質問者:BofA証券株式会社 榎本尚志氏
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A1第4四半期の見通しについては、従来通期見通しから第3四半期累計実績を差し引いて示してきましたが、今回は説明資料P5に記載の通り、第4四半期の見通しを前年同期との比較で示しました。
前年同期から上振れる要因はいくつかあり、1つは新規連結影響です。インド2事業の連結業績への取り込み開始を第4四半期中に見込んでいることや、Alinaも前年はクロージング前だったため、今年はプラス要因となっています。
NIPSEA中国の第3四半期の営業利益率はある意味異常値だったと認識しており、実態としては軟調な市況の中で投じた広告宣伝費に対するリターンが十分ではありませんでした。第4四半期は費用とリターンのバランスを図っていく計画であるため、利益を取り戻すことができると考えています。
一過性要因については、現時点で見込んでいるものはありません。また、Betek Boyaにおける超インフレ会計の適用に伴う影響は一過性とは認識していません。
各地域で通期目標の達成に向けた追い込みに注力しているため、第4四半期は一定の成果を見込んでいます。 -
A2中国の需要回復は楽観視していません。説明資料P6に記載の通り、TUCの通期見通しは、8月見通しの「+10~15%」から「+5~10%」に引き下げる中、第3四半期累計実績は+7%程度となっています。第4四半期は第3四半期の+1%増収よりは回復する見込みですが、市況が改善するとは考えていません。さらに、季節性として年末にかけて需要が減少していく中、1桁台半ば程度の成長を見込んでいます。
質問者:ゴールドマン・サックス証券株式会社 池田篤氏
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A1第3四半期は季節性として最も需要が強い期ではありましたが、広告宣伝費などの費用が先行した上、軟調な市況を受けて実施した製品値下げも影響しました。特級・1~2級都市よりも3~6級都市の成長率の方が高いため、価格/ミックスの変化も影響しています。
第4四半期の営業利益率については、2桁となる10%程度は十分に達成できると見込んでおり、足元でマージンが悪化傾向にあるわけではありません。引き続き売上と利益のバランスを重視しながら成長を目指していきます。 -
A2特級・1~2級都市はマイナス成長ではなく、わずかにプラス成長であり、3~6級都市もややプラス成長です。中国の経済環境は消費者センチメントも含めて非常に厳しいものの、長期的には当社の競争力が低下しているわけではなく、キャッシュも生んでいるため、大きな懸念はしていません。
質問者:みずほ証券株式会社 吉田篤氏
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A1DGL(太平洋)は非常に順調です。ただし、豪州の市場環境は厳しく、利下げもない中で住宅市場も芳しくありません。そうした中でも成長を続けており、第3四半期はマージンも改善しています。10年ぶりに実施したブランド刷新も順調ですが、やはり市況の影響には抗えない部分があります。豪州に限らない話ではありますが、化学セクターの中では一番ボラティリティが低く、需要は比較的堅調な業界ではあるものの、一段の利下げや景気刺激策などがない限りは消費者センチメントも上向きません。
そうした中、第3四半期累計ではDuluxGroup全体でもDGL(太平洋)でも着実に成長しており、四半期単位のみで評価するのではなく、長期的なトレンドで評価いただければと考えます。
その上で、DGL(太平洋)の第3四半期は想定以上に厳しい状況下、期初ガイダンスの達成向けて取り組んでおり、大きな心配はしていません。一方で、DGL(欧州)は特にフランス市場で既に2年連続で5%のマイナス成長が続いており、引き続き厳しい状況です。コスト対策や費用見直しなどを実施していますが、市況が回復して数量が伸びないことには、オペレーティング・レバレッジも効かない状況です。8月にお伝えした市況回復の兆しも限定的であり、パリオリンピックも市況をプラスに好転させる要因にはなっておらず、DGL(欧州)の第3四半期も引き続き厳しい状況でした。 -
A2豪州やニュージーランドの第4四半期の市況は第3四半期とほぼ変わらない水準を見込む中、当社としてはマージンをしっかり確保しながら、市場シェアも維持していく方針です。
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A3DGL(欧州)の第4四半期は季節性要因もあり、第3四半期の市況からは落ち込む見通しです。2024年通期の営業利益率は説明資料P7に記載の通り、8月時点では前年の4.4%よりもやや改善すると見通していましたが、現時点ではやや下回る想定をしています。
質問者:CLSA証券株式会社 張一帆氏
