事業等のリスク

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当社グループは、グローバルで塗料・コーティング事業を行っており、リスクを適切に把握し管理することが、事業の持続的成長に不可欠と考えており、内部統制システム基本方針に基づき、リスクマネジメント体制を整備しております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書の提出日現在(2022年3月30日)において判断したものです。

(1) リスクマネジメント体制

当社は、取締役会その他重要な会議での報告や審議を通して、当社グループの事業の遂行にともなうリスクを適正かつ継続的に監視することに努めております。
また、当社は、当期、グローバルでのリスクマネジメントのレベルアップのため、2022年1月1日を施行日とするグローバルリスクマネジメント基本方針を制定し、当社グループの地域または事業グループ群の子会社群(以下、「パートナー会社グループ」という。)によるリスクの自主点検を通じた自律的なリスクマネジメントを基本とする、グローバルのリスクマネジメント体制を整備しました。
具体的に当社は、日本セグメントのリスクマネジメント委員会を開催し、国内グループ各社におけるリスクマネジメント体制の整備・運用状況をモニタリングし、国内グループ全体に関わる重要リスクに適切に対処するための審議を行いました。また分科会にて、与信管理、情報管理、安全保障貿易管理、BCP等の強化に向けた具体的活動を行いました。他方、グローバルリスクマネジメントに関しては、共同社長による直接監督の下、各パートナー会社グループ長が責任をもって対応する体制としました。
さらに、当社監査部は、国内外重要会社のリスク情報を収集、分析を行うリスクアセスメント調査を行い、結果を監査委員会、代表執行役共同社長に報告すると共に、国内外重要会社へもフィードバックを行い、課題の共有及び今後の対応方針を協議する等、当社グループのリスクマネジメント体制(内部統制システム)の実効性を監視する内部監査機能を担っております。

(2) 事業展開に関するリスク

① 市場環境変動のリスク

当社グループは、塗料、及びその周辺製品を、建物、自動車、金属製品、構造物、電気機械、船舶等の幅広い業界で製造・販売し、また中国含むアジアを中心に、日本、豪州、米州、欧州で事業を展開しています。当社グループの経営成績及び財政状態は、当社グループが製造・販売活動を行う世界各国・地域の経済情勢や金融市場動向の影響を受ける可能性があります。近年、新型コロナウイルス感染症の流行、世界各地における地政学上の問題、自然災害等により、サプライチェーンの混乱や、塗料需要・原材料市況の変動等、事業環境の不確実性が高まっています。とりわけアジア、特に中国は重要な事業地域であるため、中国経済の変動や政治的な動向の影響を受けやすい傾向にあります。中国の不動産市況や規制状況が予想以上に厳しくなった場合には、当社グループの事業へ影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、M&Aによる地理的な新規市場への展開や抗ウイルス製品、環境配慮型製品の開発・販売による新規需要開拓、各地におけるブランドの強化、サプライヤー動向のモニタリング、グループ全体での供給・調達能力の拡大など、グループ全体での取り組みにより持続的な成長を図ってまいりますが、仮に当社グループの予測を超えた事業環境の悪化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

② 販売価格動向に関するリスク

当社グループは、原材料調達価格や顧客のニーズ、及び競合他社の動向等を勘案して販売価格を設定しております。原材料価格変動の影響を軽減するため、原材料価格のモニタリングによる随時交渉、調達先の多様化や戦略的な選定、原材料価格変動の影響を受けにくい代替材料の評価・導入などに取り組んでおりますが、原材料価格の高騰が当社収益に与える影響を軽減できる保証はありません。また、先進技術を活かした製品の販売や販売チャネル支援の強化や新規チャネルの開拓による競争優位性の維持・向上に取り組んでおりますが、競争要因等により、原材料価格の上昇の影響を顧客に転嫁できない可能性や、転嫁に遅れが生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの収益性が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

③ 海外活動に関するリスク

当社グループは、海外展開を積極的に進め、多国籍企業として事業を展開しており、2021年度の海外売上収益(セグメント間取引消去後)比率は約84%に達しております。当社の海外での事業活動に関して想定されるリスクとしては、主として以下のようなものが考えられます。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(a) 為替変動リスク

当社グループの海外子会社の財務諸表は外貨建てで作成され、連結財務諸表作成時に期中または期末日の為替レートで円換算しております。そのため、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、日本円に対する為替相場の変動は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、海外子会社を通じて製造・販売活動をグローバルに展開しており、世界各地に拠点を有しております。当社グループでは多くの製品の製造・販売については地産地消といった特徴があるため、為替相場の変動が当社グループ製品の競争力に与える影響は大きくないと考えておりますが、製造・販売拠点における為替相場の変動は、価格競争力に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

