若月共同社長メッセージ

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エグゼクティブサマリー

Executive Summary

  1. 01

    Integrityに根差した企業風土こそが、MSVを唯一の判断軸として機能させる土台。MSVジャーニーの歩みを一歩一歩、確かなものにしていくことこそが、経営の責任

  2. 02

    継続的な実績のデリバリーと説明責任の双方を通じて、投資家の皆様のコンビクションを高めていくことが、MSVジャーニーへの期待値を高め、PER向上につながる王道

  3. 03

    「アセット・アセンブラー」モデルの本質は、優れたパートナー会社がさらに自律的に価値を創出できる環境を整え、その果実を次の成長に再配分する資本配分モデル

  4. 04

    「What can we do for you?(あなた方のために何ができるか?)」という支援の姿勢でパートナー会社の良さをさらに伸ばし、その力を確実にMSVの実現につなげる

  5. 05

    従来以上に資本効率も重視した買収へと舵を切り、買収対象もより選別的に絞り込み、リスクとリターンの見合わない案件には一切の妥協を許さない、進化した買収規律こそが、今後のMSVジャーニーをより確かなものにする

  6. 06

    MSVジャーニーの魅力が投資家の皆様にとっても魅力的であることを、私たちは言葉ではなく、トラックレコードで示していく

MSVを唯一の判断軸とすることが、「MSVジャーニー」の出発点

経営上の唯一のミッションである「株主価値最大化(MSV)」は、単なるスローガンではなく、当社のあらゆる経営判断を貫く判断軸です。投資判断、財務戦略、事業運営、ガバナンスに至るまで、私たちは「それはMSVに資するのか?」という1点から判断しています。これが当社経営の根幹です。

MSVを本気で追求する以上、経営者個人のエゴや思い入れが入り込む余地はありません。規模の拡大を追うことも、見栄えの良い案件に惹かれることも、MSVに資さないのであれば意味がない――経営の質を分けるのは、派手な意思決定ではなく、合理性を貫けるかどうかであると、私は考えています。

その合理性を支えるのは、私の考える「Integrity(誠実)」です。Integrityとは、単なる倫理観ではなく、不都合な事実から目を背けず、健全な警戒心を持って現実を直視し、MSVに照らして何が最も合理的かを誠実に考え抜く姿勢そのものです。経営において危険なのは、リスクそのものよりも、慢心や思い込みによって判断を誤ることです。だからこそ、当社では、悪いニュースほど早く共有し、問題を隠さず率直に議論することを重視しています。私は、こうしたIntegrityに根差した企業風土こそが、MSVを唯一の判断軸として機能させる土台だと考えています。そして、事実として、そうしたIntegrityに溢れる経営者が集い、形式よりも実質を重んじながらオープンで活発なコミュニケーションができているのが、当社経営の強みとなっています。

当社が歩む「MSVジャーニー」も、まさにこうした思想の延長線上にあります。各パートナー会社の優れた経営陣と事業基盤を尊重しながら、その潜在力を引き出すことでオーガニック成長を促し、そこで生まれたキャッシュを次の成長機会へと再投資していく――当社はこうした成長循環を通じた「持続的なEPSの積み上げ」の実績をもとに資本市場からの信頼と期待を高め、最終的にMSVの実現につなげていきます。私は、このMSVジャーニーの歩みを一歩一歩、確かなものにしていくことこそが、経営の責任と考えています。


市場の懸念に真正面から向き合い、MSVジャーニーへの期待値を高める

当社は、MSVを「EPSの持続的な積み上げ」と「PERの向上」の掛け算として捉えています。EPSは自ら積み上げていくものですが、PERについては当社が一方的に決められるものではありません。資本市場が、当社の成長の質や再現性、そして将来性に対する期待をどう評価するかによってPERは形成されます。言い換えれば、PERとは当社のMSVジャーニーに対する市場の信頼の表れです。

だからこそ、PER向上の本質は、単に説明を増やすことではなく、説明した内容を着実に実行し、トラックレコードとして示し続けることだと思っています。資本市場の信頼は、一度の説明で得られるものではなく、実績のデリバリーを継続的に積み重ねることによってのみ醸成されると考えます。中長期の約束を日々の実績で裏付けることこそが、最終的なPER向上につながると考えています。

そうした中、当社の株価やバリエーションの現状について、私は資本市場からの率直な評価として真摯に受け止めています。経営として重要なのは、市場の評価を否定することなく、その背景にある懸念や認識ギャップを正しく理解し、解消に向けて行動することです。

投資家の皆様が当社の将来性に対してなお慎重である背景には、主として3つの論点があると認識しています。1点目は、中国事業への依存に対する過去の印象です。現在はAOCの買収や中国以外のアジアの成長も相まってポートフォリオの多様化が進み、収益構造は着実に変化しているのに加えて、厳しい経済環境下においても中国事業が着実に利益成長していることは見落とされがちであり、そうした変化を市場に実感していただくには、なお継続的な説明と実績の積み上げが必要です。2点目は、買収したパートナー会社のオーガニック成長に対する懸念です。AOCをはじめ、新たに当社グループに加わったパートナー会社は厳しい市場環境下でも自律的に成長できるのか?――この点について、私たちは社内的には高い確信を持っていますが、市場にとっては今後の継続的な実績こそが判断材料になろうかと思います。3点目は、M&Aそのものに対する一般的な警戒心です。M&Aは本質的にリスクを伴う取引であり、単に件数や規模を追う姿勢は、しばしば資本市場からの不信を招きます。当社としては、健全なリスクテイクに基づく合理的かつ安全なM&Aを志向しており、今後もM&Aのトラックレコードをしっかりと積み重ねていきます。

