「統合報告書2023」説明会 説明会要旨

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1. 表紙

本日はお忙しい中、「統合報告書説明会」にご参集いただき、ありがとうございます。

これより、2023年9月末に発行した「統合報告書2023」のポイントを解説いたします。

当社は既に2024年度版の企画・制作にキックオフしておりますが、ぜひこの機会を通じて、皆様からの忌憚なきご意見をいただければ幸いです。

2. 本日の説明会の目的

はじめに、本説明会の目的について、ご説明いたします。

大きく3点あり、

  1. 2023年度版の統合報告書は134ページあり、読むのが大変という声もありましたので、特にどのページに着目して読んでいただきたいかをピックアップして解説することで、「株主価値最大化(MSV)」実現に向けた戦略的な取り組みを効率的にご理解いただく、
  2. ユニークな経営モデルや競争優位性、経営戦略、サステナビリティなどに関して、皆様との対話を通じて、今後の経営やIR活動に役立てる、
  3. こうした取り組みを「PERの最大化」の一助とするとともに、2024年度版の企画の糸口とする、

ことを考えています。

3. 「統合報告書2023」の制作プロセス・編集方針

2023年度版の編集方針については、ページ右側に記載の通り、大きく2点あり、

  1. 良質なM&Aと、既存アセットの成長の両輪による「MSVを実現するロジカルかつ合理的な道筋」をお伝えする、
  2. ①「アセット・アセンブラー」モデルが単にファンディングの優位性というだけでなく、経営人材・経営体制の優位性の上に成り立つ他社には真似できないモデルであることの理解を醸成するとともに、②「中国銘柄」とイメージされる方も多いので、その誤解の払拭、

することを目指しています。

制作プロセスについては、ページ左側に記載のフローをたどって制作しています。

投資家の皆様には、ご多忙の中、毎年面談のお時間をいただくとともに、貴重なご指摘、ご助言をいただき、改めて感謝申し上げます。
経営陣の関与率も年々高まっており、共同社長の若月やウィーだけでなく、筆頭独立社外取締役の中村、取締役会長のゴーも含めた協力・支援を得ながら、制作しています。
皆様の叱咤激励に応えることで、まだまだ課題は山積しているものの、毎年統合報告書のクオリティが改善していることを実感しています。

4. (ご参考)情報開示体系

ご参考として、当社情報開示体系における統合報告書の位置付けを記載しています。

毎年情報を拡充すればするほど、統合報告書のページ数が増え、嬉しいけど全部読むのが大変という声をいただきます。
そこで、統合報告書は、「当社グループをハイレベルで理解するための基本的な考え方、方針、戦略ストーリーを解説」としています。

他社の統合報告書と比較して、現場事例や従業員の写真が少ないと思われるかも知れませんが、ウェブサイトやインベスターブックを統合報告書の補完する媒体として位置付けています。

そのため、ウェブサイトでは、「当社グループを深く理解する上で必要な情報・データや各地域・市場での事例などで詳細かつ網羅的に掲載」しますので、ウェブサイトが情報開示のフルバージョンとなります。

インベスターブックでは、「当社グループを初めてリサーチする方に有用な基礎的な情報・データを提供」する目的で作成しています。

2024年は特にウェブサイトにおいて、統合報告書の内容から踏み込んだ具体事例や現場の熱量などを積極的に掲載していきますので、ご期待ください。

5. 「統合報告書2023」の構成

2023年度版の統合報告書の構成について、ご説明いたします。

統合報告書P5において、経営上の唯一のミッションであるMSV実現に向けた道筋を示す「ロジック・ツリー」をお示ししましたが、この「ロジック・ツリー」に沿った合理的な説明を、統合報告書全体を使ってすることに挑戦したのが、今回の大きなポイントです。

当社のサステナビリティや既存事業、M&A、バランスシート・マネジメント、そして資本市場とのコミュニケーションは、全て「EPSとPERの最大化」を通じて、MSV実現を目指すものであり、ここに記載の「フォーミュラー」は、当社が何をどのようにしてMSV実現を目指しているのかをシンプルに表しています。また、各取り組みで指標にしている項目とともに、それらがどのページで説明しているのかを記載しています。

6. (ご参考)統合報告書の進化

当ページでは、ご参考として、当社統合報告書の進化の軌跡をまとめています。

2020年以降の経営体制のもと、投資家の皆様との重要なコミュニケーションツールの1つとして統合報告書を位置付けるとともに、皆様からの要望や意見をもとに、年々改善・進化させています。