(b) 政治・経済状況の変化などに伴うリスク

当社グループが事業展開する各国・地域において、法律・規制の変更、政治・経済状況の急激な変化、テロ・戦争・災害・パンデミック等の社会的・政治的混乱など予測し難い事態が発生し、原材料の調達難、製造拠点の操業の停止、物流の遮断による製造・出荷の停止等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。特に、当社グループの売上の重要な部分はアジアに依拠しており、とりわけ中国からの売上が占める割合が大きいところ、中国経済・政治状況等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

(c) 海外の法規制の遵守に関するリスク

当社グループは、当社グループが事業活動を行っている国及び地域における環境規制、製造物責任、労働安全衛生、労使関係、海外投資規制、外資規制、国家安全保障、消費者保護、競争政策、税制、贈収賄規制及び輸出管理規制等に関連する様々な法令の対象となっております。これらの法令に違反した場合、当社グループは民事上、刑事上、又は規制上の罰則等が科せられたりすることによって、当社グループの財政状態及び経営成績等、ひいては当社のブランドイメージ及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

(d) その他のリスク

海外での事業活動においては、上記(a)ないし(c)に記載しているリスクの他にも、商慣習の違い、労働争議の可能性を含む現地の労働条件や優秀な経営人材・技術者・その他の人材確保に関するリスクが存在しております。グループ各社の自主性と自律性を重視する経営方針に基づき、権限を大幅に委譲することで、現地に精通した人材を確保し、各国・地域の法律・規制、労働、及び商習慣へ適切に対応できるよう努めておりますが、これらのリスクを全て把握し、適切に対応できる保証はありません。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループが海外において新規市場への参入や新規事業への展開を行うにあたって、想定以上にコストを要する場合や、海外子会社の経営管理を実効的に行うことができない場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

④ 原材料動向に関するリスク

(a) 原材料の調達リスク

2020年初頭から世界的に流行している新型コロナウイルス感染症は、当社の原材料調達に多大なリスクを及ぼしており、発生から2年が経過した現在も、その影響が強く残っています。
影響の一つ目は景気動向に与えている影響です。2020年上期は、新型コロナウイルス感染症の急拡大により世界の経済活動が停滞し、各社は在庫調整のため、稼働を大幅に制限しました。その後、欧州を発端に企業の生産活動が徐々に再開され、2021年前半には、原材料の流通在庫が不足する事態に陥りました。日本は欧米から半年程度遅れて回復基調となったため、世界的な需給バランスが崩れたタイミングで調達活動を本格化せざるを得ず、サプライチェーン上に余力がない状態が2021年後半に発生しました。2022年も、多少の緩和は期待されるとの見通しはあるものの、引き続き、原材料の需給バランスはタイトな状態が継続する可能性があります。
次に原材料メーカーの工場稼働ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大による生産活動の停止や従業員の療養による欠勤、さらには川上原材料の生産活動の停滞に伴う粗原料の入手難などの影響により、需要量を賄うだけの生産ができていない企業が発生しています。これに加え、火災や設備故障による生産活動の停止や、2021年2月に発生した北米の大寒波など、様々な要因で企業が生産活動を継続できない事例が散発し、需給の悪化に拍車をかける結果となっています。
加えて、コロナ禍からの急回復や、そもそもの米中貿易不均衡の影響により、海上輸送コンテナの米国への滞留(偏在)と海上輸送船舶の稼働率低下によるひっ迫が発生し、タイムリーに原材料を調達できない状況が発生しています。
このような、新型コロナウイルス感染症の拡大に端を発した複雑かつ広範囲に及ぶ経済活動への影響により、当社グループの原材料調達が困難となり、顧客への供給責任を果たせなくなってしまうリスクがあります。
当社グループでは、こうした事態に備え、天災や事故等の発生時の影響を最小限に抑えるため、日頃から原材料の互換化、複数購買、グローバル調達等を進めることにより安定した原材料調達を目指しておりますが、これらの手法によっても原材料メーカーの生産活動の停止やサプライチェーンの寸断の影響を完全に除去できるわけではなく、原材料の調達難による製品供給の遅延等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(b) 原材料の価格変動リスク

当社グループの原材料は、製品の特性上、石化原料への依存度が50%程度と高く、当社グループの原材料価格は、原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。原油価格は、OPECの生産量動向や天然ガス市況のみならず、ウクライナ情勢やカザフスタン情勢などの地政学上のリスク、中東やロシアにおける政情不安、米国の金融政策、米中の貿易摩擦、シェールオイルの復活状況、為替相場を見据えた中東産油国の価格政策、燃料電池車の普及によるガソリン需要の減退など、あらゆる要素が複雑に絡みあい、価格の動向に影響を与えています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大・継続が各国の経済活動に影響を与え続けることにより、原材料需要が急激かつ大幅に変動する可能性もあります。加えて、海上輸送を中心とした世界的なサプライチェーンの混乱は原材料の輸送コストを押し上げる要因となります。当社グループとしては、原材料の調達先の集中によるサプライヤーとの関係強化や原材料の生産地域の分散、契約の長期化など、原材料価格変動リスクを緩和する工夫を行い、安定して原材料が調達できるよう努めておりますが、これらの手法によっても原油・ナフサ価格の変動や新型コロナウイルス感染症による影響を完全に除去できるわけではなく、原材料価格が急激かつ大幅に上昇する場合やかかる原材料価格の変動を適時かつ合理的に製品価格に転嫁することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

