「統合報告書2025」説明会 質疑応答要旨

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質問者:質問者A

  • A1販売店舗数・CCM設置数と市場シェアには基本的に相関関係があると考えています。ブランド認知度と販売チャネルの充実がシェアの拡大につながりますが、直近3年間はこれまで比較的手薄だった3~6級都市での設置を中心に進めており、マルチブランドの小規模店舗も含めて拡大しています。そのため、1年単位での大幅なシェア改善につながっているわけではありません。ただし、店舗数は販売基盤としての強さになるため、今後消費者センチメントの回復に伴いシェアを押し上げる要因になると見込んでいます。
    2022年から2023年にかけて店舗数が大きく増加した背景としては、3~6級都市の都市化を通じた将来的な収益獲得を目指し、販売基盤の早期構築に取り組んできたためです。

  • A2当社はM&Aのバリュエーション算定時にシナジーをゼロで見積もっており、経営の恣意性を排除するために楽観的なシナジーは織り込まないのが基本的な考え方となります。一方で、買収がクロージングした後は貪欲にシナジーを追求しており、AOCやNIPSEAグループ、Dunn-Edwardsなどはグループ間でシナジー創出に向けたプロジェクトを推進しています。短期的には調達分野で共同購入に向けた話し合いを進めていますが、今後はビジネスシステムのノウハウ共有なども含めた幅広い連携を進めていく方針です。
    AOCやDuluxGroupなどの経営陣は成長意欲が非常に高く、当社グループのプラットフォームにある技術やノウハウを積極的に活用しようとしており、既存事業と買収先の双方で相乗効果が将来的に現れることを期待しています。

質問者:質問者B

  • A1シナジー効果を個別に定量的に測定するのは難しいですが、当社が典型例として挙げているのが「Selleys」の事例です。例えば、統合報告書P52に記載の通り、シンガポールでは従来開拓できなかった床用クリーナーなどの分野を新たに開拓し、SAF (密封剤・接着剤・充填剤)事業の業績が上昇しています。P51の図に示している通り、NIPSEAグループのSAF事業はSelleys事業の統合後に約9.5倍成長しており、パートナー会社間の連携やシナジー追求がうまく進展していることが確認できると考えています。

  • A2最大の工夫は「権限委譲」と「自律性」にあると考えています。AOCやDuluxGroupのCEOコメント(統合報告書P34)にも記載がある通り、自身の手腕を発揮できる環境が優秀な人材を惹き付ける要因となっています。グループ間取引のように「これをしたらプラスでポイントになる」仕組みというよりは、DuluxGroupはアジアにおいて「Selleys」ブランドを手放す一方、DuluxGroupは調達や戦略、価格決定などの多岐にわたる情報を当社グループから受け取るなど、ギブアンドテイクの関係を重視しています。総合的な評価の中でインセンティブは考慮していますが、個別に細かく加点する方式ではありません。
    「自律・分散型経営」の肝は自律性にあり、本社が過度にパートナー会社を抑制・コントロールしない一方で、「Audit on Audit」や「Control Self-Assessment」などの仕組みを通じてガバナンスを効かせています。こうしたバランスを通じて、現地のやりたいことや能力を信じて後押しすることが、信頼とインセンティブにつながると考えています。

  • A3NIPSEAグループではITやAIの活用に力を入れており、専門人材を採用して事業分析なども行っています。具体的には、統合報告書P45右下に記載の通り、「デジタル・インテリジェント・プラットフォーム」の構築を通じた販売チャネルの変革などを進めています。事業分析や販売チャネルにおけるツールの1つとしてAIを積極的に活用しており、生産性や販売面の取り組み向上を目指しています。

  • A4オンラインによるプロモーションや販売を重視しています。例えば、統合報告書P44右上に記載の通り、消費者の意思決定においてソーシャルメディアへの依存度が高まっていることから、従来のメディア予算の大部分をSNSプラットフォームなどにシフトし、インフルエンサーの起用やおすすめサイトへのコンテンツ投資を進めています。従来のテレビCMや屋外広告看板などを活用した展開も進めていますが、SNSプラットフォームへのプロモーション投資は大きく増加しています。
    オンライン販売については、現時点では全体に占める割合はまだ大きくないものの、その割合は増加しています。 また、統合報告書P43右下に記載の通り、Nippon Paint Chinaは「プレミアム」「プロフェッショナル」「若々しさ」をキーワードにしたブランドイメージの構築に注力しており、特に20~29歳の層ではTop of Mindスコアが53%と高い水準です。この層はオンラインやSNSプラットフォームを積極的に活用しており、将来的にロイヤルカスタマーとなる可能性が高いため、当社としてもオンラインによるプロモーションや販売を重要視し、力を入れています。

  • A5現時点ではそのような兆しは見えていません。オンラインのみでは塗料の色合いが分かりにくい部分もあり、既存の販売ルートのプレゼンスが大きく低下し、オンラインが主流になるという状況にはなっていません。

質問者:質問者C

  • A1統合報告書では買収企業のROICのみを掲載しており、既存事業のROICは開示していません。現在手元に数字がないため、数字感の開示の可否を含めて追って回答いたします。

  • A2従来はNIPSEA中国の動向さえ見ていれば説明が付いたものの、現在は単一のセグメントだけを見て株価のドライバーを語ることは難しくなっていると認識しています。
    コングロマリット・ディスカウントについては、統合報告書P94のガバナンス対談において、MY.Alpha Managementの山口氏からも指摘がありました。仮に塗料事業とは全く異なる企業を買収し、かつ当該企業の利益が上乗せされるのみで、その後全く成長しないのであればコングロマリット・ディスカウントに該当し得るかもしれませんが、当社の場合は買収した企業がシナジー効果によって買収前よりもEPS成長が加速していることから、コングロマリット・ディスカウントには該当しないと考えています。

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