ガバナンスへの取り組み

取締役会議長メッセージ

写真:筆頭独立社外取締役 取締役会議長 中村 昌義
筆頭独立社外取締役
取締役会議長
中村 昌義

リスク許容度を引き上げ、次なる飛躍へ

経営上の唯一のミッションとして「株主価値最大化(MSV)」を掲げる当社は、M&Aを重要な戦略の柱とし、優れた経営陣によりけん引される優良なアセットを積み上げる「アセット・アセンブラー」モデルを推進しています。当社の取締役会は、執行の意思決定を尊重しながらも、執行側から提案される施策について潜在的なリスクを多角的かつ客観的に精査し、当社のリスク許容度を見据えながら、果敢に執行を後押しする役割を担っています。また、約59%の株式を保有する大株主が存在する中で、取締役会には少数株主利益の保護を最優先するという責務、換言すれば、大株主と少数株主の間に利益相反がなく、常に共通の利益、すなわちMSVの追求が求められているのです。

指名委員会等設置会社である当社の取締役会は、その実効性を高めるべく独自の枠組みで運営しています。また、指名委員会・報酬委員会は、執行に対しては、共同社長2名とGeneral Counsel1名の計3名の執行役のみを選任・報酬決定の対象としています。グローバルに展開し、今後もさらなるM&Aを展望する中、2つの委員会がしっかりと実態を把握することが可能な範囲で、実効性のある評価を行おうとするものです。

他方で、各パートナー会社グループ(PCG)の経営陣に関する選任・報酬の判断は共同社長に委ねています。取締役会は、共同社長がどのように人材を見極め、評価したかについて年次で報告を受けて確認します。すなわち、共同社長が各PCGに経営を任せる「アセット・アセンブラー」モデルにおいては、適切な人材マネジメントが行われているか否かを共同社長の評価の重要な要素の1つとして位置付けています。

各PCGの自律性を重んじ、大幅な権限委譲のもとでオペレーションに責任を持たせるには、グループ全体の内部統制とリスクマネジメントが適切に運用されなければなりません。グローバル行動規範、CSAを柱としたグローバルリスクマネジメント、内部通報システムなどの枠組みに加え、各PCGでの内部監査を通じて内部統制システムが適切に機能していることを監査委員会が監督する「Audit on Audit」も定着してきました。これらが適切に機能していることが、共同社長にさらなるリスクテイクへの確信を与え、取締役会にとっても、執行の挑戦を支える上での大前提となっています。

全員で8名、うち執行からは共同社長2名のみで構成される比較的コンパクトな取締役会での意思疎通は円滑で、執行や取締役間での情報の乖離を限りなく小さくするように工夫しています。議論を要しない報告事項は取締役会のデジタルプラットフォームで共有し、実際の取締役会では最も重要な成長戦略や重要な投資の審議に集中する時間を充実させてきています。独立社外取締役会議も柔軟に活用することで、あらかじめ論点やシナリオ、リスクの所在を整理し、取締役会では「何を優先し、どこに経営資源を配分するのか?」「その判断はMSVに資するのか?」を俯瞰的に議論します。これらにより、取締役会の議論の質は一段と高まり、MSV追求に向けた共通認識もより研ぎ澄まされてきたと実感しています。

もちろん、さらなる飛躍に向けて我々のチャレンジは続きます。私たち取締役は、執行の取り得るべき適切なリスクの水準を検討し続け、取締役会としてリスク許容度を高めてまいります。その際、執行が積み上げたアセットの価値を着実に向上させることは、当社の経営基盤をより強固にし、次の投資に向けて取り得る選択肢を広げます。私たちは、その成果を的確に見極めた上で、良質なアセットの積み上げに向けた果敢な挑戦を後押しし、MSVに資する責務を果たしてまいります。

指名委員長メッセージ

写真:独立社外取締役 指名委員長 原 壽
独立社外取締役
指名委員長
原 壽

最適な執行・監督体制を維持する――指名委員会のミッション

指名委員会は、MSVの実現に向けて実効性のある最適な執行・監督体制を構築・維持することをミッションとしており、とりわけ執行トップの選任とサクセッションは最重要課題であると認識しています。当社は2020年の指名委員会等設置会社への移行後、成長ステージと経営環境の変化に即して体制を継続的に検討し、ブラッシュアップしてきました。後継者計画においては、画一的な基準による選抜や計画的な育成に依存するのではなく、「育成」よりも社内外での「発掘」に重きを置いています。共同社長をはじめ主要経営陣や次世代候補者との緊密なコミュニケーションを重ね、経営者としての総合力や人となりを深く把握し、求められる資質を見定めることと並行して、内外の人的ネットワークを通じて次世代候補者層を厚くすることを重視しています。