⑤ 人材確保に関するリスク

中期経営計画の成長戦略を支えるためには、主要な事業地域の経営陣をはじめとする多様なプロフェッショナルの確保・登用・定着が不可欠です。
また、定年到達者の割合が増加する日本においては、新規の採用、教育、育成を確実に行い、人材の充実を図る必要があります。日本の相対的な労働力不足とグローバル展開への取り組みの中で、多様で有能な人材の育成・維持がますます重要になっています。
最大の市場であるアジアでは、日本と比較して労働市場が流動的であり、離職率が高いという特徴があります。プール人材の確保、増加は賃金水準を低下させる可能性がありますが、離職率の上昇は人件費を増加させる傾向にあり、長期的にはノウハウや技術力の育成を阻害し、効率性や生産性を低下させる可能性があります。また、人事戦略の遂行に失敗した場合、予期せぬ離職が発生した場合、経営陣の交代要員をタイムリーに確保できなかった場合、貴重なノウハウ等の組織力が失われ、効果的な競争力や戦略の遂行に支障をきたす可能性があります。
この様な中、当社の人材確保においては、(a)若手・専門人材採用リスク、(b)国内の社員数の減少リスク、(c)社員の定着リスクの3つの大きなリスクが存在します。

(a) 若手・専門人材採用リスク

適切なタイミングで若手・専門人材が計画どおり確保できない場合や、確保した人材の育成が計画どおりに進まない場合、育成した若手・専門人材を維持できず社外流出が発生した場合等においては、開発や生産の遅れなどをもたらし、また研究成果や技術が流出するリスクが発生します。
その対策として、当社グループでは、国内外の大学・大学院等の関係を積極的に行い、またインターンシップを通じて優秀な人材確保に努めています。また、入社後の研修体系を充実することで育成を強化するとともに、多様な人材が働ける環境整備を進めています。また、専門人材の所属する学会への採用活動を行うなど中途採用も積極的に拡大しております。
さらに、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を推進し、社員の能力向上及び能力のある社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境整備を進めています。
このような対策を講じたとしても想定通りの効果が得られない場合は、当社グループのビジネスや財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(b) 国内の社員数の減少リスク

当社グループにおいては、日本国内では定年退職者の増加により社員数の減少が見込まれております。
その対策として当社グループでは、定年再雇用の環境を充実させ、計画的な後継者育成を進めています。また、社員が長く勤め続けることができる人事制度の導入、環境に配慮した最新設備工場の導入、IoTやデジタル化の推進なども進める事により、省人化・効率化による生産性向上施策も並行して実施し、社員数減少に備えております。
このような対策を講じたとしても、技能が適切に伝承されない場合、当社グループのビジネスや財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(c) 社員の定着リスク

最大の市場であるアジアでは、日本と比較して労働市場が流動的であり、有能な社員の流出により、長期的にはノウハウや技術力の成長を阻害し、効率性や生産性を低下させる可能性があります。また、次期経営陣をタイムリーに確保できなかった場合、貴重な経営ノウハウ等が継承されず、組織力が失われ効果的な競争力や戦略の遂行に支障をきたす可能性があります。
その対策として、当社グループではSDGs・ESG視点の経営を行うなど、種々の広報活動によりコーポレートブランド力を高め、当社グループの魅力を高めるとともに、グループの一体化を醸成し、社員のエンゲージメントを高め社員の定着を進めております。また、当社グループの強みであるグローバルネットワークを最大限に活用し、海外の人材も含めた「ボーダーレスな人材活用」を強化し、人材・スキルの確保及び経営者の育成に努めています。
このような対策を講じたとしても想定通りの効果が得られない場合は、当社グループのビジネスや財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

