2025年12月期 第1四半期決算 質疑応答要旨

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質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏

  • A1前年同期の+15%増収に対して今期も+5%増収を確保できたことに加え、特級・1~2級都市から3~6級都市まで、全ての地域で販売数量が成長しており、市場環境が良好ではない中で心強い結果となりました。製品価格については、原材料費が下がったからといって積極的に製品値下げを行い、市場シェアを追求していくのではなく、値下げをせずとも成長可能な部分を伸ばす戦略を進めています。その結果として、価格/ミックスと原材料費の低下がともにプラスに作用しています。
    当社はシェアとマージンのどちらか一方に偏るのではなく、「利益ある成長」を目指し、シェアとマージンのバランスを取っています。

  • A2市場環境は依然として良くありません。当社は中国TUC市場で25%のシェアを持ち、2位や3位の競合他社が1桁台後半のシェアであることを踏まえると、ドミナントな状態ではないものの、非常に高いシェアを確保しており、さらにシェアを拡大できる余地もあると見込んでいます。
    中国の現地企業や欧米企業との競争は地域や状況によって異なっており、現地企業ではやや成長は見られるものの、大幅な成長ではありません。市況が好調ではない中でも、塗り替えを中心とした根強い需要は存在しているため、当社はブランド力を生かしてシェアを着実に伸ばせると考えています。決して楽な競争環境ではなく、現場では非常に神経を尖らせながら対応しており、結果として当社の強みが数字に表れていると考えています。

質問者:SMBC日興証券株式会社 新谷泰大氏

  • A1AOCについては、現時点で4月の想定から大きな変化はありません。AOCも地産地消を基本とし、輸出入に大きく依存していないため、米国の関税動向によって見通しが大きく変化することはありません。
    需要については、利下げは需要喚起に良い影響を与えるものの、米国では利下げがなかなか進まない状況が続いており、景況感の回復は想定より遅れています。そのため、マージンは維持する一方で、前期比0~-5%の減収を引き続き見込んでいます。
    利益率については、ビジネスシステムをもとに製品の強みを生かし、マージンが取れる製品に注力する戦略を継続することで、第1四半期も35.6%(PPA前)と2024年に申し上げた利益率を維持しています。景況感が良くない中で、大幅な改善こそ見込んでいないものの、現在の水準は十分に維持可能と見通しています。

  • A2AOCは現在の利益率に満足することなく、さらなる向上を目指しています。特に欧州では市場シェアがまだ高くなく、汎用品の比率も少なくない中で、よりカスタマイズした製品を提供し、顧客に対する付加価値を高める戦略を進めています。米国では販売数量の回復に伴うオペレーティング・レバレッジによる利益率の向上、欧州ではビジネスモデルの浸透に伴うカスタム製品比率の向上が利益率の改善につながると見込んでいます。ただし、現時点でも十分に高い利益率を維持しているため、アップサイドはあるものの、利益率自体を目的とせず、利益を伴った成長を目指しています。限られたリソースを活用したさまざまな方策を検討しており、市場が回復した際には大きな果実を獲得することができると考えています。
    市場環境が厳しい中でも安定した業績を維持できる点がAOCの魅力であり、当社が投資を決めた理由の1つです。今後も事業の本質的な力強さを生かし、結果を出せるよう努力していきます。

質問者:シティグループ証券株式会社 西山祐太氏

  • A1まず、第1四半期の業績のみで通期業績を大きく懸念する必要はないと考えています。
    NIPSEA中国以外のセグメントはBetek Boyaの比率が高くなる中、Betek Boyaは通期業績予想の+5~10%増収と比べて第1四半期は落ち込みました。トルコの金利や市況環境が厳しくなってきているため、今後も注視する必要があります。その他の地域では、インドネシアを含めて+5%前後の増収を見込んでおり、現時点で大きな懸念はありません。細かく見れば、例えばタイの自動車用では米国の関税影響が懸念されるものの、建築用はそれなりに安定した見立てを持っています。
    利益率についても、トルコの影響で2024年よりやや低下する見込みですが、全体としては大きな懸念はないと考えています。残り9ヵ月の間で政情不安を含めてさまざまなリスクは想定されるものの、当社の事業は一定の耐性を持っていることから、現時点では大きく悲観する状況ではありません。

