大株主ウットラムグループとのパートナーシップ

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アジアで「日本ペイント」ブランドを不動の地位に押し上げた戦略的パートナーシップ

当社とWuthelam(ウットラム)グループは、1962年にアジア合弁事業(NIPSEA事業)を立ち上げて以降、強固なパートナーシップを着実に深め、進化させてきました。アジアで「日本ペイント(NIPPON PAINT)」ブランドを不動の地位に押し上げたこの戦略的提携は、2021年1月にアジア合弁事業100%化が完了したことで、名実ともに完成しました。60年にわたる「日星パートナーシップ」の軌跡を振り返ります。なお、現在のウットラムグループは、投資業を営む資産管理会社です。

株主価値最大化(MSV)

拡大するアジア塗料市場の将来性を見込んで誕生した「日星パートナーシップ」

ウットラムとのパートナーシップの原点

当社とウットラムとの協業の始まりは、シンガポールにおいてパン・マレーシア・ペイント・インダストリー(現日本ペイント・シンガポール)を共同設立した1962年までさかのぼります。①住宅建設ラッシュ中のシンガポールなどの東南アジア諸国は、今後大きな塗料市場になり得ること、②日本から東南アジアに塗料を輸出するにはコストと納期で劣るため、競争力を高める必要があること、③1961年、シンガポール政府が輸入塗料に高い関税をかけると発表したことなどを背景に、当時既に事業交流のあった両社が技術提携と資本出資に合意し、新工場の建設に踏み切りました。これが、現在の「NIPSEA(Nippon Paint South East Asia)事業」の出発点です。
当社の小畑千秋専務取締役(当時)は新工場の設立に関して、「パンマレイシアペイントの設立が実現すれば遠く赤道直下に日の丸の国旗がひるがえることになり、そこを基地として広大な地域に発展し得る可能性が生まれ、当社のみならず日本の塗料工業界としても大きな喜びである」(当社社内報)と期待を込めて語っています。また、パートナーであるウットラムに対する印象について、「われわれの接する人々は実によく働く。物事を徹底的に追求する。引受けたことは責任をもってやりとげる。安易な先入観をもっていてはこれらの人々におくれをとる」と称賛するとともに、日本の従業員に向けて「せまい日本国内での競争ではない。広い世界市場においての競争である。本懐というべきであろう」という先見的なメッセージを発信しました。
こうして誕生した新工場は、敷地面積8,000平方メートル、月産300トンの生産能力を持つ現地唯一の近代工場として立ち上がりました。1965年4月15日に現地で開催した竣工式には、政府要人や両社の経営陣、従業員、需要家など総勢約600人が参加。その模様は現地新聞でも大きく報道され、「両国間の経済発展と親善に大きく貢献」「その成果は東南アジア諸国の関心事だ」などと報じられました。

「日星パートナーシップ」の軌跡
時代背景

「NIPPON PAINT」ブランド×現地マーケティング力でアジア各国を席巻

互いの強みを掛け合わせ、アジア塗料市場を次々に開拓

当社は1933年頃からアジア各国へ進出していましたが、ウットラムとの協業を皮切りに、両社のそれぞれの強みを生かした事業運営が可能になりました。以降、当社は日本の技術者を現地に派遣するなど、塗料技術や生産ノウハウを供与しながら、「NIPPON PAINT」ブランドを冠した製品の拡販を後押しする一方、ウットラムはアジア現地市場における知見やネットワークを生かしてローカルマネジメントやセールス・マーケティングを担うなど、互いの強みを掛け合わせながら生産の現地化と事業拡大を推進しました。1970年代にかけては、タイやマレーシア、フィリピン、韓国など、アジア地域全体に事業を広げるとともに、1980年代には、日系の自動車メーカーや家電メーカーの相次ぐ現地進出と歩調を合わせて、それまでの建築用塗料にとどまらず、自動車用や工業用市場の開拓にも次々と取り組みました。
そして1992年、巨大市場である中国本土へ進出を果たすとともに、ベトナムやインド、スリランカ、トルコ、エジプトなどにも展開。急拡大するアジア市場の旺盛な塗料需要に積極的に応えることで、高い成長を実現してきました。
こうして当社とウットラムとは、60年前に設立したNIPSEA事業を通じて、時代とともに「日星パートナーシップ」を深め、進化させてきました。そして、NIPSEA事業は2014年の連結子会社化を経て、2021年1月には100%化に至るなど、パートナーシップの形は名実ともに完成しました。今後はグローバル一体経営をより一層加速していきます。

  • パン・マレーシア・ペイント新工場の竣工式(1965年)
    パン・マレーシア・ペイント新工場の竣工式(1965年)
  • シンガポールやマレーシアに派遣された日本の技術者たち
    シンガポールやマレーシアに派遣された日本の技術者たち
  • 30周年を記念し塗料缶を模したケーキに入刀するゴー・チェンリャン氏(ウットラムグループ創業者)
    30周年を記念し塗料缶を模したケーキに入刀するゴー・チェンリャン氏(ウットラムグループ創業者)
  • 新製品発売を記念したイベント
    新製品発売を記念したイベント

アジアでの「圧倒的No.1」と、「株主価値最大化(MSV)」の実現に向けて

当社グループ独自の経営資源をMSVの実現に

日星パートナーシップの成果であるNIPSEA事業は現在、22の国と地域で展開し、アジア5ヵ国とトルコで建築用塗料市場シェアNo.1を獲得しています。アジアにおける2020年度の売上収益は3,566億円、営業利益は550億円に上り、当社グループにとって成長の大きなけん引役となっています。特に中国市場では、2019〜2024年に年平均5.3%と引き続き高い成長が見込まれる中、「立邦」の高いブランド力と強力な販売網を武器に市場優位なポジションを確立するなど、高成長を続けています。
当社はこれからも、ウットラムと60年にわたって深め、進化させてきたパートナーシップを当社グループ独自の経営資源として大切にしながら、アジアでの「圧倒的No.1」の地位を盤石なものとし、「株主価値最大化(MSV)」の実現を目指していきます。

アジアにおけるプレゼンス
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