質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏
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A1第4四半期のTUCは-5%減収となり、完全な回復基調には至っていません。第4四半期は需要の閑散期に当たることから、売掛金の回収を重視しつつ、マージンをしっかり確保する健全な運営を進めました。市場在庫を過剰に積み上げることもなく、売掛金の回収も予定通り進めることができたと考えています。
マージンについては、原材料価格の低下によるメリットを享受する中、プレミアム製品の販売は堅調に推移した一方、エコノミー製品は厳しい状況でした。市場全体も前期に比べて約-5%程度縮小したと想定しており、当社業績は市場とほぼ同じ結果となりました。
こうした中、2026年は中国市場の需要の弱さを前提として大幅な回復は想定せず、TUCで+HSDの売上成長を目指します。プレミアム戦略や3~6級都市での差別化施策を進めていくほか、システム的な対応も他社に先駆けて実施していきます。中国チームの意気込みも強く、売上成長を目指しつつ、最終的には利益を確保することを引き続き重視していきます。
2026年の原材料価格はほぼ前期並みを想定しており、景気悪化に伴い売上が減少するリスクはあるものの、原材料価格の低下に伴うメリットもあると想定しており、塗料事業の強みであるそうした双方のメリット・デメリットを相殺しながらマージンを確保していきます。利益のある成長については、ウィー・シューキムや中国チームが全力を尽くしており、市況の大幅な好転を前提とせずとも、できる限りの成長を目指す中で今回のガイダンスを出しています。 -
A2TUCにおいて第4四半期は例年売掛金の回収を重視する時期でもあり、回収は非常に順調に進みました。在庫を無理に押し込むこともなく、バランスは取れていると考えています。
質問者:SMBC日興証券株式会社 新谷泰大氏
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A1AOCは実際に市場に底打ちの兆しはあるものの、V字回復までは想定しておらず、慎重な見通しを維持しています。住宅関連も含めてペントアップ需要は着実に積み上がっていると考えるものの、住宅ローン金利は依然として高く、政策金利が下がっても長期金利はあまり下がらないなど、個人消費や住宅の借り換えが進みにくい状況です。そうした中で、インフラ分野の需要の取り込みや、市場の大きな回復は見込んでいない欧州においてビジネスシステムズの進展などを通じた成長を追求していきたい考えです。
2026年の売上成長は+LSD、中期では+MSDを見込んでおり、緩やかな回復を想定しています。2026年の後半から2027~2028年にかけて回復が期待できると見込んでおり、AOCの競争優位性をしっかり活用していきます。 -
A2欧州と米国の景気回復見通しを比較すると、現地チームも含めて米国の方が回復は早いと見込んでいます。欧州においては地道な改善と市場シェアの向上を目指していきますが、メインの市場は米国であり、米国の回復余地の方が大きいと考えています。
質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏
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A1インドネシアについては、第3四半期から第4四半期が需要期に当たり、第4四半期には強力な販売キャンペーンを実施した結果、販売数量が+DDの成長となりました。為替影響を受けたことで売上収益は前期比+9.4%にとどまりましたが、現地通貨ベースでは非常に好調でした。マージンも引き続き高い水準を維持しており、汎用・工業用ともに全般的に好調な結果となりました。
トルコのBetek Boyaについても、為替影響を受けて減収となったものの、調整後営業利益は大幅増益となっており、調整後営業利益率は23.4%と高い利益貢献がありました。販売数量はやや苦戦したものの、製品値上げなどを通じてマージンを確保できています。
それ以外の地域については、一部の地域で一時的な調整があり若干の押し上げ要因にはなりましたが、シンガポール、マレーシア、タイなどの地域で全般的に好調な決算となりました。 -
A22025年通期の決算が強かったことから、2026年の業績見通しをやや保守的に見込んでいる部分は否めません。Betek Boyaについては、超インフレ会計の影響により数字を見通しづらい部分があり、現時点のガイダンスを積み上げる中である程度の前提を置きました。Betek Boyaは2025年通期の調整後営業利益率17.1%から数ポイント下がったとしても15%程度は維持できる見通しです。
NIPSEA中国も成長を目指しており、NIPSEA全体として常に成長を重視していることから、特定の国に大きな心配要素があるわけではありません。
質問者:シティグループ証券株式会社 西山祐太氏