一方で、取締役会メンバーに目を移すと、優れた執行を選び任せるためには、それを監督する取締役会が「何を重視して判断するのか?」という定見を共有していることが前提になります。2025年秋に、来日したAOC経営陣と取締役会メンバーが意見交換する機会がありました。その場では、AOCからビジネスモデルや経営方針について詳細な説明がなされ、取締役会メンバーからはさらなる収益機会の追求やグループ内他社にも転用し得るAOCの強みなどについて活発な意見が出されました。私自身はその場の議論に参加すると同時に、指名委員長として、現在の当社取締役構成が持つ多角性が発揮されていること、メンバー全員がMSVの観点から「何を重視し、どの論点を優先して判断するのか?」という視点を共有していること、執行のリスクテイクを有効にサポートする体制が整っていることを再認識することができました。

今後も指名委員長として、当社の成長ステージに相応しい取締役構成と執行体制を維持し、MSVの実現に向けたサステナブルな執行・監督体制の構築・維持に努めてまいります。

報酬委員長メッセージ

写真:独立社外取締役 報酬委員長 リム・フィーホア
独立社外取締役
報酬委員長
リム・フィーホア

MSVの追求を支える報酬決定

私たち報酬委員会は、共同社長の報酬決定に当たり、当社の報酬フィロソフィーに基づきMSVの追求に資する適切なモチベーションやインセンティブを付与することを重視しています。当社は、MSVを「唯一のミッション」として掲げており、執行側・監督側の双方において、中長期的な株主価値の最大化を追求する責務を果たすことが当社ガバナンスの根幹です。

当社の報酬委員会は、過去に経営陣の評価・報酬について多くの経験を積んでいる独立社外取締役3名、当社と塗料業界に50年近く携わってきた非業務執行取締役により構成され、委員長は独立社外取締役である私が務めています。

さらに、報酬委員会は、前年度実績、中長期経営方針、サステナビリティ確保のためのリスクマネジメント、株価の動向など、またそれらの競合他社との対比に加え、取締役会における議論や独立社外取締役、主要経営陣との継続的な対話を通じて、共同社長のパフォーマンスを総合的に評価しています。報酬水準については、競合他社や市場との比較を行い、報酬の妥当性を厳格に審議しています。

私たちは、このようなMSV追求のための透明性と客観性を備えたプロセスによる適切な評価と報酬決定を行うことが、株主との実質的なアラインメントにもつながると考えています。その上で、共同社長がMSVの実現に向けて最大限の力を発揮できるよう、起業家精神をいっそう発現できる環境整備を含め、モチベーションを極限まで高めることが最大の課題であると考えています。そして、報酬委員会としての評価や期待を、より率直かつ明確に伝えられるシンプルな報酬構成が最も望ましいとし、報酬の連続性も考慮しつつ報酬を決定しています。このような判断に基づき、2022年度以降、共同社長報酬は全額現金報酬としています。

今後も報酬委員会は、当社を取り巻く環境や事業基盤の進展を踏まえ、MSVの追求に資する最適な報酬のあり方を継続的に検討し、貢献してまいります。

監査委員長メッセージ

写真:独立社外取締役 監査委員長 三橋 優隆
独立社外取締役
監査委員長
三橋 優隆

「Audit on Audit」の実効性向上と、重点リスクの深度あるモニタリング

監査委員会は「Audit on Audit」の枠組みのもと、内部統制システムが適切に構築・運用され有効に機能していることを確認し、執行による「アセット・アセンブラー」遂行における適切なリスクテイクを支える立場にあります。2025年度は共同社長との定期会合や、取締役・執行役、国内外主要パートナー会社の経営層との対話を通じ、課題と職務執行を把握しました。CSA(Control Self-Assessment)は、重要プロセスと主要リスクを点検、統制の運用状況を自己評価し、改善につなげる中核的仕組みであり、根本原因の分析から改善策の具体化、実行状況のフォロー、定着確認をモニタリングすることを可能にしています。

監査部は、DuluxGroupやNIPSEAグループの傘下にある子会社の運営状況、2025年に買収したAOCにおける管理体制構築、中国における信用リスク管理などを中心にPCGをモニタリングしました。また、会計監査人との定期的な三様監査会議などにおいて、財務報告に係る重要論点の報告を受け、会計上の見積りや表示の妥当性を議論しました。なお、監査委員会は、毎年実効性評価(自己評価・自由記述レビュー)を実施し、監督機能の有効性を確認しており、今後はグループ内部監査部門間の連携・タイムリーな情報共有をいっそう進展させる必要があると認識しています。


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