ウィー共同社長メッセージ

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代表執行役共同社長 ウィー・シューキム

代表執行役共同社長 ウィー・シューキム

PROFILE
シンガポールの名門校ラッフルズ・インスティテューション卒業後、ロンドンのインペリアル・カレッジ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジーで理学士号(航空工学)(優等学位)、スタンフォード大学でMBAをそれぞれ取得。1984 年、Singapore Technologies Aerospace Ltd. の前身であるSingapore Aircraft Industries Pte. Ltd.のエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、STエンジニアリング社(Singapore Technologies Engineering Ltd.)で、副最高経営責任者 兼 社長(防衛事業)を務める。また、2001年から2011年まで、シンガポールの国会議員を務めた経験もある。 2009年以降、22の国と地域で95の製造拠点を持つ塗料メーカー、NIPSEAグループの最高経営責任者としてアジア全体の事業を10年以上にわたり統括。2021年4月28日付で代表執行役共同社長に就任。

Purposeとイノベーションに基づき、持続可能な未来を構築します。

私たちのPurposeは、技術を通じて社会に価値を提供し、成長と繁栄をもたらすことを掲げています。共通の価値であるPurposeは、パートナー各社や従業員を強く結び付け、成長と目的達成のための指針となります。


調和を重視──団結し、権限を与え、奮起を促す

NIPSEAグループへの参画に先立ち、航空宇宙・防衛エンジニアリング会社であるSingapore TechnologiesEngineeringの副最高経営責任者兼社長(防衛事業)を務めていました。同社に在籍した25年の間、米国、中国、欧州、シンガポールでの事業運営管理を含むエンジニアリング、事業開発、マネジメントの分野でさまざまな役割を担いました。また、2001年から2011年にかけては、シンガポールの国会議員を務めており、現在はシンガポールの複数の上場企業で独立社外取締役を務めています。

私は、40年近くにわたって複数の組織でキャリアを積み、シニアリーダーとしての役割を果たしてきた経験から、生産的で柔軟性の高いチームを作り上げるためには、優れたリーダーシップが必要であると考えています。官僚主義がはびこれば優秀な人材が能力を十分に発揮できず、組織は機会を捉えて迅速に変化に対応する能力を奪われ、結果的に取り残されてしまうことはしばしば起こることです。

NIPSEAに参画して12年が経過しますが、この間、私は過去の経験を生かしてチーム全体に起業家精神を浸透させて、成長を加速するために進んで行動し、責任を負う有能なチームに権限を与えることに注力してきました。NIPSEAにおいて私が実践している経営哲学は、チームを団結させ、彼ら自身がリーダーシップを発揮できるよう権限を与え、彼らに意思決定を促すことです。

優秀なチームを結集し、NIPSEAの企業文化である「無駄のない成長(LFG: Lean For Growth)」のもとに団結させることで、重要な経営上のミッションである「株主価値最大化(MSV)」をさらに推進することができます。これは、私の目標の一つである「1人ではなく、チームで達成する(achieving together as a team versus a single unit)」ことにもつながるものです。彼らが正しい行動を取るように権限を与えることだけでなく、LFGの文化のもとでチームが団結し、組織と価値観を育むために最善を尽くすと信頼することも重要です。チームを団結させて、権限を与えることで、チームが日々の業務に最善を尽くし、自分たちが誇れる成果を出せるよう、リーダーとしてチームの野心や向上心を鼓舞し続けることも必要です。

私は、こうした理念やLFG文化をもとに多様なチームを支え、お互いの強みを生かすことで、NIPSEAと日本ペイントグループの驚くべき成果を実現してまいります。



当社グループの潜在力を引き出し、さらなる高みへ

当社グループは140年にわたる長い歴史を積み重ね、世界をリードする塗料メーカーとしての地位を確立してきました。また、強固な基盤を築き、変化や困難を乗り越え、大きな成功を収めてきました。