とりわけ2022年度版以降は、当社を塗料会社の枠にあてはまらない「アセット・アセンブラー」として再定義したことに併せて、統合報告書においても、MSVを実現するための戦略や考え方、当社ならではの競争優位性を訴求することに尽力しています。

7. 共同社長メッセージの構成

当ページからは、具体的に各コンテンツについて、ポイントをご紹介していきます。

統合報告書P11は、共同社長メッセージとなります。

当社は、世界的に見てもユニークな共同社長体制のもと、ウィーが主に「EPSの最大化」で、若月が主に「PERの最大化」でそれぞれリーダーシップを発揮することで、当社グループ一丸となってMSV実現を目指しています。

したがって、共同社長メッセージにおいても、ウィー、若月のそれぞれの主たる役割に基づきながら、情熱や肉声感あふれるメッセージを発信しています。

8. 若月共同社長メッセージ

統合報告書P13では、若月が「PERの最大化」に向けて、「EPSの継続的拡大に対する期待・信頼を資本市場から引き出す」道筋や考え方を6点説明しています。

例えば、①「MSVで一致団結した“Integrityある経営集団”であることの強み」では、共同社長体制がもたらすスピード感のある意思決定や、信頼を基軸とした取締役会メンバーにおけるオープンで活発なコミュニケーションなどを強みとして触れています。

また、⑤「MSVの前提としてのサステナビリティ」、⑥「顧客・取引先・社会の要請をビジネスチャンスに」では、MSVが株主優先とイメージしている方もいることを踏まえ、改めてステークホルダーへの責務の充足がMSV実現の大前提であり、ビジネスチャンスを含めた将来のサステナビリティにつながるものであることを説明しています。

これらのメッセージは、若月が独自の信念や哲学を踏まえて作成しています。

9. MSV実現に向けた財務・M&A戦略

統合報告書P55でも、若月が「MSVロジック・ツリー」の構成に基づき、「MSV実現に向けた財務・M&A戦略」を解説しています。

財務戦略では、資本コストのへの意識として、個社ROICを示しながら解説しています。EPS最大化とROICの優先度については、この1年間、投資家の皆様との議論になることも増えましたので、従来の説明よりも掘り下げて解説しています。

M&A戦略では、M&A基本方針である「アセット・アセンブラー」モデルを踏まえ、M&Aにおけるターゲットや財務規律、M&Aの選定プロセスなどのポイントを記載するとともに、既存事業と買収会社の双方に成長をもたらすユニークなプラットフォームが、2019年以降の全ての案件で想定以上の結果を出していること、M&AにおけるPMIのコストやリスクを低減させている要因に触れています。

10. ウィー共同社長メッセージ

統合報告書P17では、ウィーが「挑戦を後押しする人材基盤の構築を通じて、持続的なEPS成長を果たす」道筋や考え方を5点説明しています。

例えば、メッセージ前半では、2023年度までの中期経営計画においてEPS成長を実現してきた要因や今度の展望について、中国などを事例にしながら既存事業を分析するとともに、新たな市場となる塗料周辺分野の進捗について説明しています。

また、人的資本の重要性に関しては、2009年からNIPSEAグループのCEOとして当社グループの業績をけん引してきた実績を踏まえ、挑戦を後押しする人材・組織基盤の構築について説明しています。

これらのメッセージも、「高い能力を持つ意欲的な仲間たちとともに新たに挑戦していく風土を醸成し続ける」という考えのもと、ウィー自身がメッセージを作成しています。

11. 日本グループの構造改革の進展と収益性改善への道筋

統合報告書P91では、ウィーが「日本グループの構造改革の進展と収益性改善への道筋」を解説しました。

日本グループの収益性改善は、投資家の皆様との大きな議論の1つでもあることから、①2017-2018年当時の利益水準(営業利益15%以上)への回復に向けて現在進行形で取り組んでいること、タスクフォースによる活動も含めたコスト構造改革の進捗や成果をお伝えするとともに、②2021年時点において業績が悪化していた船舶用・自動車用事業における改革の進展や、③NIPSEAグループの企業文化である「LFG」を参考にしながら取り組む、企業文化の変革や従業員の意識改革、④持続的なEPS成長に貢献できるリーダーの育成に向けて、「「脱日本」の柔軟な発想で、勇気を持って行動しよう」などの具体的な取り組みとともに説明しています。

実際に、2023年の第2四半期や第3四半期において、日本の営業利益率は10%前後まで改善しており、これらの取り組みは間違いなく奏功しています。そして、業務・組織の見直し、意識改革は今なお現在進行形であり、今後さらに進展していますので、2024年版の内容を楽しみにしていただければと思います。