⑥ M&Aによるリスク

当社グループは、2019年のDuluxGroup LimitedやBetek Boya ve Kimya Sanayi Anonim Sirketiの完全子会社化をはじめとして、2021年1月にはアジア合弁事業の100%化並びにインドネシア事業の買収を完了するなど、株主価値の最大化(MSV)に資するM&Aを国内外で推進し、持続的な成長を目指しております。M&A案件の選別にあたっては、資本コストを上回るリターンを獲得し、結果としての基本的1株当たり当期利益(EPS)増大を図り、財務規律を考慮しつつ優先順位付けを行っております。また、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性及び市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めております。しかしながら、当社グループが企図した通りに買収を実行できない場合や事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合、買収した事業が計画どおりに展開・運営することができず、また当初期待したシナジーが生まれず、投下した資金の回収ができない場合、追加的費用が発生する場合、のれんの減損が生じた場合、多額の借入れにより財務規律の確保が困難となった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、買収がなされたものの、想定どおりに統合が進まず、また、当社グループが期待するシナジー、スケールメリット等の効果を得られなかった場合、買収した企業の主要な経営幹部や従業員を引き続き確保できない場合、主要な顧客、仕入先及びその他の取引先との関係を維持できない場合等には、経営方針の大幅な変更、事業規模の縮小、スケールメリットの喪失等による収益悪化が起きる可能性があり、これにより当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
これに関連し、当社グループでは、2022年1月20日に欧州において建築用塗料等の製造・販売を手掛けるCromology Holding SAS(以下、「Cromology」といいます。)の取得に係る手続きを完了しました。これにより、欧州主要市場での建築用塗料事業の拡大、優秀な経営陣の獲得、同社を通じた当社グループのグローバル成長及びDuluxGroupの建築用塗料の成長機会を獲得することを見込んでおりますが、これらの効果が想定どおり実現できるという保証はありません。加えて、当社グループでは、2021年10月29日に発表したDP JUB delniska druzba pooblascenka d.d.の買収案に関する合意書の締結を行っております。同社の買収の完了には、関係する国・地域における規制当局の承認を取得するなどの条件があり、これらの条件が満たされない場合、買収の完了が遅れる可能性や、当初の想定通りには完了できない可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、原材料価格の高騰及びサプライチェーンの混乱等による塗料及び塗料周辺分野の需要の低下といったグローバルな事業環境変化の影響を、これらの会社の取得によって一層受ける可能性があります。

⑦ 顧客・消費者の嗜好やニーズの把握に関するリスク

当社グループの事業は、当社のブランドと製品に対する世界各国・各地域の需要の継続に依存しています。当社グループの顧客及びエンドユーザーとなる消費者の嗜好やニーズの影響を強く受けます。当社グループの持続的な成長には、顧客・消費者の嗜好やニーズを的確に捉え、既存商品の革新、及び新規商品の創出の両面から魅力ある製品を開発・販売することが不可欠であり、顧客・消費者の期待を満たす革新的な製品を開発・生産する当社の能力及び、販売、広告、製品ライフサイクルの管理を含むマーケティングの有効性等、多くの要因が関係します。
当社は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、「PROTECTON」ブランドの抗ウイルス・抗菌塗料、自動車塗装技術をベースにした防曇・反射防止機能を備えた保護フェイスシールド「ニッペフェイスガード」などをラインナップしておりますが、当社が顧客・消費者の嗜好・ニーズを把握できない場合、または製品開発の困難や遅延、或いは製品需要予測の失敗や製品革新に想定以上の費用や時間がかかる場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

⑧ 技術革新による当社グループ製品に対する需要の縮小に関するリスク

当社グループでは、コーティング技術をもって、人々の生活のあらゆる場面における彩と快適さ、安心の提供に努めています。中でも、当社グループのPurposeである"サイエンス+イマジネーションの力で、わたしたちの世界を豊かに"が示す通り、技術の力による社会課題の解決に向けた商品開発に、長年力を注いでいます。高い技術は、社会課題や顧客ニーズに応えるためのイノベーションを創出するとともに、製品の安定供給を可能にするなど競争優位性を高めるために必要不可欠です。国内外グループの技術者の総合力と社外ネットワークを通じたコラボレーションを強化し、また世界のマーケットにおいて顧客や消費者のニーズ、需要の変化を的確に把握し、これまでにない革新的なソリューションを世の中に提供し続ける取り組みを進めております。しかしながら、技術革新のスピードが当社の想定より早く、当社グループにおいてタイムリーに新技術・新製品の開発ができないなど、期待した成果が得られない場合や、競合他社が技術革新により当社の既存の技術を上回る画期的な製品を開発・販売する場合、当社グループの国内外における市場シェアが低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
また、自動車塗装事業の顧客を中心に、塗料・塗料製品の不要化・削減に向けた技術革新や開発により、より根本的なダウンサイドリスクにも直面しています。例えば、自動車メーカーや各種の材料エンジニアリング会社は、例えば装飾フィルムなど、コスト、及び環境負荷低減の観点から、自動車の塗装に代わる様々な技術を開発しています。こうした動きを受け、当社では2021年7月1日、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社の自動車用フィルム系化粧コーティングへの参入を発表し、トヨタ自動車株式会社との共同プロジェクトなど、さまざまな装飾フィルムの技術・用途の開発を進めております。技術革新やカーボンニュートラルを推進する各国の政策もあいまって、これらの代替品が主流となった場合には、塗料需要の減少や代替品へ移行するために多額の投資が必要となるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

