経営ミッション:株主価値最大化(MSV)
株価を意識した経営
「ディフェンシブ・グロース銘柄」としての日本ペイント
当社は、「EPS」と「PER」の最大化を通じて、経営上の唯一のミッションである「MSV」を追求しており、その帰結となる「株価」を意識した経営を実践しています。
過去3年間で当社EPSは87.5%増加したにもかかわらず、当社株価はほぼ横ばいの推移に留まり、競合他社平均は上回ったものの、TOPIXの化学業種平均を下回っています。近年の不透明なマクロ環境下においても、当社が過去最高益を更新する背景には、世界各国のGDP成長に連動する底堅い需要を持つ塗料市場において、当社が競争優位性の高い経営モデルを有している点にあります。当社株式は、外部環境に大きく左右されにくい「ディフェンシブ・グロース銘柄」の特性を持つ一方で、その評価が株価に十分に反映されていないため、業界、個社それぞれの視点から要因分析を実施しています。
株価・EPS・PERの推移と変化率
- 株価の推移
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※1 出所:FactSet、Bloomberg
※2 2023年初を100として指数化
※3 競合他社平均は次の企業の2023年初の数値を100としてインデックス化したものの平均値を記載:Sherwin-Williams、BASF、Asian Paints、PPG、Akzo Nobel、Berger Paints、Axalta Coating Systems、SKSHU Paint、関西ペイント、TOA Paint、Asia Cuanon Technology
- EPSの推移
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※1 出所:FactSet、Bloomberg
※2 2023年初を100として指数化
※3 競合他社平均は次の企業の2023年初の数値を100としてインデックス化したものの平均値を記載:Sherwin-Williams、BASF、Asian Paints、PPG、Akzo Nobel、Berger Paints、Axalta Coating Systems、SKSHU Paint、関西ペイント、TOA Paint、Asia Cuanon Technology
- PERの推移
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※1 出所:FactSet、Bloomberg
※2 競合他社平均は次の企業の平均値を記載:Sherwin-Williams、BASF、Asian Paints、PPG、Akzo Nobel、Berger Paints、Axalta Coating Systems、SKSHU Paint、関西ペイント、TOA Paint、Asia Cuanon Technology
- 株価・EPS・PERの変化率
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1年推移(2025年) 3年推移(2023-2025年) 5年推移(2021-2025年) 株価変化率 EPS変化率 PER変化率 株価変化率 EPS変化率 PER変化率 株価変化率 EPS変化率 PER変化率 当社 +4.5% +30.1% -3.2x -0.2% +87.5% -11.7x -52.4% +130.3% -33.5x 競合他社平均 +10.2% +7.4% +1.9x -5.6% +20.8% -4.2x -20.3% +40.8% -14.1x TOPIX化学業種平均 +6.8% -2.5% +1.6x +32.7% -9.8% +6.0x +15.5% +100.3% -13.7x
塗料業界(競合他社平均)分析
塗料業界の平均株価は過去3年間で5.6%低下しました。業界EPSは20.8%上昇した一方で、業界PERが4.2ポイント低下したことが要因です。具体的には、住宅市場の停滞、関税による原材料価格の上昇、中国の不動産問題などが重なり、特に米国大手の業績が伸び悩んだ点が挙げられます。さらに、足元では、AI関連銘柄への資金集中が一段と顕著になっています。そのため、投資家は、AIや半導体へのエクスポージャーが相対的に限定的な塗料業界よりも、リターンを狙いやすいテーマ株へ時間や資金を配分せざるを得ない状況にあります。こうした資金配分の流れも、塗料業界の株価パフォーマンスが軟調に推移している背景の1つと分析しています。
当社分析
