打ち勝つ、あるいは競合他社がいなくなるといった要素が重なっており、全体として当社のパフォーマンスは良好だと考えています。第2四半期に向けては、高い社内目標の達成に向けて努力しています。

  • A2特にありません。1月の結果は例年と比較して良好であり、市場の在庫が少なかったことが一因である可能性もありますが、当社が扱っているのは消費財であることからも真偽の確認は難しいのが実情です。ただし、在庫を無理に押し込むとったことは一切ありません。当社の実力によって達成されたものとお考えください。
    現場ではさまざまな努力と工夫を凝らして事業を進めた結果、一定の成果を上げています。TUCが第1四半期に+15%増収を達成できたのは決して容易ではなく、今後どのように持続していくかが重要です。

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