これらの懸念に対して、資本市場に言葉だけで安心を求めることはしません。継続的な実績のデリバリーと説明責任の双方を通じて、投資家の皆様のコンビクションを高めていくことが、MSVジャーニーへの期待値を高め、PER向上につながる王道だと考えています。


「アセット・アセンブラー」モデルの核心

当社の「アセット・アセンブラー」モデルの本質は、単に優良資産を集めることではありません。より正確には、優れたパートナー会社がさらに自律的に価値を創出できる環境を整え、その果実を次の成長に再配分する資本配分モデルです。当社は、既存事業のオーガニック成長を起点にキャッシュを創出し、それを規律あるM&Aに再投資することで、「持続的なEPSの積み上げ」を可能にしていきます。本社主導による「アセット取得」型の大型案件では、買収時点の事業の質と独立した価値創出力を重視し、買収後はシナジーを追求するものの、高いバリエーションの正当化要素とはしません。一方、パートナー会社が主体となる「ボルトオン型」の案件では、現地市場に近いパートナー会社の経営陣が具体的な戦略的意義を見極め、自らの責任でシナジーと成長機会の取り込みを図ります。

ここで最も重要なのは、M&Aの成否を「案件を実行したかどうか?」ではなく、「MSVに貢献したかどうか?」で評価することです。件数、規模、話題性などは本質ではありません。初年度からのEPS貢献、強固なキャッシュ創出力、適切なバリエーション、健全なレバレッジ水準、そして資本コストを上回るリターン――これらを満たさない案件には、明確に「No」を突き付ける。こうした姿勢こそが、「アセット・アセンブラー」モデルの規律を支えています。

当社のインオーガニック戦略の優位性の1つは、日本円による相対的に低コストな資金調達力です。ただし、重要なのは、調達そのものではなく、それを規律ある投資判断と組み合わせてMSVに資する形で活用することです。現在は金利や資本コストの上昇を踏まえ、従来以上に、資本効率やキャッシュ・コンバージョン、財務健全性を重視しています。レバレッジ運営についても、次の成長機会を確保するための柔軟性と財務健全性の維持とのバランスを重視しています。さらなる成長に向けたレバレッジ余力の維持と市場の信認を損なわない資本構成を保つことが、長期的なMSVの実現には不可欠です。


「自律・分散型経営」と「小さな本社」

当社グループの競争力の源泉は、各地域・事業における優秀な経営陣にあります。現地市場を最も深く理解し、顧客に最も近い場所にいるのが、各パートナー会社のCEOと経営チームであり、日々の事業運営に本社がいたずらに介入することは合理的ではありません。当社は、「自律・分散型経営」を徹底することで、現場に権限を大幅に委譲しています。

もっとも、分散は放任を意味するわけではありません。権限には必ず責任が伴うべきものであり、そうした意味において持株会社である当社の役割は極めて重要です。当社は、各パートナー会社のCEOに対する指名・評価・報酬の仕組みを通じ、適切なインセンティブと明確なアカウンタビリティを担保しています。

また、「小さな本社」とは、現場の代わりに事業を動かすのではなく、資本配分やガバナンス、リスクマネジメントといった手法を通じて、グループ全体のMSV実現を支える組織です。「What can we do for you?(あなた方のために何ができるか?)」という支援の姿勢でパートナー会社の良さをさらに伸ばし、その力を確実にMSVの実現につなげることが、当社グループのガバナンスの特徴です。


オーガニック・インオーガニック両面にわたる成果と買収規律の進化

当社は、中期経営方針を公表した2024年以降、厳しい市場環境下でも着実に成果を積み上げてきました。オーガニック面では中国を含む各地域・事業で収益性改善やシェア拡大に取り組み、インオーガニック面でも当社グループ入りしたパートナー会社が期待通りのキャッシュ創出とEPS貢献を継続しています。重要なのは、これらを単発の成果で終わらせず、「アセット・アセンブラー」モデルの再現性として示していくことです。

例えば、当社グループの資本力や知見を活用することで、本来持っていた潜在力を大きく開花させる事例が着実に増加しています。これは、PMIの巧拙の表れというよりは、当社プラットフォームそのものの有効性を示すものに他なりません。AIの活用を含めたオペレーション改善の取り組みについても、個別最適に留めることなく、グループ内でベストプラクティスを共有し、横展開できることが当社の強みです。AOCが持つ優れたビジネスシステムについても、各パートナー会社が自主的に学ぶことで、グループ全体の価値向上につながっていくことを期待しています。

加えて、市場環境の変化に応じて買収基準そのものも進化させています。金利や資本コストの上昇を踏まえ、従来以上に資本効率も重視した買収へと舵を切り、買収対象もより選別的に絞り込み、リスクとリターンの見合わない案件には一切の妥協を許しません。こうした進化した買収規律こそが、今後のMSVジャーニーをより確かなものにすると考えています。


MSVジャーニーの前進を通じた株主価値の創造に終わりはない

MSVジャーニーの前進に向けて、持株会社である当社が自ら価値を生むというよりは、各パートナー会社が持つ潜在力を最大限に引き出し、その価値創造を支えることが当社の役割です。当社グループには、優れた経営陣、強固なブランド、豊富な成長機会、そしてそれらをつなぐ独自のプラットフォームがあります。これらをMSVという共通言語のもとで束ね、規律ある資本配分とIntegrityに基づく経営を徹底することで、株主価値の創造を上限なく追求していきます。

こうしたMSVジャーニーの魅力が投資家の皆様にとっても魅力的であることを、私たちは言葉ではなく、トラックレコードで示していきます。投資家の皆様との対話をよりいっそう充実させながら、「持続的なEPSの積み上げ」と「PERの向上」の両面からMSVの実現に取り組んでまいります。今後とも、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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