12. アセットの積み上げ実績

続いて、統合報告書P35では、MSV追求モデルである「アセット・アセンブラー」における積み上げ実績を解説しています。

当社は既存事業の拡大と積極的なM&Aの両輪により、強力なブランドや優秀な人材を積み上げることで、成長を加速させています。2022年度も、Cromology社やJUB社が新たに当社グループ入りを果たすなど、引き続きアセットの積み上げを継続・加速しています。

その結果、2018年を基準とした場合、財務アセットの1つである「売上収益」という観点で見れば、既存事業を138%拡大する一方で、4,454億円を新規M&Aによって積み増すことができました。

また、非財務アセットもそれに伴い着実に積み上がっており、主要なブランド数や各国・地域の事業でリーダーシップを発揮するCEO、研究開発活動に従事する技術系人材などのアセットも着実に積み上がっています。

こうした優良なアセットの積み上げを通じたEPSの拡大や、PERの向上を通じて、MSV実現を図っています。

13. 「アセット・アセンブラー」モデルの基盤

統合報告書P37では、「アセット・アセンブラー」モデルの競争優位性についてご説明しています。

2022年版の記述と比較して、M&Aに主軸とした切り口に変更しています。

1つ目の優位性である「ファンディングコストの低さ」に関して詳細を説明しているのが特長です。従来の強みも記載して欲しかったとの声もいただいていますが、優位性の2つ目と3つ目がそれに該当しており、「自律・分散型経営」や優秀なタレントに言及しています。特に、当社の経営人材・経営体制は他社には真似できない優位性であり、「アセット・アセンブラー」モデルの基盤となっています。

14. 特集①:M&Aの成功例

統合報告書P61では、2023年度版の特集についてご説明いたします。

特集の1つ目は、「M&Aの成功例」として、「DuluxGroupは日本ペイントグループに入った後もなぜ、より一層の成長を加速できるのか?」を取り上げました。先ほどご説明しました、若月がM&A戦略のポイントを解説した流れで、当特集を位置付けています。

DuluxGroup社は2019年の当社グループ入り後もより一層の成長を実現していますが、その理由として、①⻑年にわたって好調な業績とレジリエントな利益成⻑を実現してきた実績を持つ優良会社であることに加え、②さらなる成長を目指すに当たってDuluxGroup社が評価した日本ペイントグループのプラットフォームの魅力、③そして、そのプラットフォームを活用することで、まさにボルトオン買収を軸としてさらなる成⻑へシフトできたこと、④最後に、自律性を尊重するグループ方針のもとで、新たな戦略的成長の柱を確立し、MSVの実現に向けて利益成⻑を追求している、ことを解説しています。

2019年の買収当時は、バリエーションが高いとのご指摘を受けましたが、買収後は①成熟国でも毎年着実にEPSの積み上げに寄与しているほか、②欧州でのM&Aが加速し、③DuluxGroup社のブランドやノウハウが他の地域の事業成長に貢献していることを踏まえると、非常に意義のあった買収であったと考えています。

15. 「中国事業」を巡る解説

統合報告書P85では、中国事業に対する投資家の皆様の関心の高さ、中国経済の先行き不透明感を踏まえて、特集の2つ目として、「中国事業の成長可能性」と題した特集を組みました。

具体的には、不動産市場を中心とした市況環境の解説や当社事業の対応状況、さらなる成長を目指す戦略について踏み込んで解説しました。現状の中国マクロ経済を見て慎重・悲観的な方が多いのはやむを得ないものの、統合報告書ではもう少し長期的な目線での見方についても議論したいと考え、「中古住宅時代の到来による塗り替え市場の急拡大」と題して、できる限りの市場データと当社の取り組みに関して説明しています。

また、統合報告書P54では、特集②とは別に、「当社業績に対する中国マクロデータの影響」と題したコラムを作成しました。

当社業績よりも中国のニュースフローで株価が動きがちな現状に対して、当社事業ポートフォリオに占める中国事業(TUC・TUB)の割合を改めて説明するとともに、マクロデータと中国事業(TUC・TUB)の相関関係について、中国事業責任者がファクトデータをもとに考え方を説明しています。

こちらは、投資家の皆様からのご提案をもとに作成しており、非常に感謝しています。

16. 「サステナビリティ」を巡る解説

続いて、「サステナビリティ」セクションについて、ポイントをご説明いたします。

当社にとってサステナビリティは、MSV実現を目指す上での大前提となります。

「MSVの前提としてのサステナビリティ」のポイントとしては記載の通りですが、統合報告書P108の「取締役会の議論」ページでは、サステナビリティがMSVの前提であることを繰り返し取締役会で議論していることを紹介したほか、先ほどもご説明した通り、P5の「MSVロジック・ツリー」において、EPS・PERとサステナビリティのコネクティビティを示しました。