当社の株価は過去3年間で0.2%低下しました。当社のEPSは87.5%増加した一方で、PERが11.7ポイント低下したことが要因です。具体的には、①左記の業界要因に加え、②2021年以降の中国リスクに対する市場不安の継続、③当社成長力への過小評価、④当社の積極的なM&A志向を高リスクと評価、などと分析しています。また、直近では、「EPS成長率vs.ROIC」や「塗料事業フォーカスvs.塗料周辺展開」、「資本市場への伝え方」なども取締役会での議論の俎上に上がっており、対策を講じていきます。
現状分析・今後の方向性
前項で分析の通り、当社EPSはヒストリカルで大きく増加する一方、PERの絶対水準や変化率はTOPIX化学業種平均や競合他社平均と比較して低下傾向にあります。
PERの低下は複合的な要因によって生じていますが、当社はこうした市場とのギャップを解消するべく、①国内外のアナリスト・投資家からのヒアリング、②競合他社や類似のビジネスモデル企業との差異分析、③投資家ターゲティングに基づく新規投資家の開拓、などを通じて対策を講じており、評価の払拭に取り組んでいます。何より、MSVの実現に向けて、オーガニック・インオーガニックの双方における「持続的なEPSの積み上げ」を加速し、高成長のトラックレコードを継続していくことが重要と考えています。
相関関係分析
当社では、PERの低下に伴い、各種指標との相関関係を分析しています。当社の分析では、売上成長率とROICはPERとの相関が比較的高いことが示されています。具体的には、「売上成長率×PER」では競合他社と比較して当社がディスカウント評価されており、「ROIC×PER」では競合他社と比較して当社がプレミアム評価されている、という見方ができます。「ROIC×PER」において当社がプレミアム評価されている要因は、当社の経営モデルが競合他社と比べてM&Aに積極的であることがROICに影響を与えている一方で、「アセット・アセンブラー」モデルを通じて買収した対象企業が高い資本効率を維持したオペレーションを実現していることへの期待があるため、と考えています。
1売上成長率×PER
売上成長率は、ヒストリカルのデータにおいても、PERとの相関が高い傾向にあります。当社は回帰直線の下方に位置しているため、競合他社と比較してディスカウント評価されていることが示唆されます。これは、市場が当社のインオーガニック成長を織り込んでいないことや、当社の売上成長率予想(アナリストコンセンサス)はCAGR+5.2%であり、過去7年のCAGR実績+16.0%と比べて低いこと、当社への成長貢献が大きいNIPSEA中国が足元ではリスクとして捉えられていることが大きな要因となっています。当社株式は売上成長率で見ると競合他社と比較してディスカウント評価されている一方で、市場が当社のインオーガニック成長を評価に織り込んだ場合など、当社のバリュエーションにはまだアップサイドがあると考えています。
2 ROIC×PER
当社を含む売上成長率の高い企業は回帰直線の上方に位置しているため、当社は競合他社と比較してプレミアム評価されていることが示唆されます。資本効率と売上(利益)成長率のどちらを重視するかは投資家によって異なりますが、少なくとも当社では、積極的なM&Aによるのれんの増加がオーガニックでのROIC改善を相殺していると分析しており、結果として競合他社との比較ではROICが低く見えるため、当社のバリュエーションはプレミアム評価されていると考えています。また、「アセット・アセンブラー」モデルを通じて買収した企業が高い資本効率を維持したオペレーションを実現しており、こうした実績を背景に、市場から今後の資本効率に対する期待が高まっていることで、結果として当社のバリュエーションがプレミアム評価されている要因の1つになっているとも考えることができます。
3 FCFマージン×PER
FCFマージンの高さは、将来のキャッシュ創出力(稼ぐ力)の大きさを示しており、理論株価を押し上げる要因の1つとされています。一般的に、マクロ環境が悪化局面にある場合、投資家はキャッシュ・フロー指標を重視する傾向が強まる一方、足元は株式市場が堅調に推移しているため、相関は低い結果となりました。売上成長率や投資効率、資本効率などの他の要因が影響しているものと考えられます。
4 FCF/EBITDA×PER
FCF/EBITDAの高さは、利益を現金に換える質の高さを示しており、PERを高める要因の1つとされています。一般的に、マクロ環境が悪化局面にある場合、投資家はキャッシュ・フロー指標を重視する傾向が強まる一方、足元は株式市場が堅調に推移しているため、相関は低い結果となりました。利益成長率や資本効率などの他の要因が影響しているものと考えられます。