私は過去12年間、NIPSEAの一員として、アジア太平洋地域の塗料業界において画期的な製品を提供し、事業を拡大してきました。その過程を通じて、NIPSEAの事業哲学がいくつも具現化する様子を目の当たりにしてきました。そして現在、NIPSEAは「Beyond Paint」を掲げ22の国と地域で、建造物、建築物、自動車、工業製品などの業界に向けて建築用、工業用塗料を製造・販売しています。

こうしたNIPSEAの持続的成長を支えてきたのは、顧客中心のアプローチと従業員の献身的な努力であり、今後も引き続き卓越性を追求し続けていきます。そして、成長への強い意志と繁栄の基盤となるのは、協業(コラボレーション)、成功事例(ベストプラクティス)、知識、経験の共有を重視するLFGの文化です。そして、私たちは新たに「企業ブランドプロミス」の考え方を取り入れ、LFGの概念を5つの行動指針で定義しました。その5つとは、「価値重視(Value Driven)」「透明性(Openness)」「革新性(Innovative)」「コラボレーション(Collaborative)」「卓越性(Excellence)」であり、これらの頭字語をとって「V.O.I.C.E」と名付けました。このV.O.I.C.Eは、NIPSEAの事業哲学の柱となっています。

私は当社グループの経営において、NIPSEAが培ったLFGの文化を積極的にグループ内に浸透させて、従来の塗料事業を超えて領域を拡大したいと考えています。そして、当社グループの全活動の中核をなすMSVの実現を目指していきます。

塗料業界は、今日の製造業や建設業界の中でも、非常に重要な役割を担う魅力的な業界です。革新的で持続可能な製品へのニーズが高まっており、業界は急速に成長しています。当社グループには、自らの可能性を発揮し、拡大する仕組みや技術が整っています。これまで培われてきた計り知れないほどの活力と優れた能力を引き継ぎ、さらなる高みへと導いていきます。



Purposeとイノベーションを通じてMSVを実現

当社グループは経営上のミッションとしてMSVを掲げ、顧客、従業員、社会をはじめとするステークホルダーへの責務を充足し、その残余価値である株主価値を最大化することを目指しています。MSVは単なる財務用語ではなく、経営陣による業務運営、パートナーシップ、ポートフォリオ管理、組織としての投資を結び付ける事業運営のための指針です。

MSVはすなわち、「EPS(1株当たり当期利益)」×「PER(株価収益率)」と表現することができますが、MSVの実現にはEPS、PERの双方を最大化することが重要になり、私は主に事業のオペレーションを統括し、EPSの最大化に貢献していきます。これには、共同社長である若月雄一郎氏の協力が不可欠です。若月氏は、財務やM&A分野における豊富な経験と知識を生かして、PERの最大化に尽力します。

当社グループは、塗料業界において140年にわたって蓄積してきた豊富な専門技術を保有しています。長年、顧客ニーズを満たす質の高い製品を生み出し、技術やイノベーションを経営の中核に据えた企業として評価されてきました。塗料業界のグローバルリーダーとなるために、各地域のパートナー会社とともにグローバルネットワークを拡大し、社会に役立つ画期的な製品を作り、Purposeを実現する――これが、私が当社グループの経営の舵を取る上での基本的な考えです。

新市場へ迅速な参入を可能にし、競合他社と差別化する大きな要因の一つは、「パートナー会社」という概念と、パートナー各社が当社グループのもとに結集しているという点にあります。「Think global, act local」を信条に、当社グループのパートナー会社は、各地域・市場においてそれぞれが適切と考える方法で事業活動を自律的に判断することができます。

当社とパートナー各社はこうした考え方により、サービスポートフォリオを着実に多様化してきており、Betek BoyaやDuluxGroupのブランドが加わることで、当社グループの製品ラインアップを拡充しました。このようなフラットな組織構造の中でお互いを尊重し、信頼し合うことで、パートナー会社間に平等な機会が生まれ、当社は塗料業界において強い影響力を持つことができています。