⑨ 競合他社との競争に関するリスク

当社グループは、塗料及びその周辺事業において、国内外の同業他社と激しく競合しております。それぞれの事業において競争が激化すると、地域や世界の大手顧客の喪失、価格調整能力の低下等により、当社の市場シェアや収益性に悪影響が生じる可能性があります。また、自動車や工業用コーティング事業など、一部の事業では、顧客による統合が当社の提示する価格及び利益率にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
また、塗料事業では、原料調達、生産工程、サプライチェーン、流通、研究開発、規制対応等におけるスケールメリットが大きいため、統合効果が大きく、近年当社グループが海外でのM&Aにより事業を拡大しているのと同様に、他のグローバルメジャー各社もM&Aを通じた業界地位の強化・拡大を図っており、この傾向は今後も続くものと予想されます。競合他社が統合され、当社と比較して規模を拡大する場合、資本、技術、資金調達を含め、競合他社と効果的に競争できる保証はなく、その結果、当社の市場シェアが低下、または価格低下圧力が増大する場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

⑩ 研究開発活動に関するリスク

当社グループは、塗料が持つ魅力を技術の力で最大化するために、グループ技術の総合力と社外ネットワークとのコラボレーションを強化する取り組みを進め、多大な資源を投入して様々な社会課題の解決に資する製品・サービスを提供するための技術開発を推進しております。現在は、主力事業における継続的な新製品や、「感染症リスクの低減」、「スマート社会の実現」、「環境負荷の低減」、「社会的コストの低減」の4つの分野の社会課題を解決する新製品の技術開発に注力しております。これらの取り組みは、社会環境の変化、将来の製品や未開拓の市場機会への対応及び産業の高度化等と整合性があると考えていますが、当社グループの研究開発への継続的な投資が、投下した資源に比例した収益を得られない場合、収益性の高い製品に結びつかない場合、及び、市場構造が大きく変化した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

⑪ 製造・販売における第三者への依存に関するリスク

当社グループは、当社グループ製品の製造・販売の一部を外部の第三者に委託しております。製造・販売の委託先はいずれも当社グループの関連会社又は長期間の取引先にあたるため、当社グループとの関係が悪化する可能性は小さいと考えられるものの、これらの第三者が当社グループとの関係悪化や当社グループの競合他社との協業等を生じさせる場合や、これらの第三者に経営環境の悪化や災害等が発生しその業務に支障が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、当該第三者の製造・販売活動の品質等が当社グループの基準を満たさない場合や当社グループの競業他社又はその外部委託先の品質等に劣る場合は、当社グループの製品やサービスに係る品質及び評価、製造・販売、並びにブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ ブランド価値の毀損に関するリスク

当社グループは、中国を含むアジア、オーストラリア、日本等の主要市場において高いシェアを有しており、顧客・消費者からのブランド認知度が高いと考えております。当社グループでは、ブランディングへ継続的に経営資源を投じ、認知度の維持・向上に努めておりますが、当社のブランドイメージは、製品の安全性及び品質問題、事故、違法行為、プライバシー侵害、当社の経営陣または従業員を巻き込む不祥事等、当社の管理外にある可能性のあるその他の要因を含む、いかなる申し立てや悪評によっても損なわれる可能性があります。仮に、その一部または全部が根拠のないものであったとしても、当社グループの事業に対する社会の認識に悪影響を及ぼす可能性があります。このような事件等により、当社または当社製品に対する消費者の信頼が損なわれた場合、当社製品に対する消費者の需要及び当社ブランドの価値が著しく低下し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(3) 中期経営計画等に関するリスク

当社グループは2021年3月5日に上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、経営戦略等 ②中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、新中計を公表しました。新中計においては、地域・事業戦略として、強固な成長基盤を更に強化し見えてきた課題を積極的に解決すべく、①中国を含むアジア・トルコ等の高成長市場におけるマージンの確保・シェア拡大による利益成長、②安定成長市場のオセアニアにおける市場成長率を上回る売上・利益成長、③日本における設備更新や合理化投資の実施による競争優位性と生産性向上の実現及び新需要創出、④自動車用塗料事業における技術力の向上・品質保証体制の強化によるシェア拡大・新規取引獲得、⑤傘下となったグループ会社が有するSAF(Sealants, Adhesives & Fillers:シーリング材・接着剤・フィラー材)やCC(Construction Chemicals:建設化学品)、ETICS(External Thermal Insulation Composite System:断熱材)などの領域の事業経験及びノウハウを活用した塗料周辺事業の中国・アジアを含めた各地域への展開を掲げております。また、持続的成長・利益率の改善を実現すべく、サステナビリティ・M&A戦略を掲げております。しかしながら、新中計発表から1年を経過して、原油価格の高騰や物流網の混乱に代表されるように、当社グループがかかる目標を達成することができるか否かは、各地域・製品の市場が当社の想定通りに成長しないリスク、当社グループが各国・各製品の市場シェアを上げることができないリスク、新中計における設備投資を実行できない又は実行しても生産効率の改善など期待された効果が発現しないリスク、当社グループの技術力・品質保証体制が改善せず重要な顧客との関係が悪化するリスク、当社グループが各国の子会社の経営を有効に管理又は活用できないリスク、環境規制対応などで当社グループのコストが増加する又は競争力が損なわれるリスクなど、本「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。
中期経営計画を策定する中で、当社グループは、国内外の市場環境、企業の動向、他社との競業、法令等の変化、技術革新、為替相場や原材料相場、新型コロナウイルス感染症の鎮静化状況等、経営環境に関する様々な前提や予測を置いております。このような前提や予測が将来の事実関係と異なる結果となる場合、当社グループが経営環境の変化に応じて戦略又は事業運営を適時に変更することができない場合には、当社グループが中期経営計画を実現できない可能性があります。

