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財務・M&A戦略

M&A戦略

「アセット・アセンブラー」モデルの競争優位性を生かし、M&Aの機会を積極的に模索することで、EPSの積み上げスピードをさらに加速していきます。

M&Aを成長戦略の柱の1つに位置付け

当社は、低リスクで安全なM&Aを成長戦略の柱の1つとして位置付けています。既存事業で生み出したキャッシュを、MSV(株主価値最大化)に貢献する良質な資産へ振り向けることで、インオーガニックな成長につなげています。
M&Aそのものを目的化せず、買収価格の規律を徹底しながら、買収後は各パートナー会社の自律性を尊重し、その潜在力を最大限に引き出します。オーガニック成長とM&Aを両輪として、持続的なEPSの複利成長を目指します。

初年度 買収初年度からEPSへプラス貢献
約3年以内 ROICがWACCを上回る資本効率
MSV 当社グループへの持続的な貢献を重視

M&Aにおける2つの柱

当社のM&Aは、パートナー会社が主体となる「ボルトオン型」と、持株会社である日本ペイントホールディングスが推進する「アセット取得型」の2つで構成されています。

パートナー会社

ボルトオン型

既存事業の拡大とシナジー創出を主眼とし、各パートナー会社が主体となって推進します。一定規模以下の案件は各パートナー会社で決議する仕組みとし、迅速な意思決定とオペレーションを可能にしています。

  • シナジー創出を最優先に追求
  • 既存事業の拡大、近隣地域への展開
  • 新規事業分野への参入や業務改善の機会
  • 定量化可能かつ実現可能なシナジーのみを評価に反映
日本ペイントHD

アセット取得型

比較的大型の案件を対象とし、シナジー効果がなくても十分に魅力あるリターンが見込める案件を追求します。経営のエゴを排除するため、バリエーションはシナジーを見込まずに算定しますが、買収後はグループのプラットフォームを活用し、シナジーを積極的に追求します。

  • 大型のターゲットを対象
  • シナジーなしでも魅力的なリターンを確保
  • 高いバリエーションをシナジーで正当化しない
  • 買収後はグループ内連携による成長機会を追求

厳格な買収基準と当社の強み

買収対象は、従来の「ノーリミット」から対象をより具体化し、現在は化学領域を主たる対象としています。手堅い成長が見込まれる市場において、競争優位性を有し、当社グループ傘下でさらなる成長が期待できる会社を厳選します。

買収基準・対象

  • 手堅い成長が見込まれる市場
  • 優れたマネジメント、マージン、キャッシュ・フローなどの競争優位性
  • 初年度からEPSへプラス貢献
  • 約3年以内にROICがWACCを上回るバリエーション
  • 当社グループへの持続的な貢献

当社の4つの強み

  1. 良質なターゲットを精緻に見極める力
  2. 買収後も自律性とアカウンタビリティを維持する経営モデル
  3. グループ入りした人材のモチベーションを維持・向上させる仕組み
  4. 低ファンディングコストを積極的に活用できる財務基盤
新たなM&A機会を生み出すトラックレコードとレピュテーション

当社のM&Aは、欧米型の単なるコストカット・モデルとは一線を画しています。対象会社の歴史、ブランド、経営陣を最大限に尊重し、優秀な現地経営陣に権限と責任を委譲する「自律・分散型経営」を基本としています。
こうした実績と評判は、新たなM&A機会の創出につながっています。成長を志向する現地企業のCEOや、次世代への橋渡しを模索する非上場会社のオーナーから、当社グループへの参画に関心が寄せられる事例も増えています。今後も、MSVに貢献するローリスク・グッドリターンを確保できる案件を継続的に実行していきます。


M&Aのトラックレコード

当社は2019年以降、継続的に企業買収を実施しています。買収した会社の多くは、当社グループ入り後も売上収益、営業利益、市場シェアを着実に拡大しており、M&AがEPSの積み上げに継続的に貢献しています。