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A1市況については楽観的な前提は置いていませんが、地域によって状況は異なります。例えば、DuluxGroupの太平洋では、市況が前期並みで推移する中でも約+5%の成長を継続しており、市場シェアは数量ベースで50%あります。他の地域も市場データとの関係で当社シェアを堅く見ている部分はあるものの、実際には多くの地域で市場を上回る成長を実現していく想定です。
インドネシアでは、市場シェアが2025年の19%から2026年に20%に拡大しています。一時的にマージンを重視する局面はあるものの、中期的には売上成長、市場シェアの拡大を目指す姿勢は変えておらず、日本も含めた停滞基調の市場でもプラス成長を目指していきたい考えです。
利益面では、販売数量の増加が厳しい場合は製品値上げを実施するなど、本当に付加価値の高い製品を提供できているのであれば、製品値上げを通じた成長も追求していきます。さらに、コスト構造についても常に見直しを進めており、塗料のような従来型のビジネスにおいても、AIの活用を通じた生産性の向上などの先進的な取り組みを進めていきます。こうした取り組みが、オペレーティング・レバレッジにも効いて、より利益のある成長につながると考えています。 -
A2プロモーション費用の使い方についても、地域によって異なります。インドネシアやBetek Boyaではしっかりとプロモーション費用を増やしていく方針である一方、NIPSEA中国では、プロモーションやディスカウントなどが効果を発揮しない場合、効果の乏しい無駄な施策は控える方針です。DuluxGroupでは常にプロモーション費用を掛けていますが、本当に最適かどうかは常に市況と照らし合わせて適宜調整しています。
現時点ではプロモーション費用を大きく増減させる計画はなく、市況を見極めながら敏捷性を持って調整していく方針です。
質問者:UBS証券株式会社 大村俊太氏
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A1先日アジアのグループ経営会議を開催し、中国チームが意気込みをわざわざ伝えに来てくれたことが印象的だったのですが、毎年意気込みは強く、2026年がこれまでと特別大きく違うかと問われると、明確な違いを挙げるのは難しいです。
2025年を振り返ると、当社はTUCで約25%の市場シェアを持ち、第2位、第3位の競合他社とは3~4倍の差があると考えています。規模やブランド力の優位性は変わっていませんが、細かい部分で競合他社に負けていないのか、2025年以上に精緻な分析を深く実施しています。
例えば、ウィーも言及していましたが、テクスチャー・ペイント分野は現在、純粋なエマルジョン・ペイントと比べても成長しており、現地の競合企業が非常に力を入れています。当社としてもこの分野に注力していますが、十分な成果が得られているかというと、まだ課題があると認識しています。そのため、当社として何ができるかを考え、競合他社に勝つための戦略・戦術をしっかり構築し、それについて話し合ったというのが1つの例となります。
また、当社にとって3~6級都市は競合他社と比べて本格参入が遅れたため、都市別の売上としては全体の2割程度にとどまっており、アセットライト戦略やCCMの導入などを通じて成長余地が大きいと考えています。ただし、当社の販売網の優位性や販売店から現場への直接発送する仕組みなどは、競合他社が容易に模倣できるものではないと考えています。こうした部分をさらに強化するため、日々議論や実践を重ねています。
さらに、AIの活用もNIPSEA中国が最も進んでおり、さらなる売上成長や効率化に向けて当社グループ内でも先進的な取り組みを行っています。ウィー自身が+HSDの成長目標をコミットしていることもあり、非現実的な水準ではなく、実現可能と見込んでいます。 -
A2設備投資については、当社事業はアセットライトであり、設備投資を増やさなければ競争優位性が発揮できないわけではありません。不確実性が高い環境では不要な設備投資は中止または延期する方針であり、非常に厳格な管理を徹底するのは2026年も変わりません。グループ全体では売上収益の3%以内、特に建築用では2%以内を目安に厳格な管理を行っています。
営業人員については詳細には開示していませんが、例えば、NIPSEA中国では現在、部門横断的に資産や販路を相互活用することで、人員を増やすことなく生産性を高めています。つまりは、一人当たりの売上を高めるための施策を進めており、従来は管理部門の統合を進めてきましたが、今後は営業部門でも効率性の向上を図っていく方針です。したがって、単純な営業人員増は少なくともNIPSEA中国に関しては当てはまらないと考えています。
質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏
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A1原材料価格については、各地域で基本的に前期並みで推移すると見込んでいます。日本では原材料価格の上昇圧力が一部あるものの、コスト削減を含めた生産性の改善で吸収できると考えており、他の地域でも同様です。大幅な価格上昇があれば収益計画にも影響しますが、現時点でそこまで懸念していません。地域ごとの詳細は控えますが、全体として大きな変動は想定していません。
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A2その前提で問題ありません。
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A3為替影響は基本的に売上収益に対する影響額となります。営業利益にも影響はありますが、主に売上収益に対する影響額です。決算説明資料P2にも記載の通り、第4四半期の円/人民元は2024年の21.3円に対して2025年は22.1円で推移しており、為替換算で円ベースの売上が増加しました。
質問者:東洋経済新報社 山田雄大氏
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A1MSVを掲げていながらも株価が上昇しない点については、当社も取締役会レベルで何度も議論しています。まずはトラックレコードを積み上げていくことが重要であり、2025年第3四半期からオーガニックとインオーガニックの業績を分けて開示するなど、投資家の皆様が比較しやすい情報提供に努めています。大きな変化よりも、市場の声に耳を傾け、柔軟に対応していくことが重要と考えています。
自社株買いについては、従来縮小均衡になってしまうことから、M&Aへの資金活用を優先してきましたが、2025年10月発表時のご説明の通り、株主還元の一環というよりも、「M&Aに資金を使う中で当社の株式をプレミアム抜きで安く買えるなら買ってみたらどうか?」という投資家の声に一理あると考え、キャッシュも非常に出ている中で1つの選択肢となりました。市場があまり反応しなかったのは残念ですが、1,000円強の株価で自社株買いが実行できたことを評価される時期がいずれ来ると見込んでいます。したがって、中期経営方針やEPSの成長目標に加え、会社の安全性が市場に認識されれば、いずれ評価が得られると想定しています。
また、2025年に開催した「IR DAY」において私自身の反省も含めてお伝えしましたが、ROICに関してはやや否定的な見解を示してきました。実際、2021~2022年の株価水準はPERで50倍程度であり、株式資本コストはその逆数である2%程度であった一方、負債コストがほぼゼロであり、加重平均資本コスト(WACC)は理論的には存在するものの非常に低くかったことから、EPSに重点を置いていました。しかし、2024年以降はこの点を修正しています。 基本的な戦略は現時点で大きく変更する予定はありませんが、仮に日本の金利が5%まで上昇した場合は見直しを検討します。現在の金利水準であればまだまだ価値創造が可能と考えています。現在の株価を安いと評価して買い増してくれているロングの投資家に対して、長期のみならず、短期的にも結果を出し続けることが重要と考えています。
2025年の第4四半期や通期の業績は市場コンセンサスを大きく上回る水準を記録し、2026年の通期予想も十分に達成できるものを公表しています。こうした実績が浸透して経営への信頼が高まれば、株価も上昇すると見込んでいます。基本方針は大きく変えていませんが、細部では柔軟に修正を重ねており、当社の迅速な対応力を評価も徐々に得ていると考えています。 -
A2以前貴社のインタビューで述べた「コンビニは買収しません」という発言について、投資家からの評判が悪かったこともあり、今回買収基準についてより明確にご説明しました。合理的なものであれば買収するように捉えかねない前回の回答に対して、今回は当社の買収方針が荒唐無稽なものではないことをお伝えしました。今後も投資家の誤解を無用に引き出すことは避け、慎重かつ丁寧な説明に努めます。
質問者:株式会社日本経済新聞社 窪田真奈氏
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A1中期経営方針アップデート説明資料P14の左下で記載の通り、当社の借入金の平均金利は税前で1.2%、税後では1%以内となり、現時点で大きな懸念はありません。償還年限を5年弱としながら変動金利の割合を増やしています。短期的には政策金利の影響を受けやすく、政策の影響による長期金利の上昇リスクもありますが、現状の水準であれば当社の「アセット・アセンブラー」戦略における負債中心の資金調達方針に変更はありません。
したがって、資金調達のポートフォリオは、引き続き銀行借入が中心となります。現時点で社債は発行しておらず、必要に応じて検討したとしても、あくまで負債調達の範囲となります。株式発行については、発行自体の可能性を否定しませんが、現在のような低い株価水準ではなるべく発行しない方針です。
