財務戦略

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高いキャッシュ・フロー創出力をもとに、財務基盤を強化し、M&Aや事業投資など成長のための資金を確保

トップラインを伸ばすことでシェア向上と利益率改善の好循環を生み出す

新中期経営計画で掲げた2023年度の数値目標は、現在の事業ポートフォリオを持続的に成長させる観点(オーガニック)で打ち出した目標です。チャレンジが必要な目標であるものの、これまでどん欲に成長を追求してきた当社グループであれば、達成可能と考えています。また、オーガニックな成長に加えて、M&Aによるインオーガニックな成長も重要な戦略です。
持続的な成長を確固たるものにするには、積極的なM&Aに加え、将来を見据えた設備投資や研究開発投資が必要であり、高いキャッシュ・フロー創出力の利点を生かし、成長のための投資を推進していきます。
従って、成長に必要な投資はしっかりと実施することで、売上成長に伴う限界利益の貢献に加え、シェア向上により、①タイムリーな製品値上げ、②原材料の大量調達による原価低減を図り、利益成長を果たしていきます。特に、原材料費用は売上収益の過半を占めるコストであり、原材料費率の低減が利益率の改善に大きく貢献することから、当社は売上収益1兆円規模のスケールメリットやグローバルでの調達力を生かして、コストコントロールを徹底していきます。

オーガニックでの高い成長を実現

具体的には、既存ビジネスは、中国・アジアを中心に引き続き順調な成長を確保することによって、年平均成長率(CAGR)で約10%の達成を目指します。(図表1参照)
買収したインドネシア事業は、塗料需要の伸長に加えてシェア獲得による高成長を図り、CAGR15%の達成を見込みます。
既存ビジネスにインドネシア等の事業を加えると、売上収益は2021年度の8,900億円から2023年度の1兆1,000億円と、CAGR10%を超える成長が実現できると考えています。

事業成長に加え、固定費の低減効果で利益成長を実現

利益成長のイメージとしては、図表2に記載の通り、2021年度はサプライチェーン改革やDX導入に加え、基盤システム整備にかかるコストの増加(2020年度比、約95億円増)を見込むものの、そのコストは2023年度に向けて漸減し、2023年度までには一層の効率化を推進して、2020年度並みの経費水準を目指します(図表2(A))。なお、アジア合弁事業100%化にかかる印紙税などの一過性費用約50億円を計上しています(図表2(B))。
そして、既存ビジネスと新規連結による売上増加に伴う利益の増加によって400億円を積み上げるとともに、コストを80億円削減して、2023年度に営業利益1,400億円を目指します(図表2(C))。

キャッシュ・フロー創出力の強化と成長のための資本配分

塗料ビジネスは、半導体業界のように大規模な初期投資や更新費用は必要なく、設備投資負担が軽いため、キャッシュ・フローが非常に安定しています。今回、アジア合弁事業一体化に伴い利益の社外流出がなくなったことで、当社のキャッシュ・フロー創出力は大幅に向上しましたので、これらの強みを生かした財務戦略を推進していきます。
資本配分としては、2021年度から2023年度の3年間で、営業キャッシュ・フローを約3,300億円創出し、配当850億円を差し引いた後、将来を見据えた設備投資に約1,250億円を配分し、残額の1,200億円を負債返済とM&Aに充当する予定です(図表3参照)。
仮にM&Aがなく、負債返済のみに配分した場合は、2021年度はアジア合弁事業100%化に伴う1,000億円の借り入れでネット・デットは増加するものの、2023年度末には負債返済およびEBITDAの増加により、ネット・デット/EBITDAは1.6倍まで低下する見込みです(図表4参照)。
なお、2021年4月からの新経営体制においては、新中期経営計画の目標を上回るべく、改めて本部費用や設備投資に関して、優先順位や金額の妥当性を精査しており、確定次第、別途ご報告します。

EPS増大によりTSR向上を目指す2021年度は記念配当を加えて、増配計画

「株主価値最大化(MSV)」の追求に当たっては、適正なレバレッジによる最適資本構成を志向することや、戦略性の高いM&Aにおいて一時的なレバレッジの上昇は容認するという財務規律を維持しつつ、成長投資を優先的に実施することでEPS(基本的一株当たり当期利益)を増大し、TSR(株主総利回り)を向上させていきます。
TSRのうち株主の皆様への配当については、業績動向、投資機会、配当性向などを総合的に勘案しながらも、安定的かつ継続的に実施する方針で、現状の配当性向は30%を維持することを目標としています。
なお、2021年度は、創業140年を迎えるに当たり、記念配当1株当たり1.0円を加えた年間10.0円(株式分割考慮後)の配当を計画しています。

(図表1)売上収益成長率

(図表1)売上収益成長率

(図表2)営業利益推移

(図表2)営業利益推移

(図表3)2021-2023年度資本配分イメージ

(図表3)2021-2023年度資本配分イメージ

(図表4)ネット・デット/EBITDA推移

(図表4)ネット・デット/EBITDA推移

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