当社グループは、長年にわたる顧客中心のアプローチにより、塗料の枠組みを超えた技術やソリューションを開発してきました。そして今日、当社グループは専門技術、防水、修復、修理、自動化、ロボットなどを含む「トータル・ソリューション」の領域へ拡大しています。また、「人を第一に考える(people-first)」という考えのもと、主要なステークホルダーや社会に貢献するソリューションを開発し、変革を加速しています。

これは、当社グループが掲げるMSVの重要な柱でもあります。無鉛塗料、自動車用塗料、船底防汚塗料、住宅や家族を保護する抗ウイルス塗料、エネルギー消費を削減する塗料、環境に配慮したスマートペイントなど、画期的な製品を市場に投入し続けています。

当社グループはこれまで、責任感やイノベーションという日本的な価値観を自らの行動指針としてきましたが、Purposeに込めた「サイエンス+イマジネーションの力で、わたしたちの世界を豊かに。」は、グループ共通のアイデンティティです。社会に価値をもたらす技術で成長と繁栄を導くというPurposeの精神を、当社グループのあらゆるパートナー会社と全ての従業員の間で共有し、グループの展望と目標実現につなげていきます。

当社グループの最終的な目標はMSVですが、MSVの実現に向けて、引き続きPurposeとBusiness Philosophyの実践に取り組んでいきます。



アジアを超えて成長を加速

現在、世界は急速に変化しています。世界的規模で拡大する新型コロナウイルス感染症が、この変化をさらに加速させています。それはあまりにも突然で、基幹産業や業界は混乱に見舞われ、多くはその重圧に対処しきれませんでした。当社グループも、こうした状況への適応が求められていますが、変化への対応には戦略的な行動が不可欠です。

当社グループは、市場リーダーとしての地位をさらに強固にするため、新中期経営計画を策定しました。この新中期経営計画では、新たな課題に対処しつつ、2023年までに効果的に事業を成長させ、業績面で競合他社を凌駕することを目指しています。MSVを実現するために、当社グループの事業基盤の中から、収益性向上につながる重点事業と活動分野を特定しました。

中国やトルコ、東南アジアをはじめとするアジアの高成長市場に引き続き注力することは、重要な戦略の一つです。中国では民間住宅の物件数が増加しており、改修やリノベーションの需要が高まっています。この機会を生かすために、DIY・建築用事業から、塗装サービス、防水などの総合的なソリューションに至るまで、ポートフォリオを多様化していきます。また、インフラ事業を拡大し、基盤製品、補助材料、省エネ断熱材などを中国市場に投入することで、塗料分野以外の製品ラインアップを拡充していきます。

新型コロナウイルス感染症拡大の状況下にもかかわらず、人口増加に伴う大規模なインフラプロジェクトや開発が継続的に行われているインドネシアも、同様の状況にあります。塗装用付属品、用具、SAF(密封剤、接着剤、充填剤)、防水などを既存の製品販売ラインアップに組み入れることで、建設分野で当社グループの存在感を高めています。

また、Betek BoyaのETICS(断熱材)部門を活用して、当該分野での市場シェアを拡大し、高い収益成長を維持しています。当社グループは塗料周辺分野への製品ポートフォリオを拡充していますが、健康・環境に関するEU規制の厳格化に伴い、Betek Boyaの画期的なETICS製品を提供することで、当該分野でさらなる収益成長が可能になります。

アジアでの事業基盤をさらに強固にするため、オセアニアや日本市場に引き続き注力していきます。豪州・ニュージーランド市場では、DuluxGroupが圧倒的な市場シェアを誇っていますが、今後も、ブランド、イノベーション、カスタマーサービスの強化を通じて、オセアニアでの地位をさらに高めていきます。

日本市場では、これまで建築用分野が大きく成長してきました。現在、当該分野では顧客の嗜好や市場ニーズが変化しており、そうした変化に対応することで、当社製品はより持続可能なものへと進化していきます。さらに、電気自動車やロボットなど新産業への道も切り開いていきます。日本には既に確立された技術インフラがあり、今後グループ全体で自動化やサプライチェーンのデジタル化を進める上で重要な意味を持ちます。これを活用することで、当社グループは長期的に業界のゲームチェンジャーになれるでしょう。