(4) 財政状態に関するリスク

① のれんを含む無形資産の減損に関するリスク

当社グループは、M&Aの実施に伴い発生するのれん及びその他無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2021年度末におけるのれん及びその他の無形資産の額はそれぞれ652,692百万円及び300,200百万円となっております。
「のれん」及び「耐用年数を確定できない無形資産」については償却を行わず、減損兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しております。当該減損テストでは、資金生成単位における処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方を回収可能価額として測定しております。
当該処分費用控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、経済条件の変動による影響を受ける可能性があり、将来にわたり、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。そのような修正が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を与える可能性があります。

② 有利子負債・資金調達に関するリスク

当社グループは、金融機関からの借入れや社債による資金調達を実施しており、借入金と社債の合計(1年内に返済又は償還予定のものを除く。)は、2021年度末において、457,919百万円となっております。
長期借入金の大部分は固定金利でありますが、一部の外貨建ての社債や借入金については変動金利となっております。金利スワップや金利通貨スワップ等の金利デリバティブ取引によりこれらの金利変動リスクのヘッジを行っているものの、今後金利が上昇する場合や為替変動が生じる場合には、かかる有利子負債について追加的な負担を負う可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、有利子負債比率等当社グループの財務状況の悪化、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、外部格付機関による格付けの引き下げ等当社グループ信用力の低下、業績の見通しの悪化等の要因により、当社グループのキャッシュ・フローに悪影響が生じる場合、又は、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、又は取引そのものが制限される場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

③ 設備投資が収益に結びつかないリスク

当社グループが掲げる「MSV」と「持続的な成長」を実現するためには、生産能力の増強と生産性向上のための設備投資を継続的に行う必要があり、今後も引き続き事業機会を捉え、品質やリスク体制、及び収益性を向上させるための投資を行ってまいります。具体的には、デジタル化技術をはじめとするサプライチェーンの物流改善、老朽化設備の維持・更新、労働安全の確保、合理化・IT投資、研究開発・環境保全などへ重点的に投資します。当社グループは、設備投資計画を事業環境の変化に合わせ、柔軟に実施してまいりますが、投資効果が十分に期待できない可能性があり、設備投資の増加や減価償却費の増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(5) 法律・規制に関するリスク

① 製品の品質保証・製造物責任に関するリスク

当社グループは設計審査の厳格化や品質管理体制の強化により品質保証体制を整備し、当社グループ製品の品質向上に取り組んでおり、製造物責任保険にも加入しております。しかしながら、当該保険は損害をカバーするのに十分でない可能性があり、様々な要因により製品の欠陥・品質問題やそれに伴う物損・人損等が生じ、製品の回収、製造の中断・遅延若しくは大規模なリコールの実施が必要となったり、第三者から製造物責任に基づく損害賠償請求を受けたりした場合や、当社グループの顧客から発注のキャンセル、損害賠償の請求又は品質管理体制の強化などを求められる場合には、当社グループの社会的評価に悪影響が及ぶとともに、製品補償引当金の計上等により、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

② 知的財産に関するリスク

当社グループでは、知的財産の管理に関する規程を定め、知的財産が当社グループの重要な財産であることを認識し、知的財産を経営資源として蓄積し活用するとともに、他人の知的財産を尊重するものとしております。また、当社グループでは、知的財産に該当する技術情報については、情報管理に関する規程により管理し、専用の技術情報データベースで保管して流出を防止する等の情報管理を徹底するなど、知的財産保護のための体制を整備しております。このような施策にもかかわらず、当社グループの従業員(退職者を含みます。)や製造・販売の委託先を含む第三者により当社グループの知的財産である技術情報が社外に流出し知的財産が侵害された場合、また、将来、第三者との間で知的財産に関する紛争が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

