1. 表紙
皆さまこんにちは。日本ペイントホールディングス共同社長の若月です。
本日はお忙しい中、ご参集いただき、誠にありがとうございます。これより、2021年第2四半期決算の概要をご説明いたします。
なお、本日もウェブ上で音声ライブ配信を実施しています。また、日英両言語にて同時通訳を入れてのカンファレンスとしています。
2. 本日のサマリー(1)
まずは2021年第2四半期決算のサマリーです。
第2四半期は、原材料の高騰やコロナ影響が引き続き各所で見られる中、短信ベースで大幅な増収増益を達成しており、第2四半期としては過去最高値を記録しています。短信ベースと実質ベースの差異については、新規連結、為替影響が中心となり、アジア合弁事業100%化の関連費用は、この第2四半期の新規連結影響の中でPPA(Purchase Price Allocation)一時費用の計上を入れ込んでいます。
実質ベースでも売上収益は大きく伸長しましたが、第2四半期はどうしても原材料の低価格在庫が減少する中で原材料費率が上昇する一方、値上げの効果はフルには寄与しないという点で収益的に厳しいものの、それでも全体で増益を達成しています。
中国は引き続きDIY、Projectともにシェアを拡大したと推察され、大変好調に推移しましたが、原材料高騰の影響が大きく、前年同期比で減益となりましたが、これは短期的な影響と見通しています。もちろん、Projectにおいては競争の激化も随所に見られる中、楽観的なことは申し上げられませんが、一方でDIYが非常に強い伸びを示しており、Projectとともにシェアを伸ばしていると推定しています。
なお、中国以外のアジアにおいては、6月に入りマレーシア、シンガポールなどでコロナ影響が再拡大していますが、それでも前年同期が一番厳しい時期だったことから、大幅な増収を達成しています。日本も引き続きコロナ影響がありますが、同じくコロナ影響が一番大きかった前年同期と比べると、増収増益を達成しています。
新規連結のインドネシアは、引き続き好調でした。参考値ながら対前年同期でも増収増益であり、非常に高い利益率を確保しています。ただし、コロナ影響については注視する必要があると考えています。
全般に原材料価格の影響は強く、第1四半期決算でも申し上げましたが、前年の安い原材料在庫がなくなる一方、値上げやコスト抑制などの施策が後追いで来るため、どうしてもこの第2四半期、第3四半期当たりは収益率としては厳しい状況です。一方、特にシェアの高い地域での値上げは着実に実行できますので、利益率の下げ止まり感は出てくると考えており、それにしたがって、これら好調な売上が大きく収益貢献してくるものと考えます。
3. 本日のサマリー(2)
さて、第1四半期決算では、こうした原材料価格と売上動向から、ガイダンスを必要あれば修正すると申し上げました。引き続きさまざまな流動的要素があるものの、一定の前提をもとに売上収益、営業利益ともに上方修正しました。売上収益1兆円、営業利益1,000億円を超え、いずれも過去最高を更新する見込みです。
修正要因は資料の通りですが、全体に原材料価格の影響が依然として残る中、しっかりと市場シェア拡大が進むと考えており、当社グループの強い成長力には改めて自信を持っているところです。また、新中期経営計画で提示した今年度の本部費用なども改めて大幅に見直し、2023年度の数字も確実に超える体制を整えつつあると考えています。
4. 本日のサマリー(3)
原材料動向については、こちらの資料の通りです。
やはり中国で早めに影響が出ており、この第2四半期は営業利益率に相当影響が出ました。全体の売上総利益率についても前期比、前四半期比の双方で落ち込んでいますが、各地域で順次値上げや販管費の削減などの対策を打っており、通年ではここまでの売上総利益率の低下は見込んでいません。
第3四半期以降も予断を許さない状況ではありますが、相応に原材料市況がピークアウトする可能性が出てきていること、値上げなどの浸透が図れることから、全体にマネージ可能と考えており、その上での通期予想の修正ということになります。
5. 第1四半期決算発表からの主なトピックス①②
P6以降は、最近の主なトピックスになります。
まず7月に発表したフィルム事業への参入は、当社グループの技術をベースに新たな機能を付与し、付加価値を高めながら、同時にCO2削減などの社会課題の解決にも貢献できるもので、こうした製品・分野についてはこれからもさまざまに志向していきたいと考えています。
プライム市場については、すでに発表の通りです。
6. 第1四半期決算発表からの主なトピックス③
当社グループのPROTECTONブランド5製品が東京大学との共同研究において、新型コロナウイルスの不活化を確認することができました。こうした共同研究も実社会への応用を常に見据えて、継続していきます。
7. 第1四半期決算発表からの主なトピックス④
旧欧州統括会社NPE(NIPPON PAINT (EUROPE) LTD.)の清算につきましては、すでに4月1日に発表済みの欧州の自動車用事業の再編に伴うものであり、次ページでご説明する欧州事業の売却とは直接には関係ない話です。
