研究開発
2026.10.16

塗料の品質と信頼性を支える性能評価試験

日本ペイントグループ製品の品質は、自然環境での長期評価、製品の使用シーンを想定した試験、試験装置による促進評価など、多角的な検証によって支えられています。当社グループが実施する性能評価試験の一部をご紹介します。

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塗料の役割は、色を付けることだけではありません。
自動車や電車、船舶、建築やインフラ、家電にいたるまで、塗料は、紫外線や雨風、熱や汚れから素材を守り、美観や機能を長期にわたって維持する役割を担っています。

こうした性能を確実に発揮するためには、実際の使用環境や過酷な自然環境を想定したさまざまな試験と評価が欠かせません。
日本ペイントグループでは、実環境での長期評価や使用環境を想定した試験、そして試験設備による評価を組み合わせることで、製品の品質と信頼性を支えています。

自然環境で品質を確認する、宮古島ウェザリングセンター

塗膜の耐候性試験

当社グループでは、沖縄県の「宮古島ウェザリングセンター」にて、塗膜の耐候性試験を行っています。
ここでは、塗装した試験板や実製品を屋外に設置し、太陽光や雨、湿気、海風などの自然環境にさらしながら塗膜の変化を評価しています。

宮古島は、世界基準とされている暴露施設が位置する、アメリカのフロリダ州マイアミとほぼ同緯度にあり、気象条件も似ているといわれています。強い紫外線、塩分を含んだ海風、高温多湿な気候、さらには台風など、塗膜にとって非常に厳しい環境条件が揃っており、こうした環境下で試験板や実製品を長期間屋外に設置し、色や外観、塗膜性能の変化を確認しています。
広大な敷地には多くの試験板が並び、それぞれの評価結果が製品開発や品質向上に活用されています。

臨海評価技術センター

自然海水を用いた船舶塗料の性能評価

岡山県玉野市にある臨海評価技術センターでは、船舶塗料を実環境で評価・分析しています。
海に面したこの施設では、自然海水を用いて船舶塗料の防汚性能や、その性能を生み出す特性を評価し、製品の信頼性・品質確保に役立てるとともに、新商品開発や製品改良に活かしています。すべての防汚塗料はこの施設で評価され、さまざまな検証を通過したもののみが市場に送り出されます。また、通常の評価試験に加え、開発のスピードと確度を高めるため、新たな試験手法の検討にも取り組んでいます。

船舶塗料には、海洋生物の付着を抑えることや、腐食から船体を守ることに加え、海洋環境への配慮を意識した設計が求められます。そのため、実際の航海と類似した環境を作り出せることは大きな利点であり、より地球環境に優しく、防汚効果が高い商品開発の一翼を担っています。

使用環境を想定した評価

①自動車用塗料の試験

自動車用塗料には、美しい外観を維持するだけでなく、走行等で受けるさまざまな負荷に耐える性能が求められます。
例えば、走行中に飛び石が当たることを想定したチッピング試験や衝撃を受けた際の影響を確認するおもり落下試験では、塗膜の割れや剥がれが起こらないかを確認します。また、洗車機による繰り返しのブラッシングを想定したブラッシング試験では、塗膜の傷付きにくさを評価します。
さらに、車内環境を想定して化粧品や食品を用いた試験も行います。

おもり落下試験
一定の高さからおもりを落下させ、素材がへこんでいても塗膜自体は剥がれていないことを確認
ブラッシング試験
実際の洗車ブラシを回転させて、塗膜の傷付きを確認
薬品試験
化粧品や食品を想定した薬品試験も行う

このように、自動車が実際に使用される場面を想定しながら評価を重ねることで、高い品質を実現しています。

②工業用塗料の試験

家電製品などに使用される工業用塗料では、日常生活の中で起こり得る汚れや加工工程を想定した試験が行われています。
例えば、しょうゆやからしなどの食品汚染試験のほか、油性マジックによる汚れが塗膜に残らないかを確認する耐汚染性試験があります。これは、キッチンやリビング周辺で使われる家電製品を想定した評価です。

さらに、エアコンの室外機などに使用される鋼板は、塗装後にプレス加工や折り曲げ加工が施されます。そのため、深絞り試験を行い、加工後も塗膜が割れたり剥がれたりしないことを確認しています。

プレス加工や折り曲げ加工が施された鋼板
1枚の板から切り出した円形の塗板(左)を特殊な機械によって右の形に成形
深絞り試験
特に塗膜が伸びている箇所で、塗膜剥がれが起きないかを確認

こうした評価によって、家電製品や住宅設備機器の美観と耐久性、そして製造工程での加工性を支えています。

実環境と試験機を組み合わせる促進耐候性試験

実環境等での評価と合わせて機械を用いた促進耐候性試験も行っています。
専用の試験装置を用いて、強い光や熱、水分などを繰り返し与えることで、塗膜の経年変化を短期間で確認することができます。

品質を守り、新たな価値を生み出すために

日本ペイントグループでは、宮古島ウェザリングセンターをはじめとする屋外暴露施設や臨海評価技術センターでの実環境評価に加え、自動車や家電など用途ごとの試験、そして促進耐候性試験を組み合わせながら、多角的に性能を検証しています。
見えないところで積み重ねられるこうした評価技術が、製品の品質と信頼性を支えています。

私たちはこれからも、さまざまな試験と評価を通じて、お客様に安心してお使いいただける製品づくりと、新たな価値の創出に取り組んでいきます。

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