③ 環境関連を中心とした法規制への対応リスク

当社グループでは、原材料の採用や商品開発など段階に応じて法規制に関する審査を行うことに加え、将来の規制強化を踏まえた社会課題の解決に貢献する海洋環境配慮型商品や抗ウイルス商品の開発・導入などに取り組んでおります。また、工場などの操業に係わる規制を順守するとともに、環境への負の影響については目標を掲げその低減に取り組んでおります。さらに、当社グループの調達先との間で、社会的責任を踏まえた調達活動を行っております。しかしながら、当社グループが事業を行う国又は地域において、特に中国や欧州を中心に塗料業界に関連する環境、化学物質、安全衛生などの法規制の改正や強化が進んでおり、これらの規制が当社グループの予測を超えて厳しくなった場合や法改正への対応が間に合わなかった場合は、法改正対応のための費用が増加したり、製品の製造販売活動や調達活動等が制約を受けたり、又は行政上の処分を受けたりする可能性があります。当社グループがこれらの規制を遵守することができなかった場合は、規制当局からの罰金その他処分の対象となる可能性や原状回復義務の費用負担等を負う可能性があり、これによって当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

④ コンプライアンス及び訴訟リスク

当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、事業を展開する国内外の様々な法令、規則の適用を受けます。当社グループは、かかる法令等の遵守を図っておりますが、法令等の遵守のために追加の費用が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、法規制、法解釈の変更等により法令等の遵守が困難になり、当社グループにコンプライアンス違反が発生する場合、当社グループは、規制当局による措置、処分等に服するリスクがあります。その措置等の内容によっては当社グループの事業に支障が生じたり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じたりする可能性があります。
さらに、当社グループは様々な国又は地域において、消費者、取引先、従業員等から製造物責任、契約違反、労働問題等に関して訴訟の提起を受けるリスクを有しております。訴訟等の結果によっては、当社グループに多額の損害賠償金等の支払いが命じられ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

(6) 自然災害・事故災害に関するリスク

① 大規模な自然災害によるリスク

当社グループは、日本に本拠を置き、歴史的に自然災害や天候不順の影響を受けやすいアジアで事業を展開しています。このため、自然災害に対する被害・損害を最小限にするための防災、減災、さらには危機管理体制を重要なものと位置付けて取り組んでおり、また、デジタル・サプライチェーンの構築(リモート・ワークを可能にし、煩雑な作業を軽減するためのデジタル・ツールや手法の活用)や、BCPの視点からサプライチェーンの再構築に着手しております。大規模な自然災害、特に日本国内で東南海沖を中心とした大規模な地震の発生とそれに伴う想定以上の大津波、また、地球温暖化が要因のひとつとされる気温の上昇による大規模な山火事や巨大台風による大規模な水害が発生した場合や寒波により電力の調達コストが増大した場合には、原材料調達、製品の製造、出荷等に支障が生じ、顧客に安定して製品を供給できなくなるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

② 火災、爆発事故によるリスク

当社グループは、事業特性上、爆発、火災、有毒・有害物質の排出・放出等の危険性があります。危険物及び化学薬品の取扱いについて、事故発生の未然防止のための安全操業体制の強化に日々取り組んでおり、危険物を取り扱う工場や作業従事者の安全教育の徹底だけでなく、更なる水性材料(非危険物)への転換や改良を進め、現場の安全度の向上を図っておりますが、当社グループにおいて、火災事故、爆発事故が発生した場合、一時的に操業を停止する必要が生じるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

③ 新型コロナウイルス感染症の拡大・継続によるリスク

新型コロナウイルス感染症は、人々の健康に重大な影響を及ぼし、世界中の多くの国々で医療体制や基本的な生活の維持が脅かされ、結果として多くの産業における経済活動が大きな影響を受けております。
新型コロナウイルス感染症の拡大・継続により、当社グループの工場の閉鎖、稼働の制限又は自粛、必要な従業員等の不足等により当社グループにおける製品の生産に悪影響が生じ、又は原材料や機材等の調達や当社製品の物流に支障が生じるなど、当社グループの事業運営の全部又は一部が困難になり又は制約が生じる可能性があります。これまでに、工業用塗料事業及び自動車用塗料事業において、顧客であるメーカーの生産減により、当社グループの業績にマイナスの影響が生じました。このように、世界的な経済活動の減退が当社製品の需要や価格に悪影響を及ぼした場合や当社グループの従業員に新型コロナウイルス感染症が拡大し一時的に操業を停止する必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。また当社グループの事業は地理的に分散しており感染の影響を受けた場所はそれぞれ異なっているため、生産・販売・在庫・物流状況を世界レベルで把握するとともに、各種対策を講じて新型コロナウイルス感染症の影響の極小化を図っておりますが、今後の感染拡大の規模や収束時期の見通しは立っておらず、現時点で当社グループの財政状態及び経営成績等に与える影響を具体的に予想することは困難です。

(7) 気候変動に関するリスク

① 長期的なリスク

当社グループは、地理的に広範な自然災害やアジアの一部を含む異常気象の影響を物理的に受ける可能性があります。また、気候変動に対する国内外の政策及び法規制、市場の要求を踏まえ、環境配慮型商品の開発・導入に加え、生産工程等から排出される温室効果ガスの削減目標設定や排出削減に向けた具体的な取り組みを進めていますが、脱炭素社会の実現を目指す日本政府の方針を踏まえたこれらの規制の強化や自動車メーカーの生産工程を含む温室効果ガス排出量の大幅削減目標などを含む世界的な動向により、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。具体的には、温室効果ガスの排出に関する新たな税負担等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