M&A件数推移

2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025
件数 4 4 8 9 5 2 6

※各地域・事業における小規模な事業買収(未公表)も含む

調整後営業利益におけるM&A貢献

調整後営業利益
合計(億円)
うちM&A貢献
(億円)
合計成長率
(YoY)
M&A貢献度 当年買収企業
2018873
20199598611.1%10.0%DuluxGroup、Betek Boya
2020925136–3.6%14.1%
20211,0131409.6%15.2%PT Nipsea、Vital Technical
20221,4088239.0%8.1%Cromology、JUB
20231,8151328.9%0.9%NPT
20241,996649.9%3.5%Alina、NPI
2025※32,74255337.4%27.7%AOC
  • ※1 M&A貢献は、買収後1年間の損益を集計
  • ※2 2025年は、AOCのPPA確定に伴う遡及修正後のプロフォーマ値

成長を加速する4つの事例

Case 1 DuluxGroupのボルトオンM&A加速

DuluxGroupは、当社グループ参画後の6年間でCromologyやJUBを含む24件の買収を実現しました。豪州証券取引所への上場時代の9年間における9件から大きく加速しています。当社が買収を強制するのではなく、DuluxGroup自身の信念と意思を起点に、合理性と規律を重視した議論を通じて支援しています。

2010~2019年:買収9件・約2億5,000万豪ドル
2019~2025年:買収24件・約24億豪ドル

Case 2 NIPSEAグループにおけるSAF事業の成長加速

DuluxGroupのSAF(密封剤・接着剤・充填剤)事業の「Selleys」ブランドを、広範な流通網を持つNIPSEAグループへ移管したことで、アジアでの成長が加速しました。2021年のVital Technical買収にもつながるなど、パートナー会社間の対話と合理的判断が新たな成長を後押ししています。

2019年を100とした2025年の売上指数:914(約9.1倍)

Case 3 AOCとの関係深化

2025年3月に買収を完了したAOCの経営陣が同年9月に来日し、共同社長やパートナー会社の経営陣との会議を開催しました。AOCの高収益を支えるビジネスシステムを共有し、各社から具体的な質問やレクチャーの要望が寄せられるなど、グループ連携と協力に向けた第一歩となりました。

AOC事業戦略を見る

Case 4 NIPSEAグループの連携加速

NIPSEAグループは2026年4月、19の地域が参加する「LFG Excellence Award」を開催しました。優れた取り組みを称え、パートナー会社間の知見共有と連携を強化することで、グループ全体の成長をさらに加速させています。

主要パートナー会社のトラックレコード

2014年以降に当社グループ入りした主要パートナー会社について、買収時からの成長や市場ポジションを一覧でご紹介します。各社の自律性を尊重しながら、グループの経営資源や知見を活用することで、高成長国・成熟国の双方で成長を積み上げています。

※売上収益などの実績は、2025年実績に更新しています。各社のより詳細な業績・市場情報は、ページ下部の「アセット運用報告」をご覧ください。

企業名
買収年
国・地域
事業内容
市場プレゼンス(NPHD推計)
買収効果(売上収益)・買収時比
Dunn-Edwards
企業名

Dunn-Edwards

買収年
2017年
国・地域
米国
事業内容
建築用塗料
市場プレゼンス(NPHD推計)
-
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2018年
    446億円
  • 2025年
    723億円

+68.2%

DuluxGroup
企業名

DuluxGroup

買収年
2019年
国・地域
太平洋
事業内容
建築用塗料・
その他周辺事業
市場プレゼンス(NPHD推計)
No.1(豪州、パプアニューギニア)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2019年
    1,349億円
  • 2025年
    2,512億円

+86%

Betek Boya
企業名

Betek Boya

買収年
2019年
国・地域
トルコ
事業内容
建築用塗料・
その他周辺事業
市場プレゼンス(NPHD推計)
No.1
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2019年
    288億円
  • 2025年
    948億円

+223%

PT Nipsea
企業名

PT Nipsea

買収年
2021年
国・地域
インドネシア
事業内容
建築用塗料・
自動車用塗料など
市場プレゼンス(NPHD推計)
No.2
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2020年
    303億円
  • 2025年
    659億円

+117%

NIPSEAグループ(2014年連結化、2021年100%化)
企業名

NIPSEAグループ
(2014年連結化、
2021年100%化)