表の中にあるNPAE(Nippon Paint Automotive Europe GmbH)という旧B&K(BOLLIG & KEMPER GMBH & CO. KG)のドイツ法人が事実上の欧州本社として運用を開始していることから、レイヤーを減らす目的で清算するものです。同時に、税効果会計の適用による繰延税金資産の計上により、約36憶円の税効果が得られることになります。
なお、NPTR(Nippon Paint Turkey Boya San. Ve Tic. Anonim.Sti)については、元々NPAE傘下ではなく、日本ペイントホールディングスの直接傘下の形態であり、次ページでご説明するウットラムグループへのNPAEの売却においても、対象外となっています。
8. 第1四半期決算発表からの主なトピックス⑤-(1)
P9、P10は本日決議・発表した案件で、こちらは詳しくご説明します。
2019年12月期に減損処理を実施した自動車用事業を担う欧州NPAE、インドBNPA(Berger Nippon Paint Automotive Coatings Private Limited)、主に建築用・自動車補修用事業を担うインドNPI(NIPPON PAINT (INDIA) PRIVATE LIMITED)の3社については、新型コロナウイルスの影響、原材料価格の上昇、競合や顧客サイドの市場環境の変化など、共通の課題や固有の事情により、今期業績の問題というよりは、今後の持続的な成長性や収益性を実現するための抜本的な対策・投資などの事業再建策がそれぞれ必要であると判断しました。大幅な投資を当社グループが実施することは、短期的に財務上の負担がかかる一方、将来の不確実性が残るため、上場会社である当社グループ内での再建の実施の是非を検討してきました。
そうした検討過程で、当社大株主であるウットラムグループとの協議を経て、当該3社をウットラムグループに譲渡する案が浮上しました。すなわち、①再建にかかる追加投資・費用をウットラムグループが負う、②再建の目途がついたところで当社による買戻しの選択権を保有(買戻し義務は負わない)、③ウットラムグループは第3者に売却しない、④譲渡価格は公正価格、という条件を満たせば、当社グループにとってはグローバル自動車市場におけるプレゼンスを維持する一方、将来の戦略的な選択肢も維持することが可能となります。同時に、当社EPS(一株当たり当期利益)の上昇に貢献することができるため、少数株主利益の保護や「株主価値の最大化(MSV)」の観点から、譲渡は合理的であると判断しました。
資本関係は変化しますが、当社グループにおける欧州・インド地域の重要性は変わりません。当社グループは、将来的に3社を買戻す権利(コールオプション)を保有している上、各社の経営や事業運営については、ウットラムグループから委託を受けて当社グループが継続して実施し、社名も変更しないため、お客様への対応を含めた影響は極小化できると考えています。なお、買戻しの価格については公正価格でと取り決めていますが、本件を通して利益を得ることや、当社グループがオプションを行使した時でも譲渡益を得ることを期待しているわけではないことを、ウットラムグループとの協議の中で確認しています。
なお、連結業績への影響は、8月以降の3社の予測値を概算したものになります。為替前提など変化し得るわけですが、通期予想のうち、例えば売上収益10,100億円はこの表にある売上収益の減少分を加味した数字となります。
本案件は大株主との取引になりますので、改めて独立社外取締役3人により構成される特別委員会を組成するとともに、案件の審議・決議はゴー会長抜きで行い、本件の合理性や少数株主利益の保護が十分に確保されている点を特別委員会で確認しています。
以降のページについては、質疑応答でご説明するとして、P16だけご説明いたします。
9. 決算ハイライト(第2四半期営業利益増減分析)
第2四半期の実質ベースでの増益幅は10億円になり、短信ベースにおいては調整項目の影響が大きいことになります。詳細は、資料後半の「参考データ」に記載していますが、主な内訳は下記のイメージとなります。
- 主にインドネシアの新規連結の影響:約+32億円
- 一過性としてインドネシアのPPA費用:約-15億円
- 為替要因:約+18億円
- 中国補助金:約+4億円
- 国内再編関連:約-10億円
これにより、期初予想の発表時に申し上げたアジア合弁事業100%化に伴う一過性費用50億円については、第1四半期に計上した印紙税を中心としたM&A費用26億円と併せて、上期に計上したということになります。
したがいまして、今回1,020億円の営業利益予想を計上していますが、一過性費用を除けば1,070億円になることを併せてお伝えします。
私からのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。