② 短期的なリスク

当社グループの製品は、自動車、建物、建築資材、構造物、金属製品、電気機械、船舶等の幅広い業界において使用されておりますが、気候変動により近年発生が増加傾向にある台風、豪雨等の異常気象により、当社グループ及びサプライチェーンが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産若しくは出荷が長期間に亘り停止することがあり得ます。また、冷夏、暖冬、長雨などによる異常気象により、当社グループが製品を供給する業界が影響を受けることもあり得ます。このような場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

(8) その他のリスク

① 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、情報・ITシステムに依存して、正確かつ効率的に取引を行い、経営者への情報提供や財務報告書の作成などを行っています。
当社グループは、個人情報を安全に保管し、セキュリティ手順の周知徹底を図るため、バックアップ手順、災害復旧策を整備し、情報システムセキュリティガイドラインを策定しておりますが、当社のシステムは、地震及びその他の自然災害、機器または通信の障害、コンピュータウイルス、サイバー攻撃、当社が予期しないその他の事象によって破壊される可能性があります。コンピュータウイルス、不正アクセス、マルウェア、その他のサイバー攻撃により、当社の内部システムが侵害される場合や、機密情報が漏洩または消去され、当社の事業遂行能力が損なわれる場合など、サイバーセキュリティインシデントは、攻撃者の意図的な攻撃や当社の意図しない事象から発生する可能性があります。
これらのインシデントには、当社システムへの不正アクセス、コンピュータウイルスまたはその他の悪意のあるコード、マルウェア、ランサムウェア、フィッシング、人為的エラー、またはセキュリティ違反を引き起こしたり、機密情報の流出や資産の流出を引き起こすその他の事象が含まれます。
当社のシステムに影響を及ぼす上記のような問題は、事業の中断、対応費用の発生、顧客情報や機密情報の漏洩、法律違反につながり、セキュリティ、バックアップ、及び災害復旧対策を行っていても、障害を回避できない事があります。このような場合は当社の社会的信用、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。

② 大株主との関係に関するリスク

2021年1月25日、Wuthelamグループに対する当社普通株式の第三者割当による当社の新株式の発行の払込みが完了しました。これにより、Wuthelamグループは当社普通株式の58.7%を保有するに至り、本有価証券報告書提出日現在において、当社の親会社となっており、当社の株主総会の特別決議及び普通決議を必要とする事項に重大な影響力を有しております。当社とWuthelamグループの間には、Wuthelamグループが保有する当社株式の保有・売却や議決権の行使についての取り決め、その他経営を制約するような契約等はありません。また、Wuthelam社の代表者であるゴー・ハップジン氏は、当社の取締役を兼務しており、今後も継続する可能性があります。
Wuthelamグループが当社の事業や経営方針に関して有する利益は、当社及び当社の少数株主の利益と異なる可能性があります。2021年8月のWuthelamグループとの取引の一環として、欧州及びインドにおける自動車用塗料事業及びインドにおける汎用塗料事業をWuthelamグループに譲渡したことにより、現在、これらの事業に関して、マネジメント・サービス契約及び買い戻しオプションを通じて、当社グループと継続的な商業的関係が成立しており、将来において利益相反が生じないことを保証するものではありません。
また、Wuthelamグループは、当社が上場会社として少数株主の保護を図りながら株主価値の最大化を目指す経営方針に賛同しており、引き続き当社の株式を継続的に保有する予定であると当社は認識しておりますが、今後Wuthelamグループは、自らの財務状況等に鑑み、当社株式の保有株式数を増減する可能性があり、その場合、当社株式の市場価格に影響が生じる可能性があります。

③ 東京証券取引所「プライム市場」の上場維持基準に適合しないリスク

当社は2022年4月4日に予定されている東京証券取引所新市場区分一斉移行におきまして、定められた上場維持基準を満たしプライム市場に移行致します。東京証券取引所の関連規則に基づき算定される流通株式比率が35%以上であることがプライム市場上場維持基準の要件の一つですが、2021年1月21日に実施いたしましたWuthelamグループに対する第三者割当増資の結果、2021年12月31日時点で、流通株式比率は35%未満となっております。流通株式比率に関する2023年プライム市場上場維持基準については2022年12月31日時点の株主構成を基礎とすることから、2022年1月に金融機関保有株式の売出しを実施した他、一定の流通株式に関する例外規定を利用するなど、必要に応じて様々な対策を講じてまいります。ただし、当社の努力にもかかわらず、当該要件を満たすことができない場合には、プライム市場において当社株式の上場を維持することができず、株価または流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。



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