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A1確かに9月の動きは例年とは異なり、第3四半期の3ヵ月の中で9月は特に想定を下回りました。それが10月にずれ込んだかどうかは現時点ではコメントを差し控えます。国慶節の影響も多少あるかも知れませんが、10~12月に大幅な需要回復があるとは楽観視していません。TUCの売上成長は1桁台半ばぐらいを見込んでおり、第3四半期のように+1%成長にはならないと見通しています。
景気刺激策はある方が良いものの、塗料自体は消費財であるため、市場センチメントが鈍い中ではそこまでの好転材料にはならない可能性があります。長期的には1人当たりGDPの上昇が期待されますが、経済政策も含めてさまざまな見方があるかと考えます。当社としては景気刺激策や急激な市況回復に依拠せず、従来通りオペレーションの効率化や無駄の排除を徹底的に推進することで、利益ある成長を目指していきます。 -
A2第4四半期の売上成長率と利益率はともに改善する見込みです。利益率は第3四半期の8.8%よりは改善し、売上成長率も1桁台半ばぐらいの見通しです。
質問者:シティグループ証券株式会社 西山祐太氏
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A12025年だけを見ると、クロージングの時期によってEPSへの貢献額は多少前後する可能性があります。しかしながら、2024年通年への貢献を前提とした場合、EPS予想50円強に対して+15~17円、つまりは+30%程度の貢献を見込んでいます。対外公表は10月28日の沈黙期間中であったため、投資家の皆様からはさまざまな声をその後伺っているものの、個別にあるいはスモールミーティングなどで追加としてご説明する機会は残念ながら現時点までありませんでした。投資家の皆様からのさらなる確信が得られれば、もう少し評価される買収になると考えています。
こうしたEPS貢献に対するアップサイドまたはダウンサイドのリスクについては、当社は「アセット・アセンブラー」モデルとしての買収を志向しており、非常に安全なアセットを積み上げていく方針を掲げています。そうした中で、AOC社においてここ数年で急激に改善してきたマージンが果たして持続可能なのか?プライベート・エクイティ・ファンドが保有していたため、売却直前にお化粧しているのではないか?という疑問があると理解しています。当社としてもその点はしっかり精査しており、マージンの持続可能性が十分にあることを確認している上に、欧州ではさらなるマージンの改善を見込んでいます。さらには、近い将来の市況の回復などを見込めば、持続可能性があるどころか、むしろアップサイドも狙えると考えています。
ただし、実際には買収完了後から具体的な取り組みを通じて目に見える成果を出していかなければならないと考えています。現時点では、相当の警戒心を持ってしっかりと精査を行い、対象会社の経営陣ともかなりの時間をかけて十分に議論し、当社として十分に自信を持って買収の決断を下すことができました。加えて、非常に適正なバリュエーションでまとめ上げることができたと認識しています。今後のアップサイドとしては、EBITDAは1桁台半ば~後半の成長を見込んでおり、いわゆる数年単位でのエグジットを志向しなければならないプライベート・エクイティ・ファンドの傘下とは異なり、長期株主となる当社グループの傘下でますます花開いてもらいたい考えです。その点についても、AOC社の経営陣は非常に共鳴しており、ますますやる気を持って利益成長に励んでくれると考えています。
ダウンサイドのリスクについては、PPAの前提などでテクニカルにはいくつかあるものの、そうした面に関しても相当に精査した上で買収の決断を下しています。市況が大幅に悪化するリスクもゼロではありませんが、例えば、米国の大統領選で増税リスクが後退したことは当社にとってはプラスとなります。新政権の政策についてもさまざまな可能性はありますが、全体としてマイナスに振れてはいないと考えています。
このように、さまざまな要素を精査しながら決断した買収ではありますが、当社が良いアセット・オーナーになりながら、AOC社がますます成長できる姿を示すことができればと考えています。
質問者:SMBC日興証券株式会社 新谷泰大氏
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A1TUCは第3四半期に+1%増収にとどまり、市場全体もほぼ前年並みにとなりました。もちろん地域によってばらつきはあるものの、これをもって市場を上回ったとは言い切りづらく、これまでの四半期と比べると、市場を上回っているとは言いにくい状況です。
しかし、競合他社も同じように苦しんでいる中で、当社が市況に負けているわけではありません。今後も市況を踏まえた上で当社が打ち出すプロモーションをバランス良く、効果的に進めていきます。従来の戦略と今後の戦略にブレはなく、引き続き利益ある成長を目指していく考えです。 -
A2当社が進めるドミナント戦略は、市場が厳しい時には弱者が撤退し、市場が回復する局面では強い企業がさらに強くなる傾向があります。中国では明らかに市場シェアNo.1ではあるものの、ドミナントはまだ達成していない状況であり、40~50%のシェアに到達するまでは手を緩めることはできません。中国チームは常にアグレッシブに取り組んでおり、他の地域と同様にドミナント達成を目指して、強い企業がより強くなる可能性は高いと考えています。