新中期経営計画の達成には、自動車用事業の成長戦略を最適化することが不可欠です。自動車用事業は、アジア事業の拡大とともに成長し、グループ全体の売上収益の16%を占めています。自動車用事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響から回復するため、引き続きグローバル化に注力し、顧客サービスの強化や、効率性・生産性の向上に努めます。また、技術力を強化し、自動車ボディ、バンパー、プラスチック部品向けなどの幅広い塗料製品を提供していきます。

総合的な塗装ソリューション「Beyond Paint」分野における製品・サービスを強化するため、塗装用具や付属品、床面塗料、防水、SAF、ETICSなどの塗料周辺分野に積極的に進出し、2023年までに売上収益24億米ドルを目指していきます。これは、中国のような成長著しい市場へ継続的に注力することに加え、イノベーションや価値創出をもたらすPurposeを共有するパートナー会社同士が強力に連携することで実現可能です。

また、Digitalizationのもたらす可能性に焦点を当てることも、新中期経営計画の重要な要素の一つです。世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、当社グループのデジタル戦略や技術への投資が加速し、業務効率の向上、より良い顧客体験の提供、リスクへの耐性強化、そして最も重要なこととして、従業員の生産性向上を実現してきました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、グローバルでサプライチェーンが寸断されたため、特に日本市場では、サプライチェーンをより協調性が高く、回復力のあるネットワークへと変更する必要がありました。この移行を確実なものとするため、当社グループは既に、サプライチェーンネットワークを自動化し、非効率性を低減するブロックチェーンなどの技術へ投資を検討しています。

また、当社グループは、Digitalizationを活用した電子商取引を強化しており、特に顧客対応やDIY市場、建築用市場などにおいて、既存の販売チャネルをデジタル化で拡大していきます。今後も、デジタル化を加速させて、顧客とのオンラインエンゲージメントを強化し、当社グループの認知度向上に努めていきます。

当社グループは、MSVの理念に基づいて、イノベーションを核として事業を展開しています。従って、当社グループの中期的な戦略は、一貫した研究開発を通じたイノベーション戦略を引き続き重視しています。2021年から2023年にかけては、上海の研究開発・イノベーションセンターにおいて、新技術の導入から新プロジェクトの主導まで、複数の研究開発テーマの推進が予定されています。

新中期経営計画は、刻々と変化するビジネス環境に適切に対応しながら、社会の発展に貢献し、グループ共通のPurposeのもと、当社グループの総合力を最大限に発揮することを目指しています。



LFGの価値観でさらなる成長へ

先述した通り、変革は避けられません。しかし、当社グループは、卓越性を獲得するためのアプローチや人材に自信を持っており、変化への対応は準備万端です。

当社グループが将来の成長に向かって変革を進める過程で、日本は極めて重要な役割を果たします。日本が保有する専門技術や組織力を活用するとともに、パートナー各社の強みを生かして、グループ全社の共存共栄を実現していきます。

日本はまだ成長の余地がある有望市場であり、当社グループが大きなシェアを獲得できる分野があります。例えば、電気自動車やロボットなどは、日本における新たな市場の好例です。日本のような成熟市場で基盤を築くことで、当社グループは塗料業界の新市場に参入するための競争優位性と、成長し続ける塗料業界において画期的な製品やサービス、提案をし続ける機会を得ることができます。

このような成長へのアプローチは、LFGの価値観にも合致しています。当社グループは、無駄のない事業構造を構築することで、一歩ずつ前進しながら、新たな成長機会を探ることができます。

この10年以上にわたり、私は主にアジアを中心に活動してきました。しかし、当社グループが目指すのは、アジアだけではなく、また塗料だけでもありません。私は、新中期経営計画で掲げたグローバルな施策に、共同社長の若月氏と一緒に取り組むことを大変楽しみにしています。MSVへの強い信念とLFGの企業文化に従って、2人が互いに力を合わせれば、ミッションの実現は可能であると確信しています。



2021年09月30日
代表執行役共同社長
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