また、P65以降のサステナビリティページにおいて、事業機会を見出してビジネスに直結させること、事業リスクの抑制を見込むことを具体的に説明したほか、P41では2023年3月に策定した「サステナビリティ基本方針」についての主なポイントを解説しました。

17. 環境戦略

統合報告書P65の「環境戦略」では、2021年9月に賛同を表明した「気候変動に関連する財務情報の開示に関するタスクフォース(TCFD)」による提言(最終報告書)に基づく開示の拡充を図りました。

具体的には、気候変動シナリオに基づく分析を試みるとともに、「自律・分散型経営」のもと、パートナー会社グループ(PCG)ごとのKPIや進捗、直近の具体的な取り組みなどを報告しています。

18. 研究開発戦略

P77の「研究開発戦略」でも同様に、PCGごとの2025年に向けたロードマップを紹介するとともに、「サステナブル製品」や化学物質管理についてデータをもとに解説するなど、MSV実現に向けた道筋や取り組みを説明しています。

特に化学物質管理の記述は、投資家の皆様から、塗料業界におけるリスクは低くても、化学業種として気にする投資家も多いので情報を充実させた方が良いとの助言を受けて、イノベーションチームと話し合って作成しました。こちらもご助言いただき、感謝申し上げます。

19. 人材戦略

P71の「人材戦略」では、2025年に向けたロードマップの示しながら、MSV実現に向けたPCGごとの取り組みを紹介しています。

MSV実現に向けた「人的資本」の考え方については今回、日本グループを例として取り上げながら、INPUTとしての人的投資や、OUTPUTとしての「J-LFG」を体現した人材・組織のあり方、KPIを通じたEPS改善の考え方を紹介しています。

先ほどご説明した当社情報開示体系の整理では、統合報告書を「当社グループをハイレベルで理解するための基本的な考え方、方針、戦略ストーリーを解説」する媒体と位置付けたことで、統合報告書の人材戦略ページには現場の声や従業員の顔は入れず、代わりにウェブサイトに掲載しました。

一方で、ウィーが語る人的資本の重要性の実態が把握しにくいとのご指摘もいただいていますので、さらなる情報体系の整理に加えて、ウェブサイトでの事例充実などを改善していきたいと考えています。

20. コーポレート・ガバナンス

統合報告書P99からの「コーポレート・ガバナンス」のポイントをご説明いたします。

当社ガバナンスの特長は記載の5つとなり、ガバナンスは競争優位性の1つと認識しています。

一方で、投資家の皆様からは、大株主の存在を踏まえて少数株主利益の保護を心配する声をいただきます。

したがって、当社のガバナンスセクションは、取締役会議長の中村やガバナンス部と連携して、これまでの変遷や現在の取り組み、今後の考え方などを示すとともに、「取締役会の議論」ページのような実効性の分かる記述に注力する一方、ウェブサイトでは各独立社外取締役が少数株主利益の保護やMSVの実現に向けた考えを伝えるコンテンツを設けるなど、皆様の理解促進につながる内容を掲載しています。

21. 取締役会議長メッセージ

統合報告書P102では、取締役会議長である中村筆頭独立社外取締役から、「タイムリーかつ適切なリスクを執行が果敢に取り続けるために」というテーマでメッセージを発信しています。

主なポイントとしては、①MSVの実現には、既存のビジネス・アセットの価値向上に向けた施策に伴うリスク、新たなビジネス・アセットの積み上げに伴うリスク、資本市場からの資金調達を含むバランスシート・マネジメントに関わるリスクなどへのリスクテイクが不可欠であり、執行側にタイムリーで適切なリスクテイクを促していることを強調しています。

当社ガバナンスの理解促進に向けては、こうした統合報告書上でのメッセージだけでなく、投資家の皆様とのスモール・ミーティングの実施や、ウェブサイト上で「一問一答」を連載するなど、資本市場との積極的な対話を実施しています。

22. 取締役会長メッセージ

統合報告書P104では、当社大株主ウットラムグループの代表でもあるゴー取締役会長から、資本市場に今一番伝えたいテーマでメッセージを掲載しています。

2023年度版では、「「アセット・アセンブラー」としての優位性について」と題したメッセージとしており、MSVが特に上場企業の唯一のミッションであるべきとの考え方や、「アセット・アセンブラー」モデルの競争優位性を語っています。