質問者:UBS証券株式会社 大村俊太氏
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A1インドネシア事業は第1四半期に減収、第2四半期はほぼ前年並みであったため、第3四半期の+7.9%増収は非常に頑張った結果だったと考えています。市況は決して良好ではなく、競合他社も厳しい環境下にある中、当社だけが劣後しているわけではありませんが、大幅な成長が難しい状況です。しかし、プレミアム製品やエコノミー製品の積極的な販売促進を既に打ち出しており、第4四半期に向けたさらなる成長加速を見込んでいます。
通年では+0~5%の成長を見込んでおり、前年の+10%成長には及ばないものの、マージンもしっかり確保していきます。無理に成長を追求するのではなく、マージンとのバランスを図りながら成長を目指していく方針です。
インドネシア市場の潜在力は引き続き強く、1人当たりGDPは今後も上昇する見込みですので、現地競合他社に対する警戒を怠たることなく、成長を目指していきます。 -
A2インドネシア事業も頑張っていますが、ウィーとしては常に「もっとやって欲しい」という姿勢で臨んでおり、「この程度で良い」ということは常にありません。消費財としての特性上、全てが思い通りに進むわけではなく、消費動向によって左右されますが、現地マネジメントと何ができているか、できていないかをしっかり議論しながら実践しています。
Cromologyは一義的にはDuluxGroupの傘下にあるため、現地のマネジメントと直接やり取りするというよりは、私やウィー、ゴーが取締役としてDuluxGroupの経営に参画しています。そこで欧州事業の報告や改善策について議論しており、収益改善に向けた長期プログラムを組み、サプライチェーンやコスト構造、ブランドマネジメントなどを見直しています。
フランスでは市場シェアが第2位であり、シェアを落とすどころか、足元では少しシェアを上げている状況です。収益改善は想定よりも厳しいものの、固定費のコントロールは順調に進んでいます。こうした状況は当社の取締役会でも当然注視しており、市場の早期回復を期待しつつも、無理なコストカットを避け、持続可能な成長を目指して議論を重ねています。
質問者:野村證券株式会社 岡嵜茂樹氏
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A1皆様の期待値がどうであれ、中国のニュースフローがどうであれ、ネガティブニュースだけに過剰反応しないでいただきたいと考えています。2020~2021年にかけてProject(TUB)が成長する一方で一部債権が焦げ付く中、DIY(TUC)に注力しながら、ブランドで安定的に稼ぐ方針を打ち立て、今現在に至っています。その後、TUBの債権もかなり整理することができたほか、実際にTUCは市場を上回って成長しており、NIPSEA中国全体で見ても自律的な成長、キャッシュカウとしての役割を果たしており、当社は自信を深めています。
当社は市況に応じて売上、利益の双方のバランスを図りながら成長することを志向しています。NIPSEA中国は第3四半期累計で見れば十分に成長しており、先ほども申し上げた通り、競争環境が弱まっている中で当社の強みが生かせると考えています。Projectへの依存度、長期的な債権への依存度が整理されてきた今、NIPSEA中国は長期的に安定したキャッシュを生む、かなり安全なビジネスになっていると捉えています。
先ほども申し上げた通り、第3四半期の営業利益率8.8%は当社として許容できる水準ではなく、2桁のマージンを基本と考えていますが、少なくとも持続的に成長できる基盤は整っていると考えています。NIPSEAグループのみならず、当社グループ全体でも共通ですが、無駄を排し、顧客へ効率的に付加価値を提供するべく、オペレーションの効率化にも取り組んでおり、そうした姿勢自体も変わりはありません。利益ある成長は今後も十分に可能と考えています。 -
A2もちろん経済対策の効果があれば良いものの、それを前提にするのは危険と考えています。経済対策の効果がなくてもしっかり事業を成長させる方針です。
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A3コスト・コントロールは当然考えています。事業規模が大きいため着手できる領域は結構あり、例えば、効率的なマーケティング支出が1つの例となります。これまでもマージンは変動してきましたが、それでも基本的には2桁のマージンを維持してきており、2桁台前半~半ばのマージンは十分に確保できるビジネスと考えています。
ただし、繰り返しになりますが、マージンだけが目的ではなく、売上成長と利益成長、そして市場シェアとのバランスを図りながら取り組んでいく方針です。一足飛びに2025年の通期ガイダンスで15%を目指すことは難しいものの、市況をにらみながら常に意識して取り組んでいることをご理解ください。