1. 表紙

皆様こんにちは。日本ペイントホールディングス共同社長の若月です。本日もご多忙の中、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
これより、2025年第2四半期決算の概要についてご説明いたします。
なお、本日はマスコミの方々にもご参加いただいています。
2. 2025年第2四半期の決算概況~過去最高の売上収益、営業利益~

2025年第2四半期の決算概況をご説明いたします。
短信ベースでは、売上収益は4,467億円となり、NIPESA中国の汎用におけるトレーディング事業の取引形態の見直しを2024年に実施したと仮定した場合(以下、「同条件比較」)で+5.7%増、営業利益は+36.2%増の697億円となり、引き続きともに過去最高を更新しています。新規連結影響はインド事業とAOCでともに3ヵ月分が加わり、営業利益率もAOCによる貢献もあって+3.8ポイント上昇しています。売上収益の分析は説明資料の下段の通り、為替影響が前年同期比-9%と大きな影響がありました。これは売上収益で約388億円、営業利益では52億円相当の影響でしたが、新規連結影響のインド事業とAOCで+14%の寄与、すなわち売上収益で約604億円、営業利益では181億円相当が為替影響を十分に補っています。全体としてもコストコントロールをしっかりと実施できており、「アセット・アセンブラー」モデルのプラス面がよく表れた決算だと考えています。
全体的に見れば、説明資料上段のサマリーに記載している通り、市況はグローバルに決して良くありませんでした。特に4~6月という時期を考慮すれば、米国による相互関税がもたらしたネガティブなセンチメントを中心として非常にボラティリティの高い事業環境ではありましたが、当社グループとしては各地で販売価格や原価、販売管理費などを厳格にコントロールし、無理な拡販を抑えた結果、売上収益は抑制的、マージンは期初予想よりも改善、結果として最も重視する利益の確保においては十分な数字を達成することができたと考えています。
その上で、為替影響や新規連結影響などを除いた実質ベースでは、売上収益は同条件比較で+0.6%増収、営業利益は+6.9%増益、営業利益率も+1ポイント改善しています。NIPSEA中国の汎用TUCは-11%減収と、現在の事業区分になってからは初の減収となりました。こうした背景には非常に厳しい市況に加え、当社において売上債権や市場在庫水準などの与信管理レベルを引き上げ、無理な拡販を抑えて利益にフォーカスした施策があります。TUBも含めて市況の厳しさは変わらない一方、中国自動車用の好調と併せて、NIPSEA中国全体ではマージンの大幅改善、増益を達成しています。こうした点は、当社の健全な警戒心、市場環境を先回りした行動が反映しているものと考えています。
上期を振り返ると、非常に難しい事業環境の中でも地産地消で安定商材を扱う強みを十分に発揮できており、着実な利益積み上げを果たしていると考えています。ただし、建築用であれ、工業用であれ、AOCのフォーミュレーション事業であれ、いかんせん全般的な市況とは無縁ではなく、数量にかかるプレッシャーは相応に高い状態が続くと見通しており、下期に向けてもしっかりとコストコントロールをしながら「利益ある成長」を追求していきたい考えです。
その上で、2025年通期の業績予想は4月発表から変更していませんが、次ページのセグメント別の概況でも示している通り、売上収益は4月見通しに比べてやや厳しめながら、マージンについては全般的に上昇傾向にあり、利益は必達目標として健全な経営を進めていきたい考えです。
3. 2025年通期 業績予想の諸前提


説明資料P4-5では、セグメント別の直近の見通しをアップデートしています。
概観すると、売上収益は日本、NIPSEA中国、DGL(欧州)、米州、AOCで若干の下方修正をしています。NIPSEA中国は汎用が厳しい一方で、自動車用は市場シェアの拡大もあって上方修正しています。
営業利益率については、ページ右側にある4月見通しとの対比として記載している通り、大部分が「Inline」あるいは「Slightly above」となっています。要因としては、全般的に原材料費率が低下する中で、コストコントロールを厳しく実施していることが中心となります。
4. 原材料市況・当社状況

原材料動向については地域によってばらつきはあるものの、全般的に大きな変動は見込んでいません。第2四半期の売上総利益率は前年同期比で+1.4ポイント上昇しています。
5. 主要セグメントの決算概況

説明資料P7のヒートマップは割愛し、P8において主要セグメントの概況をご説明いたします。詳細は質疑に委ねますが、各セグメントについて簡単に補足いたします。
- 日本については、汎用、工業用において販売数量ベースで非常に厳しかった一方で、自動車用、船舶用が堅調に推移し、全体では増収増益となりました。汎用、工業用の市況の厳しさは今後も継続する前提で、説明資料P4に記載の通り、売上収益の通期見通しを下方修正しています。
- NIPSEA中国については、冒頭でご説明した通りです。
- NIPSEA中国以外については、短信ベースの増収増益がM&A抜きの実質ベースを下回りましたが、これは主に為替に起因するものです。全体にはインドネシアを含めて市況は決して良いとは言えず、そうした中でもトルコを含めて利益をしっかりと確保できています。トルコに関しては、販売キャンペーンの奏功や製品値上げの浸透により実質ベースでも再び増収増益基調を取り戻しており、超インフレ会計の適用後でも実質ベースで17.2%と高い営業利益率を達成していますが、引き続き当社グループの中では数少ないボラティリティの高い市場であることには変わりません。
- DuluxGroupについては、太平洋において市況が前年同期と比べてほぼ横ばいとなる中、製品ミックスの改善などにより増収、営業利益率も改善、実質ベースで約+6%増益となっています。政策金利の引き下げなどを背景に市況は改善の兆しが多少ありそうですが、そうした場合には当社がまずそのメリットを享受できると考えています。その一方で、欧州においては相変わらずフランスの市況がマイナス成長となりましたが、他の地域での成長が相殺し、実質ベースの売上収益は前年同期並み、利益は改善しています。
- 米州については、自動車用は米州全体で自動車生産台数が減少する中で、売上収益はほぼ前年同期並みとなりました。汎用は第1四半期に製品値上げを実施したものの、米国の金利が下がらない中、需要は全般的に減少しました。米州全体としては減益となっています。
- AOCについては、第2四半期から3ヵ月のフル寄与となりますが、PPAは引き続き未確定のため反映されていません。市況面では、残念ながら米国で期待された利下げが進まず、欧州でも需要は低下している中、AOCとしては非常に高いマージンを維持することができており、高い利益貢献をしています。PPAの確定は恐らく第4四半期となる見込みですが、その時点で10ヵ月の償却と一過性の在庫ステップアップ費用などが想定される点に改めてご留意ください。このPPAについては、2024年10月に想定した金額を業績予想に織り込んでいる点は変更なく、金額としては現時点で合計90億円強、うち一過性費用が20億円強となっていますが、今後PPA確定後に変動し得る点にご留意ください。
6. 主なトピックス

主なトピックスとして、2点ご紹介いたします。
1つ目は、6月末に2025年度版の統合報告書を発行したご報告です。2024年度版よりも1ヵ月早く発行することができました。投資家目線をこれまで以上に意識しながら制作しており、引き続き投資家との対話の充実を図っていきたい考えですので、ご意見などを積極的にいただけますと幸いです。
2つ目は、6月末発表しました「東京イノベーションセンター」の本格稼働です。先立って竣工式も執り行いましたが、分社化後に分散していた機能を極力集約しながら、知の創造の起点、技術ハブとなるよう設計にも工夫を凝らした建物になっていると自負しています。
以上、ご静聴ありがとうございました。