また、ウットラムグループの議決権への考え方にも触れた上で、少数株主との利害が全く一致していることを強調しています。

23. 委員会報告

統合報告書P109からは、指名委員会等設置会社として、3委員会からの報告を掲載しています。

各委員長からは、現状の課題感を踏まえた取り組み状況や今後の方針をメッセージとして発信しているほか、ガバナンス報告書などでは伝えきれていない各委員会の概要や役割・位置付け、1年間の主な活動などを紹介しています。

また、取締役会の構成や次世代経営人材の育成、役員報酬の決定、グループ監査のあり方などの重要な論点を巡って、考え方やポイントについても解説しています。

24. ガバナンス対談

統合報告書P115では、MSV実現に資するガバナンスを巡って、独立社外取締役によるガバナンス対談を掲載しています。

2023年度版では、「「アセット・アセンブラー」モデルにおけるMSVを追求するグループ監査のあり方」と題して、取締役会議長の中村と監査委員長の三橋が意見を交わしました。

指名委員会等設置会社への移行やグループ経営体制、経営モデルの変遷に伴い、当社グループ監査体制がどのような視点・発想をもとに設計されてきたのかを振り返りながら、「自律・分散型経営」としての「アセット・アセンブラー」モデルに基づく「Audit on Audit」の方針や今後の課題になどについて語っていますので、ぜひご一読ください。

25. リスクマネジメント

統合報告書P121では、「アセット・アセンブラー」モデルのもとでのリスクマネジメントについて、投資家の皆様からの要望を踏まえながら、大きく改善・拡充を図りました。

具体的には、PCGとの「相互信頼」に基づく「アセット・アセンブラー」として、各PCGが自律的運営する内部統制システムを基本として実践するリスクマネジメントを紹介しています。体制やリスクマネジメント・プロセスの解説に加え、「リスクヒートマップ」における「高リスク」項目について、リスク感受度の変化傾向や今後の対応方針などについて、解説しています。

26. 最後に

以上、「統合報告書2023」のポイントについてご説明してきました。

最後のまとめとして、2024年度版の制作に向けた主な検討中のポイントを記載しています。まだ、社内で検討中のアイデアベースであるため、大きく変更する可能性があることをご承知ください。

補足すると、

  1. 「PERの最大化」についてさらなる考え方を提示
    に関しては、MSV=M(EPS)×M(PER)で表現していることから、EPS・PERの各取り組みを中長期視点で記載することをイメージしています。
  2. 「アセット・アセンブラー」の競争優位性をさらに分かりやすく提示
    に関しては、「アセット・アセンブラー」モデルをもう少しかみ砕きながら、MSV実現に資するモデルであることや、競争優位性に関する記述の工夫をイメージしています。
  3. 「中国銘柄の事業会社」と見られないような構成・切り口を提示
    に関しては、当社の経営モデルがアセットの積み上げを基本としていることを踏まえ、改めて当社がどのような会社かを提示することをイメージしています。
  4. 個別アセットのフォローアップを提示
    に関しては、個別アセットの説明は重要ですので、普段の面談の中で関心事の高い事項をピックアップした特集をイメージしています。
  5. 「サステナビリティとEPS・PERの結び付き」が分かる見せ方や事例を提示
    に関しては、特にEPSに直結する取り組みを事例として提示することをイメージしています。
  6. ユニークな経営モデルや事業戦略のベースとなる「当社人材」の優位性を提示
    に関しては、「アセット・アセンブラー」モデルや経営戦略のベースには、優れた人材や風土がありますので、これらの優位性を説明することをイメージしています。
  7. 「資本効率の考え方」についてのさらなる説明の提示
    に関しては、2023年度版の発行後の投資家面談におけるディスカッションを踏まえて、さらなる説明をイメージしています。
  8. 「Scope3」を巡ってバウンダリーを拡大しながらさらなる説明を提示
    に関しては、現状のバウンダリーは日本とDGL(太平洋)のみであることを踏まえ、さらにバウンダリーを拡大しながら説明していくイメージとしています。
  9. 多くの投資家に効率的に見てもらうための「コンサイス化」
    に関しては、投資家の皆様からは全ページ読むのが大変でコンパクトにして欲しいが、クオリティは落として欲しくないとの声がある中で、
  10. 「ウェブサイト」「インベスターブック」を活用した情報のすみ分け、多くの具体的事例の提示
    をすることで、統合報告書ではハイレベルで理解してもらい、詳しい数値や事例は統合報告書の各ページのリンクからウェブサイトに簡単に見に行ける建付けにしていくことで、トータルの情報量は落とさずに、皆様の要望を両立していくイメージです。

以上、ご静聴ありがとうございました。

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