今後、仮に金利が3%や5%に上昇した場合は、リスク感応度をより高めて慎重に判断していく必要があります。基本戦略やM&Aの規模感に大きな変更はありませんが、金利上昇それ自体は慎重になる要素であることは間違いありません。引き続き、オーガニックで創出したキャッシュをM&Aなどに活用していく方針に変わりはありません。
CLSA証券株式会社 張一帆氏
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A1中国の不動産政策の変更や景気刺激策がどの程度塗料需要に結び付くかについては、これまでもさまざまな議論がありましたが、当社の現時点の想定は厳しい状況が続くと見通しています。これらの政策が奏功する場合には、上振れ要因になると想定していますので、成長余地はあると考えています。
AOCについても、金利の動向やFRB議長の交代、インフレ、長期金利の推移など不透明な要素が多い状況です。AI投資の影響はあまり受けないと考えるものの、建築市場における住宅やインフラ分野では金利低下に伴い上振れ余地はあると想定しています。
いずれにしても、経済環境に依存する部分が大きいものの、当社としては現状そうした上振れ要素がなくても一定の成長を見込んでいますが、市況が回復した場合には当社は最も大きな恩恵を受けることができると考えています。どちらがより成長余地が大きいかについては、現時点で明確なコメントはできません。 -
A2AOCの営業利益率は、従来ご説明している通り、貢献利益の部分が中心となっています。製品価格や原材料価格、販売数量の変動はあるものの、固定費が非常に低い水準であるため、オペレーティング・レバレッジが大きく作用するわけではありません。営業利益率は顧客に提供できる付加価値や原材料価格の動向によって決まるため、今後もほぼ横ばいか、若干低下する可能性も視野に入れながら、引き続きマージンを確保した成長を目指します。
大和証券株式会社 梅林秀光氏
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A1設備投資については、当社は必要な時に絞って実施しつつ、パートナー企業の生産能力を活用することで、双方の稼働率を向上できるなどのメリットがある関係を築いています。一つひとつの規模は小さいものの、特に3~6級都市においては当社が持っていない領域をパートナー企業が補完しており、現状うまく機能しています。現状のように市場が停滞している場合は、パートナー企業の稼働率が十分に上がらないこともあり、少し残念に感じていますが、今後3~6級都市での成長がしっかりと実現できれば、パートナーシップの意義がさらに高まると見込んでいます。
パートナーシップ自体は順調に進んでいますが、その前提として、販売戦略やテクスチャー・ペイントの強化、工場からの直接配送による顧客体験の向上など、さまざまな施策を通じてアセットライトな経営につながっています。今後は数量成長が伴えば、より大きな成果が期待できます。 -
A2中国のパートナーシップ戦略は、当社グループの各パートナー会社が状況に応じて柔軟に検討しています。中国では景況が厳しいこともあり、パートナー企業にもインセンティブが働きやすい環境でしたが、他の地域では必ずしも同じニーズがあるとは限らず、必要性やメリットがあれば是々非々で対応していきます。NIPSEAはこうした知見の共有にも長けており、各社・各地域でさまざまな可能性を検討しています。
シティグループ証券株式会社 西山祐太氏
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A1ご指摘の通り、NIPSEA中国については、当初+10%前後の売上成長を見込んでいましたが、現在の中期予想としては+MSDに修正しています。2026年は+HSDの成長を見込んでいますが、今後成長率が低下していくとは考えていません。中期的には現在の軟調な市況をある程度前提としつつ、市況が回復すればプラス要素になる見込みですので、やや保守的に想定しています。
全体に占めるNIPSEA中国の割合は非常に大きいため、NIPSEA中国の成長見通しの修正が全体の見通しにも若干の影響を与えています。加えて、AOCについても利益面では一定の貢献があるものの、現時点の景況感を踏まえると+HSDを前提とするのは難しいと判断し、+MSDを想定しています。これらを勘案し、連結売上収益の見通しは+MSDと見通しています。
一方で、利益面では従来+10~12%のEPS成長を見込んでいたのに対して、引き続き+10%程度の利益成長は目指していきたいと考え、今回は+HSDに修正しています。
野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏
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A1競合他社もいる中、当社としては機微な情報と考えていますので、詳細はお答えできません。全体としてはインフラ分野がやや回復傾向にあり、全体として底打ちの兆しが見えてきているものの、急激なV字回復は見込んでいません。現状の業績予想もそうした前提で設定しています。