  • A2為替影響はコントロールしきれない要素にはなるものの、各国・事業の現地レベルでは2月にお示しした水準感から大きな乖離はないと見込んでいます。

質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏

  • A1第1四半期の業績のみで通期を見通すのは難しいものの、日本事業は営業利益率10%以上も十分に目指することができる潜在力があります。分社化によるメリットもある一方で、業務の重複解消、リソース再配分など、今後も改善余地があると考えています。第1四半期の営業利益率9%で満足せず、2桁を目指して今後も改善を続けていきます。
    第1四半期の利益率が上昇した背景としては、自動車用においては前年第1四半期に自動車生産台数が落ち込んだ反動増が出ており、販売数量がやや回復したことが挙げられます。米国関税が日本の完成車メーカーの生産にどの程度の影響が出るかは現時点で見通せないものの、通期業績予想は必達を目指しています。汎用では「グランセラ」や「ダンジオーラ」など付加価値の高いプレミアム新製品を発売しており、拡販によって利益率の向上に寄与していく見込みです。工業用では2024年に製品値上げを実施していますが、こうした施策は一過性ではなく、今後も継続していく計画です。
    原材料価格が急激に上昇しないことが前提ではあるものの、日本事業についても通期業績予想の達成は十分可能と見込んでいます。

  • A2日米間の関税交渉の行方が不透明なため、現時点で明確なことはお伝えできませんが、少なくとも現時点で計画の大幅な変更を強いられるような状況ではありません。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1説明資料P22に記載の通り、AOCは3月を含めた第1四半期は特に需要が強い時期ではありません。中国のように3月が特需となる地域もありますが、AOCにおいては3月に特需や駆け込み需要はありませんでした。
    AOCについては月次で利益率などの推移を細かく確認していますが、当社傘下ではない時期も含めて、2024年後半以降に需要の急激な上昇や大きな落ち込みは見られず、特に考慮する必要はないと考えています。
    AOCは1ヵ月のみの実績であるため断定はできませんが、これまでご説明してきた内容と大きくは変わらない見通しです。

質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏

  • A1ご指摘の通り、市況が非常に良いわけではないものの、3月はTUCにとって重要な月であり、特級や1級都市なども含めた全地域で販売数量をしっかりと伸ばすことができました。製品値上げを実施し、値下げも抑制したことで、価格/ミックスも多少改善することができました。加えて、当社の原材料費は一部で低下しており、利益率の改善にも寄与しています。シェアと利益率のいずれにも偏ることなく、「利益ある成長」をバランス良く追求した結果、売上や利益率、利益の絶対額の全てを成長させることができたと考えています。
    一方で、TUBは依然として厳しい状況にあり、当社は非常に選択的に事業を展開しています。TUBは-10%減収となりましたが、多少の季節要因はあるものの、プラス成長は難しい状況です。
    ただし、TUCの事業構成比が高まることで、中国全体の利益率にはプラスに働いています。塗り替え需要は底堅いものの、市況が非常に好調というわけではなく、慎重に事業運営を進めています。

  • A2第2四半期の実績を見ていただくのが良いと思います。4月以降に消費者センチメントは大きく改善しておらず、むしろ低下している状況です。今回の米中合意を受けて今後センチメントがどう回復するかについてはデータが不足しており、全体感を語るのは困難ですが、決して良い状況ではないと認識しています。
    一方で、景気が良くない場合は原材料価格が下がるため、底堅い塗料需要があれば当社にとってはメリットとなります。NIPSEA中国の対米輸出は多くなく、内需をしっかりと取り込むことが重要です。政府刺激策がしっかり効いたことで第1四半期が良かったとは認識していませんが、刺激策や原材料価格の低下などがあったとしても、関税影響による消費センチメントの低下によって相殺されかねない懸念もあります。したがって、短期的な動向に一喜一憂せず、通年で着実に業績を確保していく方針です。
    また、競合他社の業績については、当社と事業のベースが異なっており、当社としては競合他社に劣っているとは考えていません。当社もTUCで+5%増収を確保し、それなりに高い利益率を維持しており、2024年の第3四半期、第4四半期と比較しても十分に回復できていると考えています。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1当社の現地では、特に市況が改善しているとは感じていません。説明資料P5の通り、TUC市場は前年比0~+5%程度の推移です。当社も+5%増収となりますので、シェアはほぼ横ばいとしています。実態としてシェアは若干上昇している可能性はあるものの、アウトパフォームとするほどではないと考えています。新築市場がマイナスとなる中で、全体の市況もマイナスでもおかしくない状況となっています。そうした中、直近の4四半期程度を踏まえても、塗り替え需要は非常に底堅いと感じています。ただし、政府刺激策によって塗り替え需要が大きく伸びている状況ではないと考えています。