買収年
2021年
国・地域
アジア各国
事業内容
建築用塗料・
自動車用塗料・
工業用塗料など
市場プレゼンス(NPHD推計)
No.1(中国、マレーシア、シンガポール、スリランカ)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2014年
    2,365億円
  • 2025年
    8,875億円

+275.3%

Vital Technical
企業名

Vital Technical


買収年
2021年
国・地域
マレーシア
事業内容
その他周辺事業
市場プレゼンス(NPHD推計)
-
買収効果(売上収益)・買収時比
-
中国自動車用連結子会社5社
企業名

中国自動車用
連結子会社5社

買収年
2022年
国・地域
中国
事業内容
自動車用塗料
市場プレゼンス(NPHD推計)
-
買収効果(売上収益)・買収時比
-
Cromology
企業名
Cromology

Cromology

買収年
2022年
国・地域
欧州
事業内容
建築用塗料
市場プレゼンス(NPHD推計)
No.1(イタリア)
No.2(フランス、ポルトガル)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2021年
    1,091億円
  • 2025年
    1,539億円(DGL欧州合算)

+41%(DGL欧州合算)

JUB
企業名

JUB

買収年
2022年
国・地域
欧州
事業内容
建築用塗料・
その他周辺事業
市場プレゼンス(NPHD推計)
内装用No.1(スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2021年
    1,091億円
  • 2025年
    1,539億円(DGL欧州合算)

+41%(DGL欧州合算)

NPT
企業名

NPT

買収年
2023年
国・地域
イタリア
事業内容
その他周辺事業
市場プレゼンス(NPHD推計)
-
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2021年
    1,091億円
  • 2025年
    1,539億円(DGL欧州合算)

+41%(DGL欧州合算)

Alina
企業名

Alina

買収年
2024年
国・地域
カザフスタン
事業内容
建築用塗料・
その他周辺事業
市場プレゼンス(NPHD推計)
No.1(ドライミックスモルタル材・塗料)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2024年
    258億円
  • 2025年
    243億円

-6%

NPI
企業名

NPI

買収年
2024年
国・地域
インド
事業内容
建築用塗料・
工業用塗料など
市場プレゼンス(NPHD推計)
建築用No.2
(タミルナドゥ州、カルナータカ州)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2024年
    90億円(2ヵ月分)
  • 2025年
    494億円

NPI・BNPA合算

BNPA
企業名

BNPA

買収年
2024年
国・地域
インド
事業内容
自動車用塗料
市場プレゼンス(NPHD推計)
自動車用No.4
AOC
企業名

AOC

買収年
2025年
国・地域
米国・欧州・アジア
事業内容
スペシャリティ・フォーミュレー
ター
市場プレゼンス(NPHD推計)
リーダーポジション
(北米市場)
リーディングポジション
(より細分化された欧州市場)
買収効果(売上収益)・買収時比
  • 2025年
    1,573億円(10ヵ月分)

-

※買収時と現在では、会計基準が異なる場合、市場シェア算出に関わる各種前提条件が異なる場合があり、買収時比の値は概算値
※市場シェアはNPHD推計
※Dunn-Edwardsの買収初年度(2017年)は10ヵ月分の業績のため、2018年で比較
※DGL(欧州)の2021年実績はプロフォーマ値(Cromology・JUBの合算値)で、為替レートは1EUR=138.5円を適用。2025年実績はCromology・JUB・NPTを含むDGL(欧州)の合算値
※NPI・BNPAの2024年実績は買収後2ヵ月分、2025年実績は両社の合算値
※AOCの2025年実績は買収後10ヵ月分
※スペシャリティ・フォーミュレーターとは、建築物・インフラ設備・輸送機器・船舶等で使用されるCASE(Coatings, Adhesives, Sealants and Elastomers:コーティング剤・接着剤・密封剤・エラストマー)や着色剤、複合材料等のコーティング周辺製品向けに、不飽和ポリエステルやビニルエステル等の配合設計・製造・販売を行う企業

各アセット会社の最新実績を詳しく見る

買収時からの成長、直近の業績、市場ポジションなどは「アセット運用報告」に掲載しています。

アセット運用報告
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