  • A2社内データを見る限り、市場環境はわずかに改善しているものの非常に小幅であり、「改善している」と言い切れるほどの大きな変化ではありません。

  • A3NIPSEA中国におけるTUCの市場シェアは25%程度あり、2位、3位の競合他社のシェアはともに1桁台後半あるため、3社合わせて40%強となります。市場自体はしっかり存在しており、毎年一定の塗り替え需要がある中で、どのようにシェアを獲得していくかが重要です。例えば、3~6級都市では経済水準の向上に伴い、従来当社製品を使用していなかった消費者が使い始める動きも出てきています。したがって、そうしたストーリーがポイントなのであり、市場全体の規模が問題ではないと考えています。

  • A4当社全体の事業規模から見て、特段大きな変化とは考えていません。

質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏

  • A1中国を例に挙げれば、景況感との関係もあり、また全てが原油由来の原材料ではありませんが、現時点の当社想定では原材料価格は比較的落ち着くと見込んでいます。今後さらに原材料価格が下落し続ければ、短期的には利益面での恩恵があると見込んでいます。ただし、原材料安の背景に景況感の悪化がある場合や、それに伴い対応が必要となる場合は、長期にわたって追加のマージンを享受し続けるのは一部の地域を除いては現実的ではないと考えています。
    原材料安に伴うアップサイドはある一方、不確実な景況感によるダウンサイドも数多く存在するため、トータルで見ると現時点で業績予想を変更するには至りません。第2四半期や第3四半期の終了時点で、通期の見通しがある程度明確になれば、業績予想を見直す可能性はありますが、現時点ではアップサイドを過度に期待していません。

  • A2地域や顧客によって異なるため、一概には言えません。例えば、工業用などのBtoB事業では時間を要しますが、AOCなどではより早く利益貢献が期待できる見込みです。

質問者:SMBC日興証券株式会社 新谷泰大氏

  • A1欧州の第1四半期は、第4四半期と同様に需要が低い閑散期である一方、第2四半期と第3四半期は需要期となるため、多少回復する見込みです。ただし、前年同期比で増収に転じるかについては、定かではありません。期初時点でフランス市場は最低でも前年比横ばいを見込んでいましたが、第1四半期でも減収が続いています。塗り替え需要が一定程度蓄積されていることから、長期的にはどこかで回復する可能性があると見込んでいますが、第2四半期での回復は現時点では想定していません。
    しかしながら、当社は市場シェアも獲得できていることから、市況が回復すれば売上も回復できると見込んでいます。現在、プロジェクトを組みながら収益改善計画を進めており、市況の回復を見込みにくい状況の中、利益確保に向けて注力していきます。
    太平洋については、最も不確実性が少ない地域と引き続き見なしています。市況はほぼ前年比横ばいで推移しているものの、ブランド刷新も含めて製品ミックスが改善しており、利益率の高い製品のプロモーション効果もあり、利益面での成果が着実に出ています。従来安定して実績を出してきた地域であり、今後も変わらないと考えています。

質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏

  • A1この記載は一般的な傾向を示したものであり、2024年からインフレ傾向が続く中でサプライヤーからの値上げ要求がある状況です。当社では極力値上げを抑えるよう努めていますが、代替サプライヤーの有無なども踏まえ、一部では値上げを受け入れざるを得ない場合もあります。日本ではコモディティ製品から撤退するサプライヤーも一部で出てきており、こうした状況は今に始まったことではありません。全体として原材料費は落ち着きを見せているものの、個別に見ると値上げを受け入れざるを得ないケースもあり、実際に一部でこうした事象が起きているとご理解ください。

  • A2それに加えて、景気が芳しくないため需給バランスも影響しています。現時点では、原材料価格が大きく上昇するというよりは、全体としては横ばい、もしくは下がる可能性があると見込んでおり、原材料安のアップサイドがある可能性も考えています。

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